2009年度 第13回電塾全国大会レポート
 
 
 
 

 

2009年の全国大会は動画一色。Appleさんの会場をお借りしての開催です。

 

まずは第1部と第4部のパネルディスカッションをレポートいたします。
近日中に第2部:「フォトグラファーだからできる映像表現」を公開いたします。

 

 
 

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 Appleさんで行うこともあり、まずはFinal Cut Pro のお話しから始まり、動画も写真も撮影する牧田良輔氏の講演、一眼レフで画像制作するための条件をコマーシャルフォト編集部から、そして最後に、動画の世界の第一線の方々によるパネルディスカッションという構成。 

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そしていつもはデジタルカメラやプリンタ、画像処理ソフトが並ぶ展示スペースには一眼ムービー関連機材が所狭しと並べられました。

 

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電塾は動画に特化するのか??いえいえ、そうではありません。しかし、動画に本気で取り組もうとしているのはたしか。動画を本気で取り上げようとすると、一日全てを当ててもまだ物足りない、というのが動画一色になった理由です。 

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展示、デモに参加いただきました企業の皆様に感謝いたします。また、今回は株式会社玄光社、アップルジャパン株式会社様のご協力で開催となりました。皆様のご協力に感謝いたします。 

懇親会は諸般の都合でありません。ただし年が明けてから新年会の形で懇親会を行います皆様ふるってご参加ください。もちろん恒例のビンゴ大会があります。何があたるかお楽しみ!。

2010年電塾新年会

期日:2010年1月9日(土曜日)午後6時30分〜9時30分
場所:浜松町 中国酒家 大天門 浜松町1-24-7 浜松町第一田中ビル
浜松町駅から徒歩1分浜松町スクエアビル裏 03-3437-7211
URL:http://r.gnavi.co.jp/b084400(案内と地図あり)
会費:4,000円(飲み放題コース料理)
ビンゴ大会あり 

予約の都合がありますので、全国大会で参加申込をしていない(多くの運営委員がしていません)参加希望者は早川までメールをお願いいたします(h-hayakawa@denga.jp)。

申込締め切り2009年12月26日まで

 
 

「第1Final Cut Pro ワークショップ」 亀山和生様(Apple Japan

 
 



テレビ朝日の「世界の街道を行く」は、CANON EOS 5D Mark II×Final Cut Studioで作製されているそうです。そういえばあれはキヤノンさんの一社提供番組でした。様々な試行錯誤をして来られたそうですが、最終的には422で十分な画質と判断されたそうです。これって5段階の品質のちょうど中間に当たり、ProResの品質の高さを証明するもののようです。

ProResに関しては以前からレポートしていますので今回は割愛しますが、帯域を有効活用することにかけてはぴかいちで、この圧縮は非圧縮に比較して、遜色なしと自信を持って言い切っています。(つまりより少ない容量で高品質を実現しているてことです)

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さて、Final Cut Studioには複数のアプリケーションが同梱されています。まず、それらのアプリケーションの紹介から始まりました。

全ては「効率的な編集」のために準備された物です。

※Motion グラフィック用エフェクトソフトウエアー
※Soundtrack 音のコントロール(ノイズ消去、レベル合わせ、エコーをかける)を司る。夏のはしの中の同録ロケでセミの音だけカットすることも出来る優れもの。
※Color 色彩合わせ、方向性を調整、色調わけにも使われる。…色を作る。REDを使ったワークフローでもし油される。
※Compressor 携帯電話 など、キャリアにあった動画納品。バッチで
まず最初に5Dからプロレズ422への変換でお世話になる。
※DVDスタジオ DVDに書き出しを担当

さて、ここから各アプリケーションのオーバービューです。順を追って各アプリケーションを紹介されました。

Compressor

Final Cut Proの能力を存分に味わうにはProResシリーズに変換しなくてはならないそうです。ここに時間がかかるのですが、いったんProResに変換されると、まさしく「自由自在に」動画を編集できるようになるのです。ノンリニア編集をフルに実現しているのはFinal Cut Proだといわれるゆえんです。

今回のセミナーでは、CANON EOS 5D Mark IIが入力用のカメラとして取り上げられていました。キヤノンが採用するH.264というコーディックは、記録、再生、そして劣化度の低さにかけてはぴかいちです。驚くほどの小さな容量にまとめることができ、高速で解凍、再生ができるという素晴らしいフォーマットですが、これを編集するとなると一寸編集を加えるたびにエンコーディングを行わなくてはならない、やっかいな存在なのです。今のところ、保存、再生、編集の全てに最高点を付けられるフォーマットは存在しないようです。なので「録画、記録、配信」に最適なH.264と、「編集、加工に最適なProRes」といった使い分けが必要なのでしょう。

まず、Compressorがやる仕事は記録された動画であるH.264.MOVを→ProRes422に変換することです。先ほどは飛ばしましたが、ProResに存在する5段階のレベルは、そのまま品質の問題と言い換えても良さそうです。その基準としてちょうど真ん中のレベルにあるProRes422でかなりの品質のテレビ用の画像をハンドリングできると言うことでしょう。(もっともソースの良さもかね合わせて考えるべきです)

