久々に有明スポーツセンター6階会議室に戻っておこなれた定例勉強会。参加者全員が語る良いもの・良いことはこの不景気な時代にもかかわらず皆さん何かを探してこられます。私もがんばって探そうと思うのですが、なかなか難しいものです。ここで皆さんに受けるお話をできるようになれるように!いいことを探しましょう。
(そこが知りたい!ハード.ソフトの効果的な活用術)
鹿野 宏、湯浅 立志、本田 繁次 運営委員担当
湯浅立志「撮影現場にひと工夫 USBミニモニターとEye-Fiカードで簡単安価な無線転送」
湯浅氏は小さなUSBディスプレイを使用してライブビュー撮影をもっと効率化させようというアイディアでした。USB2.0のバスパワーで駆動する、800×600の小さなディスプレイですが、ライブビューの画像を手元で確認するには十分です。高いところ、あるいは離れたところにあるカメラが撮影しようとしている画像を手元でライブで確認できることはかなり有効なようです。通常自分のスタジオではトリプルディスプレイで、それを行っていますが、ロケでも可能なところが秀逸でしょう。
更にEye-Fi ShareカードというSDカードを使用した無線転送も披露しました。アクセスポイントを置くことで、複数のカメラからの撮影データを一元管理で取り込めます。更にAdobe Acrobat.comを使い、インターネットを経由して現場にいない方々に公開してしまおうというものです。考え方はおもしろく、今後この方向はきちんとサポートされていくことでしょう。
ニコン系の上位のカメラはは防磁が完璧なのが「あだ」になって、外に電波が飛び出さないようです。また、現在の所データが飛んだかどうかの確認ができない、などの不確実な問題を含みますが、カメラ本体がサポートするようになってくれば、とても便利な機能になるでしょう。これは、今後大いに発展して聞く技術と感じました。そのうち動画さえサポートするでしょう。ということは、あの大げさな(失礼)中継車を含むシステムなしで、世界中に配信することも可能になると言うことです。スチールの世界だけでなく、テレビの世界もうかうかしていられませんね。
本来は予定していなかった、キャプチャーワンに接続された複数の、メーカーが異なるデジタルカメラの認識に関しても簡単なデモを行いました。ニコン、キヤノンのカメラを同時にコンピュータに接続し、スイッチの切り替えだけでコントロールするというもの。何の設定も無く、簡単に行えるところがすごい。撮影現場で、結構重宝する機能かもしれません。
実際は後半で行ったのですが、Photoshop CS4のAdobe Configurator http://labs.adobe.com/technologies/configurator/ に関するデモンストレーションも行われました。簡単に言うとPhotoshop CS4に搭載された「色補正パネル」のカスタマイズ版といってもいいでしょう。私もショートカットは最小限しか覚えないスタイルですので、この機能は大変ありがたい機能です。今のところパイロット版の扱いで、日本語版は存在しませんが、きっと CS5には搭載されてくるのでしょう。実際に試してみましたが、全ての機能を網羅しているわけではなさそうです。(もっとも英語版のため、私の理解力がついて行っていない可能性もありますが)よく使う[レンズ補正]が登録できなかったのが、残念です。どうやら変形の機能が外されているようです。
鹿野宏 Photoshop CS4のショートカット、Boot Camp、ディスプレイキャリブレーション、Lightroom IIのプロファイル、撮影グッズなど。
久々の電塾登場でしたが、笑っちゃような小ネタの集合でした。その割にはマシントラブルに見舞われ、しかも設定方法を忘れてしまう(よくあるんですよ。ど忘れが)などのトラブルで、満足にお話ができませんでした。
Lightroom IIのプロファイルはこれまでと全く異なり、すばらしい出来だと感じました。これに関する記述があまりに少ないので、ここでお話ししたかった訳です。これでLightroom IIを使用する理由は倍以上に跳ね上がったと思います。また、Boot Campで複数のパーティションを切る方法、ニコンの純正紙ストロボを使用したコマンダーの隠れた機能などもお話ししました。
