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2019年 6月 定例勉強会レポート

6月の定例勉強会は25名の塾生にご参加いただきました。

誠にありがとうございました。参加者のほとんどがそのまま懇親会上に移動する珍しい勉強会でもありました。ちょっと長めですが6月のレポートをお届けいたします。

 第1部 微動システムを搭載したビューカメラのご紹介と電塾チャート 鹿野宏

01.1.jpg フルサイズミラーレス機が充実した今、その短いフランジバックを生かして、「アオれる」ビューカメラに注目しています。高い解像感と広いイメージサークルというすばらしい性能を持った大判レンズと組み合わせてカメラ単体では不可能な超高精細撮影撮影、複数のアオリを組み合わせた撮影が可能ですが、個人的には特注で製作していただいたタイリング専用ビューカメラが最も嬉しいものでした。

 

 

 

 特徴 1:前玉とセンサー面を支える鳥居(この場合L型)が、確実に水平、レールに対して90度の角度であるため、前板のアオリ機能は全て外し、後ろのセンサー面を支える鳥居もシフト、ライズ機能以外は取り外して、レンズとセンサー面の正合性を確保しました。タイリング撮影において絶対条件となる部分で、「必ず繋がるはずのタイリング素材」を手に入れられるのです。

特徴 2:シビアな超高精細撮影においてピント合わせは重要な要素の一つですが、通常のラックアンドピニオンギアではピントを合わせて、ロックネジを締め付ける時に確実にピント位置が変化してしまいます。そこで最終ピント合わせのギアをスピンドルギアに変更して、「ピントが合ったら手を離す」だけでピント面は固定されて移動しない仕様になり、確実なピント合わせが可能になりました。

01.3.jpg特徴 3:「シャッター切る際には全てのロックを確実に実行する」これは「ブレない写真」を撮影するためにどんな写真でも重要なことです。もちろん手ぶれ補正はマルチショットの最中は動作しません。一箇所でもロックを忘れているとそのせいでブレてしまうことがあります。そのためピント合わせに使用したスピンドルギアの6センチ版を新たに開発、シフト・フォール、ライズ・ダウンの2方向にも採用していただき、カメラ位置をずらす作業時にもロックが不要、かつ小さな力で細かいコントロールができるためカメラが変に歪んだり向きが変わったりすることもありません。わざわざロックをしなくとも微動だにしないカメラであることは大きな意義があります。

 さらに幅広くバック部を移動させても蛇腹に引っ張られないように袋状の蛇腹を2枚つないだものに変更しました。短い焦点距離のレンズでもつけられるようにマウント部は可能な限り短く仕上げていただきました。おかげで仕上がりは驚くほど軽く(約 1.8Kg)コンパクトな仕上がりになっていました。ソニーのαRIII・パナソニックの S1Rなどを使って驚くほどの超高精細撮影が可能になったのです。

久しぶりに電塾チャートの撮影方法、その判定の仕方をも解説しました
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2部 「あの人に会いたいビューカメラを製作して50年」六川和男様

02.jpg今回のタイリング専用ビューカメラを製作していただいた、六川氏はホースマン時代からビューカメラ一筋に生きてこられました。その経歴と制作者サイドからビューカメラについて語っていただきました。普段の無口な性格とは異なり意外(失礼)とお話がとてもお上手。蛇腹式35mm 接写装置の話から始まり、ビューカメラ製作に移行していったお話し、ホースマンで L45カメラを作ったお話、日本製のビューカメラしか残らなかった事情、彼がビューカメラを作り続ける理由がミラーレスの存在であったこと、デジタルカメラを使うならピントがシビアになるので粗動は手で行い、微動はラックピニオンではなく、スピンドルギアでロック不要にしたのは彼の知見です。ただ、シャッターを作ってくれるメーカーがなくなったことで、大判レンズの供給がかなり難しくなったということです。救世主はペンタックス645用のレンズで、35mm 45mm 75mm 120mmMacro 150mm 300mmなどが絞りリングがついているので、十分に使用できるそうです。筆者も、SMCPENTAX35mmをお借りしてテストしてみましたが、この広角で使えるレンズは少なく、解像感高く、しかも十分にアオれるイメージサークルを持つのでおすすめです。

3部 「PhaseoneXFによる被写界深度合成、あなたの知らない商品撮影の世界」 高宮岳彦氏

03.1.jpg昨年の電塾祭りで大好評ながら惜しくも自己紹介のうちに時間切れとなった高宮様のリベンジセミナーのバージョンアップ編、満を持してのお届けは大きな拍手で迎えられました。強引に簡単にまとめます。