書き出す形式を常に一定に固定する方法としてMacに昔から装備されているドロップレットという機能を応用する方法が紹介されました。ドラッグ&ドロップで常に一定の作業を指示して、後は待つだけ…元データが膨大だと一杯どころではない時間がかかりますが…というのは確かにありがたいことです。書き出し先も常に一定にできるというのも迷いが少なくて良いですね。私もAdobe Photoshop Lightroom IIなどは同様の方法論を設定をして使用しています。

他にも、変換の際に必要な知識を紹介してくれました。

ビデオ・設定フレームレートは放送用の場合は必ず29.97にすること。(CANON EOS 7Dでは修正されています5D MarkIIしもファームアップで対応します)
ガンマ補正は自動
インターレスは必ずチェックして「上のフィールドを優先」を選択する。これらは日本の放送業界の慣習だそうです。ただし、用途がWEBやコンピュータ上の再現に限られる場合は逆にインターレスにしてはいけません。元がプログレッシブであれば、そのままが理想的です。

なお、コンプレッサーの動作はCPU速度に全てかかっているそうです。最低でもインテルチップが必要。コアのクロックと数が早ければ早いほど、高速化できるそうです。さすがアップル製!。

Final Cut Pro

全世界で約50%、10台に5台はFinal Cut Studioがインストールされているそうです。
インターフェースは中央に「ビューアー」、右側ができあがりを確認「キャンパス」です。左上に「ブラウザ」があり、素材管理を受け持ちます。そして最後に下半分を使った「タイムライン」で時間軸をコントロールします。さらに素材は「ビン」という観念でパッケージ可するのだそうです。「ビン」…まさしく液体を小分けする瓶のことかしら??

仕事の効率化の為にはビンごとにカメラ名 1カメ 2カメ 予備カメ、など素材をきちんと管理するのがコツだそうです。まずこの観念になれるのが大変そうですね。
素材動画の中から使いたい部分をインポイントとアウトポイントというショートカットを使用して抜き出して行きます。
これが最初に行う「編集」作業だそうです。

モーション
文字を載せたい、あるいは左から出現させる、全体の濃度を変更する等の映像効果を司ります。
選択 右ボタン 送信 モーションプロジェクト 保存
同様の画像編集ソフトであるアフターエフェクトに対してリアルタイム製に優れるのが特徴だそうです。モーションはCPUやメモリー、グラフィックボード等のパワーをフルに使用してリアルタイムで処理をして見せてくれるのだそうです。
[文字]をグロウというフィルターで光らせたり、ビヘイビア、テキストシーケンスというフィルターで動きを付ける。最後にパーティクルエミッタ の中のスパークルスというコマンドを使用してきらきら光るエフェクトを簡単に追加するデモを行ってくれました。

カラー
このソフトは日本語が不得意なので英語名で管理しないといけないそうです。確かに全く日本語化されていませんし、どうもこれだけ他のアプリケーショングループと雰囲気が異なります。
でもやることはPhotoshopと一番似ています。スポイトで色を拾ったり、HSLでマスクをコントロール。ヒュー、RGB、輝度もカーブで調整できます。結構使い勝手は良さそうです。他にもフィルムルック、フィルムグレインノイズ等の映画ライクな効果を付けるコマンドも用意されているのだそうです。

プライマリというパネルでは全体の色調をおこないます。メインとなるカットで色調処理を行い、全てのカットに同様の調整を適用することが可能です。
セカンダリのタブで特定色のコントロールを行うような設計になっています。緑や青を強調する場合に有効です。
映像にエフェクトを加える場合はカラーエフェクトを使用します。先の映画のような仕上げなどでは有効のようです。
最後にプライマリアウトがあり、最終的に個別の色調調整が必要であれば、その調整をして仕上げる、というのが方法論のようです。
全ての調整において、グレードというコマンドを作って色調のバージョン違いを4バージョンまで追加することができるそうです。グレードは調整レイヤーのような物だと思えばよく、別のカットにコピーすることもできます。

最後にレンダリングの作業をして、send toで送り返すことでFinal Cut Proに読み込むのだそうです。

SoundtrackPro
これは残念ながら十分にお話しをお伺いする時間がありませんでした。ただ、ノイズを選択的に外したり、撮影時にばらついた全体の音量のコントロール、追加したバックグランドミュージックや効果音のバランスを整えたりするのに使用するのだそうです。

そして最後にまたコンプレッサーのお世話になって、目的の形式で動画を描き出す。これがFinal Cut Studioの全貌でした。私は個別に覚え始めてしまったのですが、今回のセミナーでやっと全体感、処理の順序という物を学ぶことができました。いや〜でも大変だわ!。

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会場では熱心にメモを取る方々が多く見られました。




 
 

 

「第二部フォトグラファーだからできる映像表現」

フォトグラファー 牧田 良輔様

 

 
 


ファッションを中心としたスチルで活躍をしている、フォトグラファー牧田良輔さんに今回は来ていただいた。

見ている方もいるかもしれないが、昨年のコマーシャルフォトで何度かムービーの取材を受けている。そして、ムービーの世界のカメラマンとしては非常に若いということもあり、大変興味深い話を聞く事ができた。