Photoshop CS4に関し、[ブラシサイズ]変更のショートカット(これも是非大きく取り上げたい改良です)、そしてもっと小ネタで、三菱銀行のビズステーションをマックで使用する方法、PIEで見かけたパーマセルテープによく似た、しかしもっと使いやすくてニュートラルグレイをそのバージョンに持っているメンディングテープなどでした。
パノラマ作成時の基準画像のレイヤー上の位置、[コンテンツに応じて拡大・縮小]時の変形したくない部位の選択方法などもお話ししたかったのですが、時間切れになってしまいました。実はPhotoshop CS4の本を書いているときに見つけた小ネタ(でも結構重要)の集まりでした。これらをお知りになりたい方は、「Photoshop CS4までのおいしい新機能活用講座」http://www.incunabula.co.jp/book/photocs4_newfun/index_sk.html
をお買い上げください。残園ながら、書店には並びませんので立ち読みができません…ごめんなさい。Lab にきていただければ、思う存分座って読んでいただけます。すみません、後半は自分の宣伝になってしまいました。
第二部の最後に午前中に「5万円で作るRAID5を搭載した約3テラの NAS」を公開した本田 繁次から、自前サーバを外界に公開する方法が紹介されました。単に公開するのではなく、DNSとはなんぞやから始まり、悪意のある攻撃から身を守りつつ、しかもしっかり外界に出て行くための方法論を伝授しました。(ただし、あたしは完璧には理解できていなさそうです…)ルータを二重可して、外界とイントラネットを切り分けながら使用するという理屈はよく分かりましたが、さて、それをどう設定するのか、というところまでは追いつけませんでした。塾生の中には更に突っ込んだ質問をして明らかに疑問を解消している方も見受けられ、うらやましい限りです。でも、これで自分でできないわけではない、という確信?を持てたことは収穫だと言っていいでしょう。
早川廣行 電塾塾長
早川塾長塾長のお話の前に株式会社シグマの山木社長から新製品DP2のご紹介がありました。以前のモデルに比較してレスポンスが大幅に改善され、ストレスが無くなったと言うことです、また、高感度領域もずっと進化したということでした。
山木社長は若々しいですね。DP2にかける熱い思いをお話しされました。
スタイルはあまり変わりません。41mm相当の準標準レンズという構成も無理が無く、明快のように感じます。
噂のフォビオンセンサー。シリコンが光の波長を短い方から順に吸収するという特性を利用して、カラーフィルターのない垂直色分解を実現している。
早川塾長が先日終了したPIEの有料セミナーで行ったプログラム「Foveon X3センサーの実力を検証する」を電塾でも公開してくれました。(実は私が聞けなかったので、リクエストしてしまったのです)これまで垂直色分解はカラーフィルター越しに行われていたと思っていたのですが、波長の透過率で行われていたことにびっくりしました。これなら、旨くやれば情報の減衰を最低限に抑える方法論が想定できるようです。今はその感度を上げることが難しいようですが、将来に期待したいと思います。輝度情報を最上位で取り込み、その後を多バンドで取り込むことができたなら、これ、まさしくLabに近い情報の取り込み方になります。これまで、この方法論を実際に実現しているのはシグマさんだけです。フォビオンを買収したことにより、開発にスピード感が生まれることを心から期待します。会場に回された DP-2を拝借して高感度で撮影してみましたが、私の期待よりは遙かにいい成績をたたき出していたようです。
なんと言ってもローパスフィルターが存在しないため、全ての空間周波数においてレスポンスの良い緻密さ、立体感を得るkとができる。もちろん補間補正がない分、データの真正性は高い。