 

 

 

 

静岡の二輪メーカーの支給ポジを撮影していたそうです。

フィルム時代からカラーバリエーションはデジタルで作業してフィルム出力していたそうです。

驚くほど緻密に水平、垂直、中心点を出すことが何よりも求められ、形を整えながら撮影するために色々なビューカメラを遍歴してきたそうです。しかし、最近の工業製品は CAD で制作されるたCGとの戦いも結構あるそうな。商品撮影時は複数のライティングで撮影したデータのいいとこ取りをするため、どうしても合成前提の撮影が必要になるのだそうです。

短いレンズが欲しいこともありついにデジタルバック専用設計のボディを使うようになった。

振動計連動センサーは振動が収まった時にシャッターが切れるので、ブレがない。

商品撮影はピントが合っていてなんぼ

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フォーカススタックのコツはわざと絞り込んでややピントが鈍い状態で撮影すること。

ーキーなピントではフォーカススタックは難しい

複数のピント位置をあらかじめ設定し無振動でフォーカススタックでした。

4部 「あの人に会いたい・あたしたちが知らないテレビの世界」大野克己様

04.1.jpgテレビ、写真、映画の世界を縦横に活躍してきた大野様は鉄道が趣味で映像を製作しながら写真も撮る!という大野さんにこだわりの映像論と鹿野からのインタビューでお送りします。大野氏の本職はテレビのプロデューサー、ディレクター。写真機が大好きで約40年。 5DMII で動画が撮れる時代になり、映画系な映像製作が自分でもできる時代が来たことを実感したそうです。
と思ってたらFinal Cut Pro が出現して編集も可能に。ミラーレスカメラが出てビデオカメラとまったく同じ構成になった。

どんどん仕事が増えますが、動画と静止画には大きなちがいがあり、動画の中でもテレビと映画の世界はさらに目指すもの、システムが異なるので、そこのところを理解するともっといい「映像作りができる」はず。

人間の目はちょっと距離をとるともうぼけない、パンフォーカスの世界。撮像管から進化したビデオに流れを組む報道なども同様で基本はパンフォーカス。ボケてしまってはどこかで画面の端っこで事件が起こった時にそれが確認できない。パンフォーカスは人間の通常の視野と非常に近しい。

ほぼAPS-C sizeからはじまる映画はマイクロフォーサーズ以上のセンサー(フィルム)サイズをもち、人間の眼と比較して非常に大きい。だから簡単にぼける。これが映画の大きな特徴のひとつ。人間の目とは異なる映像の見せ方ができる。

また超広角域がほとんど存在しなかった「映画」は、人間はまず行う事がないパンニング、リフティング、ズームイン、ズームアウトなどの映画ならではの見せ方を切り拓いた。ただ、カメラを振り回すのではなく、目的をもって手段を選ぶことがとても大事だ
04.2.jpgお話の中から拾った素晴らしいティップスを一つ。むやみにカメラを振らない。画面は移動しなくても、その中でななにかが動けばそれが動画だ。パン二ングをするときはあらかじめ最終的な位置に対して正対して立ち、体をひねってスタート地点に戻り、パンニングをすると自然と最後には体が安定して見事に止まることができる。題して「パンニングは腰でやる」なるほど!

場にあわせるカメラと場が合わせるカメラの世界大きく分けてこの二種類の撮影方法を理解していると「今、どのように対処するべきか」を的確に判断できるようになる。

場にあわせるカメラ 何かが進行している状態をを追いかけていく撮影 積極的にライティングではなく、その現場にあるライトを活用してカメラが追いかけていく、スポーツ、イベント、舞台、などの撮影

場が合わせるカメラ カメラに合わせて照明、演出を行なう撮影方法で、これは多くの映画やコマーシャルがそれに当たる。

テレビは基本が遠くに中継するもの(テレ ビジョン)でスポーツやイベント、舞台やコンサートなどがその主力コンテンツ。

映画はお話しにあわせて寄ってたかって必要な素材を撮影し、それを編集して仕あげる。場が合わせるカメラであることが多い。

04.4.jpg最後に、お気に入りの番組、BS1で絶賛放映中の「沁みる夜汽車」のご案内ががありました。みんな見てね!

https://www4.nhk.or.jp/P5758/