2014年8月 定例勉強会レポート「超高精細画像特集」
8月動画特集にご参加下さいました皆様、ありがとうございました。超高精細画像特集のレポートをお届けいたします。9月6日のテーマは「私の写真術」で、「浅草JRAパークホールビル3Fホール 」にて開催いたします。場所が変わりますのでご注意ください。
午前の部「超高精細画像生成方大検証」
電塾運営委員有志
早川 廣行
阿部 充夫
本田 繁次
谷口 とものり
染瀬
鹿野 宏
2014年08月02日電塾定例勉強会 は「超高精細画像特集」です。
今回のテーマは「国宝級の絵画や壁画等を限られた撮影条件の中でいかに超高精細に撮影するか」です。そのため早川廣行塾長が昨年までつとめていた(現在は阿部氏が後任)東京芸術大学保存修復油画研究室に協力を依頼し、120号ほどの修復前の絵画を使用して撮影を行い、その結果を基に電塾運営委員有志が「いかにして適正な超高精細画像を収得するか?」を検証しました。
5×7+39MS+210mm×9
電塾の十八番であった超高精細画像…これまで「1ピクセルの真正性」と写し取られたフォルムの正確さに重点を置いて語られてきました。もちろん、牽引者は塾長の早川廣行で、日本における超高精細画像のリーダー的な存在でした。彼の手法は5×7という大きなサイズのカメラ(元々大判カメラとは4×5inch以上を指していました)にシュナイダーアポデジター210mmを装着、(マルチショットについてはこちらを参照して下さい)すべての画素に正確なRGB情報を持ったデータで9面タイリングを行います。結果2億画素オーバーの画像でありながら200%拡大してもびくともしない画像を取得する方法絵論で、今回の画像比較のひな形となる物ですが、機材のほとんどは製品をそのまま使用出来ず殆どに自分で改造した後がありました。機材やセッティングに慣れた人間でも準備に2時間はかかるという結構大がかりな仕事です。
NodalNijy+6D+100macro
谷口氏の手法は「ノーダルニンジャ」を使用して100mm相当のレンズを付けたデジタルカメラでパノラマ撮影。それを上下二段で撮影し合成する物でセッティングから撮影まで30分ほどで完了しました。使用した機材もキヤノン6Dに100mmマクロレンズを装着。今回のシステムの中でもっともお安い「リーズナブルコース」でした。
GigaPanEpicPro+D800E+200Zoom
染瀬氏の手法は「GigaPan EPIC PRO」と呼ばれる「自動撮影雲台」にカメラを取り付け200mmレンズを取り付け、50枚ほどに分割して自動撮影、その後アプリケーションを使用してそれらをゆがみを修整して合成。撮影も合成も殆ど自動で超高精細の画像を得る方法です。こちらはニコンD800Eに70-200mmのズームレンズの200mm側を使用して撮影していました。方法論としては谷口氏とおなじ方法論です。
200MS+120macro+4shot×4/200MS+120macro+6shot
鹿野が取った方法は早川廣行氏の使用するカメラの次世代機H4DII200MSを使用し、6shot(詳しくはこちらをご覧下さい)という切り口で4shotで撮影した画像をソフト内で200%に拡大、さらに斜め方向に1/2ピクセルをずらして撮影した情報を元に4倍になった面積の画素分離をさらに正確にするために適用します。一回の撮影で2億画素を得ることができるので、大量の写真を撮影する際に威力を発揮します。併せてカメラを水平方向と垂直方向に移動し4shotを4面分割で撮影、合成した物も制作しました。
GigaPanEpic100+SD1Merril+150macro
さらに早川廣行氏はシグマ社のSD1Merrilに150ミリマクロを装着。これも大改造を行った「GigaPan EPIC 100」に搭載し、自動で撮影。合成して仕上げました。SD1に搭載されたFoveonSensorはワンショットながらマルチショットに匹敵するpixelを取り込むことが可能です。欠点は感度が低いこと、発色が独特でそれなりにスキルが必要なことですが、現在はさらに進化した「クアトロ」センサーが発売され結構期待されているシステムです。
これら5つの手法はそれぞれに素晴らしい点や欠点があり、仕上がりもそれなりに異なるようです。これらそれらの違いを検証していきたいと思います。
画像のフォルムの正確さ。
まず画像の整合性を確認してみましょう。
5×7+39MS+210mm×9
早川廣行氏の合成方法は9面タイリングを行っていますがレンズの位置に変化はありませんそのため収差が少なく解像度が高いレンズであれば素晴らしい結果を期待出来ます。もちろん被写体のフォルムも正確に写し取ることが可能です。この画像を基準画像とします。これ以降は差の絶対値を使用してターゲットの画像を重ねて表示しています。
