第3部はソニー株式会社(以下ソニーと略)が発表したα350をフューチャー。このパートは鹿野がレポートします。
メーカー側にとってはコンシューマ用入門機という位置付けらしいのですが、塾長を始め,私たちにとっては,ライブビューは大きな希望…期待の星?です。ライブビューを行いながら,一眼レフと同じタイムラグで合焦、シャッターを切ることができるという機能はまさしくその先見性の現れと感じるのです。(もちろん通常のミラーを通した一眼レフの機能も持っているのですが,それは私たち…少なくとも私には,あまり意味がない機能…というより,すべてをライブビューでまかなうところまで行けていないので,仕方なしに残した機構だと映ってしまいます。いわゆる一眼レフの機能って後2〜3年後には,「過去の遺物」化してしまうだろうなというのはあまりに性急な予測でしょうか?
デジタルカメラの本来の姿はペンタプリズムや,クイックリターンミラーなどの光学系のために開発された(当時はまさに,レンズを通して見ているものをそのままフィルムに定着できるという、素晴らしい機能でした)機構を捨て去り,光学系ではなく、本当の意味でリアルタイムに「イメージセンサに写っているものをそのままに確認,記録できる」カメラが理想なのです。
その意味で,「不要で」「レンズ設計に負担をかけ」「カメラ本体の大きさを自在にコントロールすることを不可能にしてい」「しかも重く」「ゴミを発生させやすい」クイックリターンミラーとペンタプリズムにいつまでしがみつかなくてはならないのでしょうか?
当然これらの性能をすべてライブビューに置き換えるためには,まだまだ技術の進歩が必要でしょう。しかし,その「兆し」が,コンシューマカメラからの乗り換え需要として開発されてきているのは面白い現象です。
ソニーは「クイックAFライブビュー」という名前を付けてきました。「簡単に使えて,高速(一眼のAFスピードに匹敵する)合焦できるライブビュー」が目標で,じつは我々の意図とは異なり,コンシューマユーザーをいかにして一眼レフに取り込むか,という考え方です。コンセプトは「話すように撮ろう」で、これはまた逆に,プロカメラマンが二眼レフなどを使用してポートレイトを撮影してきたかつてのスタイルを踏襲しようとしており、じつに面白いものです。
α350の特徴は液晶画面に被写体を表示しながらシャッターをきり続けることが可能、コンテニュアンスAFでも動作し、レリーズレスポンスもほとんど変化なしというもの。常用性を十分に考えて,技術の限界の階段を一つクリアーしたその成果だと感じます。以外とこだわっていたのが、ライブビューを使っても450カット程度の撮影可能という例の「スタミナ」です。これもソニー株式会社さんらしくて好感が持てます。実際の合焦とライブビューの切り替えはペンタミラーきりかえ方式というものを採用し,ミラーの角度を変化させることで,表示用のデバイスを直視であったり,ライブビューに切り替えたりする機構です。以前オリンパス が採用した機構を少々アクロバティックに変化させたものと受け止めてもいいでしょう。結果論としては,私たちがほしがっているものを形にしてきた,と受け止めてしまう電塾側と、如何にコンシューマーをデジタル一に取り組むかという課題に「使いやすいライブビュー」という答えを用意してきたソニー側との温度差はあるものの、その仕上がりは大いに期待できるものだったというのが私の感想です。
動体を持ち込んでのデモに群がる人たち…
基本的にライブビューは三脚につけて使用する。ちょっとくらい合焦が遅くても正確な方がいい。これがプロカメラマン側の意見です。しかし,それだけでは「売れる」デジカメは作れない。多くのユーザーが「欲しい!」と思う機能を搭載した方が勝つのです。その方向性がが奇しくも一致したのがα350ではないでしょうか?
メーカーの期待とは異なるところで食いついてしまった格好ですが、私は大いに期待したいと思います。ただ,あたしたちは手持ちでカメラの液晶を見ながら撮影するのはどうも不慣れだわ。やはり,ライブビューは三脚につけて使わないと…。
文:鹿野 宏