参考までに牧田さんのお仕事→http://makitaryosuke.com/

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米国にて4年前ぐらいに、某アーティストのスチル撮影に行った際に、同じアーティストのムービーの現場に立ち会い、そこでの刺激が牧田さんの現在のムービーの世界への衝動をかられたきっかけになったそうだ。

ムービーの一番大切なのは、しっかりした脚本だと言う。このハードルに関しては、スチルでも、例えば数ページのフリーページ写真を依頼された際に、必ずテーマを自分で考えて撮っているのと同じ事だと・・・。

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いわゆるビデオカメラでなく、一眼デジタルカメラを使用するメリットは何かとの質問に、スチルの目で見てしまうと、従来のハイビジョンは画質的に満 足のゆく物ではなかった。そして、よく言われるボケ味、それから予算であると・・・例えば感度を上げる事で、高ワット数のHMIを何台も立てなくて済むの はコストダウンも大きいし、ヒートアップも押さえられ、モデルさんにも非常にやさしいとのこと・・・

スチルの作品撮りなんかと同じように、なにが撮りたいかを考え、そしてたくさんの作品を見てお持ちのカメラで、Recしてみましょう!


電塾運営委員 菊池 斉



 
 

 

 

第四部パネルディスカッション

「写真が動いた!一眼ムービーでデジタル時代のシネマトグラファーを目指せ」

司会:川本康(玄光社 クロスメディア部/コマーシャルフォト編集部」

パネラー:

高野光太郎:エディター/VFXディレクター

柳橋伸幸:ムービー撮影監督

石田晃久:フォトグラファー

黒川静香:ディレクター

西邦夫:ポストプロ

 

 

 
 

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まずは司会の川本氏から、シネマトグラファーとは照明から撮影までを取り仕切る新しいタイプの監督…というか役割をさす、というお話しがありましてパネラーの方々の紹介に移りました。

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最初にそれぞれに「写真が動いた」という印象を初めて受けた時をインプレッション形式でお話しいただきました。左から高野光太郎様、柳橋伸幸様、石田晃久様、黒川静香様、電塾でもお馴染みの西邦夫様です。皆様、コマーシャルフォトなどでお馴染み、第一線で活躍しておられる方がたです。

35mmデジタルカメラの出現は革命的であったそうです。ポストプロ(ビデオの編集スタジオ)は結構ビデオカメラに否定的であったのが5Dの出現でデジタルシネカメラへの以降が加速されたようです。
映像業界から見た写真、写真業界から見た映像の世界と、それぞれの立場のかたがたからインプレッションをお話しいただきました。

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カメラマンに対する心得として、制作には当たり用のデータと本番用のデータを使用して効率化を図る、という印刷の世界と同じような方法論を覚えると良い、というお話しもありました。また、専門用語が多く、しかも英語が多いので言葉が取っつきにくいだろうが先に理解してしまった方が良いだろうというような助言もありました。物覚えがとても良くない私には結構きついお話しかもしれません。デジタルカメラの写りと35mmフィルムの写りは結構違うのだそうです。(ある程度感覚は分かります)5Dの場合は、またそれらと異なる感覚がありそうです。(それが写真が動いた??)

動画には生っぽさと、化粧した画像とかがあり、報道番組とCMの差がそれにあたるともおっしゃっていました。

また、撮影現場のお話しとして、ディレクターの存在、瞬間を取るのか、時間の流れを切り取るのか、というのもかなり異なるそうです。写真の世界ではカメラマンが全てを取りしきりますが、映像の世界ではディレクターが撮影の最初から最後までを取り仕切るのだそうです。(時々デザイナーさんがその役を担っていますが…)

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映画の場合は制作に要するスタッフの数とそれぞれのヘッドの数が非常に多いのでそれぞれにヘッドがいて、それらをとりまとめるのがディレクターさんの役割になるそうです。その当たりも写真の世界とはかなり異なる様相を呈しているそうです。いきなり動画の撮影現場に入られたカメラマンさんがそのスタッフの多さと役割分担に戸惑ったというようなお話しも興味深い物があります。(もっとも映画やコマーシャルと取材動画などではかなり異なるそうですが…)

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さらにこの日のパネラーの方々が携わった動画を上映しながらお話しをお伺いいたしました。この中で早くも縦位置の動画が披露されていました。

最後に黒川氏が話していたことが印象的でした。要約ですが、…
「デジタルカメラで撮影すれば機材費もかからない。Final Cut Proは10万円台になってしまった。それで誰でもとれるからと行って闇雲に品質の低いもを作ってしまういように。それがひいては全体の金額の下落に繋がってしまう。安かろう、良かろうではなく、たとえ短い動画であっても、それが再生されるメディアにきちんと合わせ込まれた、画像も音声も品質の良いものを作ることを心がけてくれ」…まさしく、私たち電塾が銀塩からデジタルカメラに乗り帰るときに最低限のルールとして課した課題です。銀塩の良さを認めつつ、なんとかその品質に追いつこうとしてきた…今度は動画でそれを行うのだな、と感じたディスカッションでした。

 
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