200MS+120macro+6shot
まず最初にH4DII200MS_6shotの場合もレンズの性能さえ良ければイメージセンサーを1/2ないし1pixel移動させて撮影するため120mmマクロレンズであれば解像感、フォルムも高い精度で撮影出来るはずです。実際にこの二点を「差の絶対値」を使用して重ね合わせてみました。最大で8ピクセルの「ずれ」はある物の殆どおなじと言って良いでしょう。
200MS+120macro+4shot×4
同様にH4DII200MSの4shotを使用して4面タイリングした物を比較してみました。この方法の弱点は「視点が移動する」事です。撮影がしっかりしていれば基本的にはつながるはずですが、立体物には向かない方法です。ですのであまり大きな多面体リングはおすすめ出来ませんが、被写体が複数枚のパネルで構成されているような場合はかなり有効です。やや下側が膨らんでいたのは撮影時にレンズの位置がずれた可能性があります。
GigaPanEpic100+SD1Merril+150macro
ロボット雲台AutoPano 100にSD1Merril+150mmマクロをセットした物はややずれを感じますがかなり見事に繋がっています。実は筆者はカメラを中心において視点を変えて撮る場合に起こるコサイン誤差とそれを補うためにピントを合わせ直した場合の撮影サイズの変化がどれだけ出るのかがもっとも気になっていた部分でした。この程度の誤差はカメラ移動のタイリングに比較するとやや大きめですが、全般としては十分に実用範囲に入る物だと認識しました。
GigaPanEpicPro+D800E+200Zoom
同様にロボット雲台AutoPanoPro(こちらは2軸で支えるタイプで少々高価です)にニコンD800Eと200mmレンズを搭載した物。同様に十分許容範囲に入る「ずれ」で済んでいます。
NodalNijy+6D+100macro
「ノーダルニンジャ」というパノラマ用に開発された装置にキヤノン6Dと100ミリマクロを取り付けて手動で撮影した物は「高さを2段階に分けて、それぞれパノラマで撮影」というカメラ移動とパノラマ撮影を組み合わせた方法論で撮影されました。上半分を合わせると下半分がどうしても合わず、下半分を合わせると上半分が合わないという状態です。それでも最大で40pixelほどのずれで済んでいます。この場合もレンズを中心に据えて撮影すればもっとずれを解消出来ると思われます。
画像の精細さ
今回の検証のメインターゲットがこれです。ただし、全機種が基本の2億画素で出来ているかというとそうでもありません。現実に撮影した被写体がちょうど2億画素になるように撮影するためにはかなりの時間が必要となります。そのため今回は「およそ2億画素をターゲット」に定めました。39MSの撮影がおよそ2億1500万画素。SD1と200MS+6shotがやや小さく、6Dがやや大きい。D800Eと200MS4shotが6Dの約半分という結果です。本来なら、2000万画素程度の増減にとどめておきたかったのですがレンズが揃わないということが敗因だったようです。そのため詰めた検証はできませんが大まかな方向性は見ることが出来たと思います。
200MS+120macro+4shot×4 1億1706万画素
200MS+120macro+6shot 1億7981万画素
GigaPanEpic100+SD1Merril+150macro 1億6427万画素
GigaPanEpicPro+D800E+200Zoom 1億4230万画素
NodalNijy+6D+100macro 2億3798万画素
5×7+39MS+210mm×9 2億1524万画素
この中でAutoPano100+SD1MSだけが画面中心下側で演算ミスをしています。理由は定かではありませんが、気になる部分です。
pin タイトルをクリックすると元画像が別ウインドで開きます。
もっとも印象的なのがこのシーンでした。破れた地塗りとその裏に見えてくる麻布の地、画布が垂れ下がるのを留めている画鋲などコントラストを要求されたり、高い解像感を要求される部分です。このシーンでも39MS×9面タイリングは最高の品質を維持していました。通常100パーセント表示ではあまりさが見えないのですが200%に拡大したときにその差が思い切り現れてきます。この作例は比較しやすいように300パーセントでキャプチャーしてあります。
200MS4shotの4面タイリング
たった1億1700万画素しかありません。目標の2億画素(現実には39MSによる9面体リングの2億1700万画素)の半分の画素です。そのためかなり見劣りのするデータになってしまいました。5000万画素のカメラを4面タイリングしても2億画素に届かないのです。がんばって6面タイリング、あるいは8面タイリングが必要になるでしょう。
