2011年5月の電塾定例勉強会にご参加ありがとうございました。ゴールデンウィークのさなかにもかかわらず、多くのご参加ありがとうございました。以 前電塾で紹介したフレスコ・ジークレも株式会社 竹尾、株式会社Too、銀一から発売になります。 第一部の自己紹介は皆さん地震のお話しで盛り上がり、2ヶ月分の空白を埋めていらしたのが印象的です。ただし、この段階で時間をオーバーし、ただでさえ 4テーマあったので全体が圧迫されてしまいましたことを反省しています。これからはあまり窮屈なメニューにならないように調整します。
第2部 ■ジナー eVolution 86 H
株式会社エイ・ステージ ジナー事業部 葛原 慎様
ジナーとしてマルチショットが可能なモデルは2機種ありますが、今回はその際上位機種のeVolution 86 HがジナーP3に装着されて登場で、なんと4×5カメラの使い方から入りました。そういえば4×5を使ったことがないカメラマンっていうのも結構いそうで す。そのうちに4×5や8×10を知っている人間は骨董当扱いされるのでそうね。
その後、MS(マルチショット)の説明。エクスポージャー(かってのドライブソフトウェア)やキャプチャーショップ(現在のドライブソフトウェア)の紹 介、Photoshopでできる事はしないが、ジナーでなければ出来ないことはきちんとやるというジナーのスタンスの紹介がありました。
ホワイトバランスは通常の白ポイントだけでなく、各濃度ごとに取っていることや、CCDセンサーの色むらの修正、センサーリファレンスといって センサー の各ピクセルがもつ強弱誤差の修正、レンズリファレンスはワイド系のレンズの色むらを除く役目を担い、シーンリファレンスでは濃度バランスを補正し、タイ リング撮影を容易にします。白いバランスだけでなく、シャドウ部のバランス(ブラックリファレンス)は自動で記録するようになています。さらに撮影を長時 間独行した場合に高温になることで発生するCCDセンサーの感度変化を補正する機能などが充実しています。
彩度の低い色域をグレイにして無理矢理グレイバランスを整える事を行っているメーカーとそれをしていないメーカーがありますが、ジナーはそれさえも撮影者が選択出来るようにカラーアシスタントというダイアログを用意してあります。これもメーカースタンスですね。
ジナー特有の弓形あおりのための1/3支点の表示はもちろん可能です。
第3部 ■ハッセルブラッド H4DII50MS
運営委員・鹿野 宏
最初にPhocus MobileをiPadでハンドリングするデモ。上手くいってほっとしました。 九州電塾ではテストでは動いていたのに、本番で止まってしまうと言う悲惨な結果でしたから…。
その後マルチショットとワンショットの差に焦点を絞ってお話ししました。さすがにマルチショットとワンショットの比較は歴然とした差があり、壁のタイルやフェンスのラインに如実に表れています。もちろん右側がマルチショットです。
その後いくつかのレンズテスト、チャートのテストを公開しました。ダイナミックレンジは可もなく不可もなくでしたがそのカーブがとても綺麗だったのが印象的です。
さらにHyper-MSとして合計7ショットで2億画素をたたき出す、ハッセルブラッド社の新しい方法論も紹介しましたが、その実力はまだ未確認です。
カメラとしては未成熟だけど、ボディ一体型の恩恵があり、ワンショットも使いやすいH4DII50MSか、4×5に装着して使いやすいジナーか、…撮影者のスタイルで選択していく物だろうなと感じました。スタジオに固定して置くのであればジナー、外に持ち出す事も考えればハッセルという棲み分けがよく見えたと思います。(早川氏はハッセルを4×5に付けてますけど…)
第4部 ■ Nik Software Silver Efex Pro 2のご紹介
株式会社ソフトウェア・トゥー 営業本部 海野広幸様
Silver Efex Pro 2は株式会社ソフトウェア・トゥーの海野広幸様から紹介されました。至れり尽くせりのソフトウェアに仕上がっていたようです。
アンプリファイコントラストは便利そうです。Lightroomにも乗っけて欲しい機能です。(ジナーのグレイバランスコントロールも是非入れて欲し い…)明瞭度に近いストラクチャーコントロールですが、明、暗、中間調と、コントラストを階調ごとに調整出来る機能です。これ、凄いです。
ファインストラクチャーは上記の機能をオートで行うような物。これも便利…でしょうか?さらにコントロールポイントも使えるようになりました。もう至れり尽くせり、というか他のアプリとの差が無くなったような気もします…。
第5部 ■スチールフォトグラファーのためのEOSムービー Photoshop編
石田晃久様
第一線で活躍される石田晃久氏からPhotoshopで動画をチューニングする技ををご披露いただきました。これまでFinal Cut Studioの「カラー」などを使ってきましたが、エフェクトを追加するのでしたら、馴れたPhotoshopの方が遙かに効果的に使えますね。これでタ イムラインがもう少し使いやすくなればいいのですが…。
早速私も手持ちのデータで色相彩度をチューニングしてみました。確かになれている分とてもやりやすいし、考える必要なく、いつも使っている手法を適用できるのはありがたいことです。このダイアログは「フッテージを置き換え」で、外れたリンクを修正する方法です。
レンダリングする際の注意事項など…スチールの知識だけではやはり無理があるようです。
なんと言っても「カメラマンが普通にできる自分たちの能力(ライティングや構図の切り取り)をそのままムービーでも発揮しようよ!」というスタンスにとても共鳴しました。
撮影も普通にライティング(もちろん定常光です)、フレーミングもスチールの感覚で行っています。当初は大きくぼける味を前面に出したりしていたそうです が、今回はホントに「普通に」撮影していたそうです。そしてそれが「逆に新鮮」に感じられ、動いているけど「写真のようですね」と高い評価をいただいたそうです。
今月の1枚
早川氏は今月の電塾にはテーマを付けがたく、強いて言えば「震災後最初の定例勉強会」と名付けていました。
最 初は少なく感じましたが、最終的にはいつもと変わらぬ人数になりました。懇親会後も新橋で二次会…。皆なかなか帰れません。地震があり、原発があり、ゴー ルデンウィークがあり…久しぶりに仲間に会う感覚がとても楽しかったのだと思います。来月の電塾も有明スポーツセンターで開催されます。またお会いしま しょう。
運営委員 鹿野 宏