200MS+120macro+6shot
その意味でも右となりの200MS6shotは一回の撮影(シャッターは7回切りますが)で画面サイズで2億画素を撮影出来るのは意味があります。また撮影の際には本体カメラ、3脚とコンピュータがあれば撮影出来るのも特徴です。SD1Merrilには及ばない物の通常のベイヤー配列の1shotと同等かそれ以上の解像感を持っています。
GigaPanEpic100+SD1Merril
150ミリマクロというレンズ性能の高さ、Foveonセンサーの解像感の高さを十分い発揮し、39MSに劣らない切れの良さを持っています。下地や塗料のはげた部分などのディテールもいい感じに撮影されています。ただ、こちらもややサイズが小さいのでもう少し被写体に寄るか200ミリ程度のレンズを使用していたならもっと良い仕上がりをしたでしょう。早川氏が特にこのロボット雲台にこだわる最大の理由は「撮影漏れがないこと」だそうです。なるほど、と思いました。私自身タイリング撮影を連綿と続けているときに時々「あれ?」と思うことがあるのです。
GigaPanEpicPro+D800E+200Zoom
D800Eという解像感の素晴らしいカメラを使用している事から今回撮影したデータの中でかなり期待していたのがこのセットでしたが、どうも期待通りではありませんでした。撮影したサイズが小さいこともありますが、どうやら、シャッターによるブレが発生していたようです。(D810はそのあたりをかなり改良してきたそうです)ピントも固定だったこともあり、自動で撮影する際の難しさを目の当たりにしました。前述のGigaPanEpic100+SD1Merrilはミラーアップをして撮影(ピントは一カ所に合わせたまま)後述のNodalNijy+6D+100macroもミラーアップをして毎回ピントを送っていたそうです。また、今回使用したレンズが長焦点側を使用したいと言うことで70-210のズームレンズを使用していたそうです。それもきつかったのかもしれません。ズームレンズの場合とその重さによるブレの発生はこのような撮影の場合「必ず排除しなくてはならない大敵」という事がおかげで浮き彫りにされました。実は39MSや200MSを使用している際もレンズやボディを大きなプレートに乗せて縛り付けるなど内部、外部のブレを徹底的に排除していたのです。同じようなちゃんすがれば今度はミラーアップをして被写体の中心ではなく中央1/3程度の場所でピントを合わせ、200ミリ程度の質のいい単レンズを使用すると驚くような結果を見せてくれるかもしれません。その意味では良い機会でした。
NodalNijy+6D+100macro
上下二段に分けてパノラマ撮影を敢行したのは100mmmacroというレンズの焦点距離の短さによる物でしょう。かなり近くから撮影されていることもあり、ゆがみは多い物の解像感はベイヤー配列のカメラでここまで来るのか?という物でした。もっとも比較が像を見れば分かるとおり今回のテストの中でももっとも大きなサイズで撮影されていたのは確かです。サイズ感を合わせるとやや落ち込むかもしれませんが300パーセントでこれだけ再現していれば上出来です。
face タイトルをクリックすると元画像が別ウインドで開きます。
肌の色彩再現はここでは無視してください。その検証はまた別のところで…見て分かる通りハイライト部とシャドウ部の再現にやや差があるようです。ハッセル系以外はかなりコントラストが高く感じるので、カメラプロファイルの設定も適切に扱う必要がありそうです。個々の再現には言及しませんがこのシーンのNodalNijy+6D+100mmの迫力は凄いですね。
edge タイトルをクリックすると元画像が別ウインドで開きます。
いいことづくめのような5×7+39MS×9ですが、この画面左上端を見ると逆にもっとも出来が悪い仕上がりになっています。これは「ピントが外れてしまった」ためで、210ミリという長焦点の性で被写界深度が狭いのも作用しているようです。なぜこの端っこにピントがきていないのかというと5×7という大判カメラのレンズの中心線に対するフィルム面の精度のお話になってしまいます。4×5出さえ、フィルム面の平行性はいい加減だったのに、これが5×7となるとほんの少しのゆがみでピントがずれてしまいます。この程度に抑えられているのは撮影者が熟練しているからだと考えるべきかもしれません。つまりプロカメラマンの経験なくしては使いこなせないシステムだとともいえるでしょう。
GigaPanEpic100+SD1Merrilや、200MS4shotの4面タイリングが周辺でも安定した性能を発揮しているのは分割撮影しながらピントをすべて合わせているおかげといえます。
撮影時間と金額
実際にこれらの手法から何か一つを選択するとどうしても気になるのは「効率」です。効率は仕事の進行のしやすさとそれにかかわる人工、そして機材費です。なお、書き込まれた数字は鹿野が勝手に判断している数字ですのであしからず。三脚などの機材は抜いていますが重いカメラになるほどそのあたりにもお金がかかります。
使用機材 | セッティング時間 | 必要人員 | 必要金額 |
5×7+39MS×9 | 120分 | 3名 | 600万円 |
200MS+120macro+6shot | 20分 | 1名 | 800万円 |
200MS+120macro+4shot×4 | 60分 | 2名 | 800万円 |
GigaPanEpic100+SD1Merril+150macro | 30分 | 1名 | 28万円 |
NodalNijy+6D+100macro | 30分 | 1名 | 29万円 |
GigaPanEpicPro+D800E+200Zoom | 30分 | 1名 | 60万円 |
※ キヤノンはレンズを180ミリマクロに、ニコンはD800EからD810レンズも200ミリマイクロレンズに変更しています。このセットでしたら文句なくうまくいくと思われます。SD1もできればEpicProにバージョンアップした方がいいかもしれません。
まとめ
5×7をベースに39MSをタイリングして撮影する手法はすべての基準となり得る撮影方法であることは確認出来ましたが、実はセッティングをばらすにも1.5時間くらいかかります。1枚を撮影するために15分から20分かかります。ハンドリングには熟練したカメラマンが必要になります。金額も人員もかなりかかってしまいます。そのためあまり「実用的」ではない手法だと考えてもいいでしょう。(方法論はまっとうな方法論で高く評価されるべきですし、それなりのギャラが考えられます)
SD1をベースにした手法では驚くほど金額が安く、素晴らしい成果を期待できます。ここの問題は暗いところでは撮影出来ない…ですが将来的にSD1クアトロが発表されればかなり改善されるようです。かなり「じゃじゃ馬」なカメラなので使いこなしにはある程度の努力も必要としますが、この金額でこれだけの仕上がりが得られるなら努力のしがいがあります。レンズも180ミリマクロがありますのでこちらも期待出来ます。後々バージョンアップを考えてもいいでしょう。
手持ちのカメラを使用するのであればニコンやキヤノンのそこそこのボディにレンズだけは単レンズでマクロ系、200ミリ程度の物を追加し、GigaPanでミラーアップして撮影する方法もありのようです。ギガパンの魅力は今回は「2億画素」という縛りがあったためこのサイズで撮影しましたが、本来は10億画素を得ることができる点です。1画素の比較では39MSに叶わないですが簡単に10億画素までの画像を収得できるのであれば、十分に価値があります。
200MS+120macro+6shotは金額が張り、扱いにも多少の熟練が必要ですが5×7ほどの熟練は不用で、ボディ一体型でスピーディに作業ができる点は大きく評価するべきでしょう。2億画素を4面タイリングすると約5億画素の絵を得ることが可能です。いざというときは5000万画素のカメラとして動体撮影が可能なのも魅力の一つです。
徹底的に1pixelの真正性にこだわる場合はマルチショットが正解でしょう。でも、GigaPanEpicProのすごさもよく理解できました。なんと言ってもその気になれば20〜60万円で10億画素できちゃう…。しかも立体物や時間軸で変化する物もある程度撮影出来るという強みを持っています。距離が離れれば離れるほどその力が発揮されます。ただ、ミラーショックをかなり受けること、自動撮影時に個々のピント調製が難しいこと、特に近距離ではやや対象と異なるフォルムになることをどの程度まで許容できるかが問題で、選択肢としては十分素晴らしい選択肢だと感じました。
レポート 鹿野 宏
午後の部 第1部「中判、5000万画素、超高感度というマルチスペックの ペンタックス645Z」
リコーイメージング株式会社 マーケティング統括部 前川泰之様
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前川氏の「電塾に集まっているメンバーはかなりの情報通と思われるので、基本的なことは知っているであろうということをベースにお話を進めます」という前置きで645Zの紹介です。
645Z(左)と645D(右)
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ペンタックス645の歴史から
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この歴代の交換レンズ、25万台が今度の645Zにも使える!
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そして、新たに生まれた「645Z」35ミリフルサイズ機とは別次元の超高画質、超立体描写
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今度の645Zは今までとは違う被写体にチャレンジできるカメラ?
風景が撮れるのは今まで通りに当たり前、従来は少なかったであろう人物、ポートレート、スタジオワークの写真がストレスなくサクサク撮れるようになった。
製品の特徴
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645Dよりも2倍の連写性能になった645Zを得意げに持ち、連写音を聞かせる前川氏
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ユーザーインターフェイス①
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ユーザーインターフェイス②
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正面から見た場合はコンパクトなデザインになっている。その訳は台形のプリズム
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レンズの話
おいしい焦点距離にズームレンズが集中しています
ユニークなセンサーのゴミ対応
回折の補正
その他
IMAGE Transmitter 2
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IMAGE Transmitter 2 の使用画面
この後、質問タイム
なんとこの後、実機のオサワリと質問タイムが20分も続いた!
質問の一部
Q:Wi-Fi機能はありますか?
A:ボディには内蔵していません。別売りのWi-Fi対応のSDカードで対応をお願いします。
Q:このサイズのカメラだから動画は当然4Kで撮れますか?
A:出来ません。このサイズだからこそ処理が大変です。
Q:お薦めのレンズは?
A:MACRO 90mmF2.8ED AW SR このレンズは1/2倍まで寄れるマクロレンズですが、クリアで
やわらかな描写でポートレートに最適な中望遠レンズです。MACRO 120mmF4 もお薦めで
す。
Q:今ある645クラスというか中判サイズカメラの中で、感度はどうでしょう?
A:感度は645Zが35フルサイズ機も含めて一番良いと思います。
ペンタックスの高感度の画作りは他社と比べるとノイズは多いと思います。というのはペンタ
ックスは粒状性に対して悪いイメージを持ってないです。粒子で良い画が出来れば良いと考えて
いる。ただ色ノイズは消します。だから、粒の揃った奇麗なノイズが見えます。
Q:現像ソフトは?
A:Digital Camera Utility 5 です。Lightroomはまだ未対応。アドビ社には資料を送ってあるので
次のバージョンのCamera Rawで対応するかもしれません。
Q:テザー撮影は?
A:出来ません。
Q:マニュアルフォーカスレンズとの相性は?
A:今のレベルだと少し甘く感じるかもしれない。97年以降のAFレンズならかなり精度が高く問題
なく使えます。
PENTAX 645Z ホームページ http://www.ricoh-imaging.co.jp/japan/products/645z/
レポート、写真:電塾運営委員 柳川 勤
午後の部 第2部「35mmフルサイズ、3600万画素、トーンと発色の良 さ、高い動画性能のニコンD810」
株式会社ニコン 映像事業部 開発統括部 第一開発部 第二開発課 松本様
映像事業部 開発統括部 基礎技術開発部 第一開発課 木村様
ニコン製品の紹介は今年4月の勉強会に続き2回目です。
すでに7月17日に発売されており、好評を得ているようです。
・まずは、開発の背景から。
D800シリーズは、中盤カメラに匹敵するほどの高画質であると高い評価を貰った。
一方、36Mあるのにそれ相応の解像感が出ていないような気がするとか、撮り方が難しい、もっ
と高画質が欲しい、デジタル一眼レフかめらの機動性を活かせる汎用性が欲しい、動画機能をさら
に充実して欲しい、などの意見や要望が多数あった。
そこで、機構を一から見直し、画作りをさらに洗練させた。
・D810のターゲットは、静止画、動画を問わずあらゆるシーンで最高画質を求めるプロフェショナ
ルフォトグラファー、アドバンストアマチュアフォトグラファーを想定。
・D810の特徴
①機構、操作性の刷新で静音化、機構ブレの低減、電子先幕シャッターの採用
②圧倒的に鮮鋭感が高く、階調が豊かなニコン史上最高の画質
③動画は1080/60Pの高鮮鋭感、高画質を実現
サンプル画像/http://www.nikon-image.com/products/slr/lineup/d810/sample.html
☆ISO 64 を達成した新撮像素子
◎有効画素数 3635万画素
◎常用感度 ISO 64 ~ 12800 [Lo1 (ISO 32相当)まで減感、Hi 2(ISO 51200相当)まで
増感も可能]
◎光学ローパスフィルターレス仕様
☆新画像処理エンジン「EXPEED 4」
◎高画質化:高感度ノイズ低減性能の向上
オートホワイトバランス精度の向上
抜けの良い発色、立体感の向上
[明瞭度]による鮮鋭感の向上(静止画のみ)
解像感の向上
◎高速化 :「EXPEED 3」比で処理能力30%向上
連続撮影枚数の向上
◎多機能化:1080/60Pの動画性能
◎小型化、低消費電力化
☆ニコン一眼レフ史上最高の精度を誇る「51点AFシステム」
◎ハード面の工夫、アルゴリズムの見直し
◎D4sに採用の「グループエリアAF」搭載
☆ハイライト部のディティールを保持する「ハイライト重点測光」モード搭載
◎スポットライトを浴びる舞台撮影などで有効
◎明るい部分に重点を置いて測光し、白トビを抑えた露出値を決定
☆新開発のメカシーケンスで静音化と機構ブレ抑制を実現
◎ミラーのアップダウンをモーター駆動化し、さらに新規ミラーバランサーを設置、静音化、
機構ブレ抑制を実現
◎シャッターモーターの回転数を下げ、ギヤ駆動音を低減し静音化を計った
☆電子先幕シャッターの採用でさらなる機構ブレを低減
◎ミラーアップ時に、電子先幕シャッターに切り替えた撮影が可能
→ メカ先幕走行による機構ブレなし
→ ライブビュー撮影と組合せ、効果を発揮
→ 望遠レンズでの風景や月面撮影等、ブレを極力抑えたい時に有効
☆光の透過率、見えの色味を改善し、明るいレンズでのピントの山のつかみやすさと明るさを
両立させた視野率約100%の光学ファインダー
◎コーティングの改良でより明るくクリアーになった
D4s と同じ高度な仕様
◎見やすいクリアーな文字を表示する有機EL表示
☆ピントの山が掴みやすい約122,9万ドット、RGBW配列の3,2型液晶モニター
◎ライブビューを拡大した時の画質が向上、ピント合わせの視認性、操作性が進化
◎ホワイトドット数の増加およびガラス、パネル一体型構造等により、さらに明るいモニター
を実現
◎液晶モニターの色調を調整できるカラーカスタマイズ機能搭載
☆FXフォーマットで約5コマ/秒、100コマまでの高速連続撮影
☆起動時間約0,12秒、レリーズタイムラグ約0,052秒の高速レスポンス
☆長時間安心して撮影できる低消費電力設計
☆同じ水平面上の異なる2点を同時に拡大する「2点拡大」機能
◎静止画ライブビュー映像の平行線上にある2点を同時に拡大する機能
上下方向は2点連動して移動が可能
◎建築物の厳密な水平合わせや2カ所のピントを確認するのに有効
☆4種類の静止画撮像範囲
◎ FX(36X24)
◎ 1,2X(30X20)
◎ DX(24X16)
◎ 5:4(30X24)
☆ワークフローの効率化を実現する「RAW サイズS」(12bit 非圧縮)を搭載
◎画素数は「RAW サイズL」の1/4
フィルサイズは約1/2
☆コマ数無制限のJPEG連続撮影
◎レリーズモードがCH、CLで、シャッタースピードを4秒以上に設定した時、長時間にわた
るJPEG画像の連続撮影が可能(「100コマ」の制限を解除 )
☆ピクチャーコントロールシステムの進化①
◎各ピクチャーコントロールの調整自由度お向上
・新たな調整項目[明瞭度]の追加で静止画のクリアー感の調整が可能に
・各調整項目の調整ステップを 0,25 に細分化し、[明るさ]のレンジを ±1,5 に拡大
☆ピクチャーコントロールシステムの進化②
◎新しいピクチャーコントロール[フラット(Flat)]を搭載
・[ニュートラル]より画像の演出が少なく、被写体情報を最大限に取得できる
→画質の調整や加工を加えても白トビや黒ツブレ、色飽和が起きにくく、明暗、色ともに
階調性豊かに仕上げられる
→動画で使用したら効果的かも
☆ピクチャーコントロールシステムの進化③
◎自分好みのカスタムピクチャーコントロールが作成できる
・単独で起動できる無償アプリケーション「Picture Control Utility 2」
→カメラと同様のパラメーター調整に加え、カスタムトーンカーブを使った調整も可能
→微妙な調整具合をリアルタイムで反映されるプレビュー画面で確認できる
→ウィンドウサイズを拡張するとプレビュー画像も大きく表示される
→作成したカスタムピクチャーコントロールは、同一パソコン内のViewNX 2 、Capture
NX-D のピクチャーコントロールリストに自動的に登録され、任意のRAW(NEF)画像に
適用できる
→メモリーカードを介してもカメラに取り込み、登録できる
※新しくなったピクチャーコントロールシステムの紹介サイト
http://imaging.nikon.com/lineup/microsite/picturecontrol/jp/
☆RAW現像に適した、無償 純正アプリケーション「Capture NX-D」
◎RAW(NEF)ファイルの現像に特化した調整機能
◎フローティングパレット機能を搭載:画像調整ツールを好きな位置に移動可能
◎サムネイル 1枚表示に加え、2枚、4枚の画像比較や調整前、後の画像の規格も可能
◎Picture Control Utility 2 の呼び出しも可能
◎JPEG、TIFFファイルの簡易調整も可能
◎D810より前のカメラで撮影したRAW(NEF)画像にも[フラット]や[明瞭度]の適用が可能
各パラメーターも0,25ステップで調整でき、撮影に使用したカメラにかかわらず、細かな
調整が可能
☆モアレ・偽色を大幅に軽減した1080/60Pの高画質動画
◎撮像素子からの読み出し方式をさらに最適化し、より精細感、立体感の高い画質を実現
◎露出のちらつきを低減し、明るさの変化に、より滑らかに追従
◎ISO 64により、明るい場所でのNDフィルター使用頻度を抑えられる
☆動画の操作性の向上①
◎動画専用の中央部重点測光と舞台撮影などに向いたハイライト重点測光を追加
◎絞りとシャッタースピードを固定し、ISO感度のみで露出追従が可能
→一定の被写界深度、一定のモーションブラーの効果で撮影できる
◎動画撮影中のパワー絞りが可能(A、Mモード)
☆動画の操作性の向上②
◎二つの撮像範囲を使い分けられるマルチエリアモードフルHD対応のDムービー
→FXベースの動画フォーマットとDXの動画フォーマットを使い分けられる
☆動画の操作性の向上③
◎音声機能の改良
→ステレオマイクを内蔵
→風切り音の低減が可能(内蔵マイク仕様時)
→録音帯域(広帯域/音声帯域)の選択が可能
☆動画の操作性の向上④
◎カメラ内部のメモリーカードとHDMI出力で外部レコーダーへの1080/60P同時記録が
可能
◎動画の白トビを防ぐ「ハイライト表示」機能
→白トビを起こしそうな部分を斜線表示
→アイボタンから設定可能
→HDMI出力時には、出力先に映り込まないようにすることも可能
◎微速度撮影/インターバルタイマー撮影時の露出のちらつき低減が可能な「露出平滑化」
※インターバルタイマー撮影時は9999コマまで撮影可能
D810の作例を見る早川塾長
レポート、写真:電塾運営委員 柳川 勤
今月の一枚
浅草に定住し始めて第3回の電塾。やっと明るさをコントロール出来ました。塾長も二ヶ月ぶりの復帰です。でも第4回目はまたお引っ越しになってしまいました!皆さん参加するときは場所に注意してくださいね!