実は私も垂直色分解には様々な可能性を感じている一人です。今では定番のベイヤー配列の画像生成には、かねてから大きな疑問を持っていました。それは、どこまで行っても「作った画像」しか提供できないと言うことです。スキャナータイプや、マルチショット機を使ったことがある人間なら、皆同じ感覚を持つと思います。もちろん、ワンショットでカラー画像を撮影できるその威力と、ここまでデジタルフォトを牽引してきた実績は十分に評価に値します。私もワンショットができないカメラはデジタルカメラであっても許せないとかねてから明言しており、その意味でベイヤー配列を容認してきました。技術が進歩し、確かにベイヤー配列でもかなりの再現性を持つことができるようになってきました。でも逆に最近はベイヤー配列のイメージセンサから画像を生成する限界を見せられているような気がするのです。
現状のフォビオンセンサーがそれらを全てクリアーするとは思っていませんが、可能性を感じるのはこれだけだと言ってもいいでしょう。Adobe社が提供し、デジタルを牽引してきた、かつてのATM(銀行の自動支払いシステムではありませんよ。まして鉄道の路線切り替え機でもありません。AdobeType Manager…今でもフォントの問題は混迷しているようですが…一世を風靡し、未だに強い影響力を持つ過去のフォントシステム)や、ポストスクリプト(PostScript…先にデータを取り込み、後から命令が送り込まれる形式のため、こう呼ばれた…はDTPを牽引し、これなくしてDTPはあり得ない、といわれるまでに成長、周辺を巻き込んだが、その生みの親であるAdobe Systemsがそれに変わるPDFというシステムを提唱し、これも今ではデファクトスタンダード化している。結果、PSは過去のシステムとして、今や葬り去られようとしている。…現実にはまだまだ、現役であるが、そのために大きな問題も呼び込んでいるが、今回はそのお話は迂回します)に変わってPDFが主役になったように、近い将来、真正のデジタルフォトを私たちに提供してくれる技術になるのではないかと期待します。
第四部 飛び入り参加
山田 邦夫 電塾運営委員
よくあることですが、この第四部は予告されていません。当日におもしろそうな「ネタ」をお持ちの方に突然お願いすることで、本日は山田邦夫氏が登場しました。
PMAではプロ用デジタルカメラには目立ったものはありませんでしたが、コンシューマカメラにはいくつもの注目するべき存在があったようです。先のDP-2もその一つでしたが、ソニーさんから発売になった「連続してシャッターを切るため、一気に横方向へカメラを振って撮影すると、それがあっという間に224度のパノラマ画像になって生成される」という手品のようなデジタルカメラ。DSC-HX1がそれです。高速連写が可能にしたのは動画だけでは無いと言うことかもしれません。まだ実写したことがないのでその感想を書くわけにはいきませんが、山田氏が撮影したパノラマ写真には目を見張るものがありました。これまでは一眼レフが実現した機能を下位機種に搭載していく、という図式でしたが、これからは逆になるかもしれません。今元気なのはコンシューマ機、ということでしょうか?
低コストでインフラ整備。4TBNASサーバーを5万円以下で構築!
本田 繁次 電塾運営委員
午前のデジタルフォト入門講座はWEB管理担当の本田繁次運営委員による 「激安サーバ活用術」(低コストでインフラ整備。4TBNASサーバーを5万円以下で構築!)です。
ハードディスクの容量が小さく、スピードが遅かった時代に確立されたRAID5、かつてはそのために100〜300万円をかけて構築したシステムも、やりようによっては5万円で構築できるという夢のようなお話でした。専用に開発されたパーツを(ソフトもハードも)組み合わせるだけのことですが、その威力は結構あるようです。ただし誰でもできるわけではなく、プログラムをある程度知らないと、実現できないという問題もあります。たぶん半数以上の方は「本当にこれだけでできるのかしら?」と思ったでしょう。ある程度の知識のある方々が、「これなら自分でもできる」と感じたはずです。ハードディスクのスピードと信頼性、容量がどうかした現在、他にも様々な方法論があるでしょうが、5万円で3テラByteのRAID5を構築できるとは夢のようなお話です。高い冗長性、信頼性が必要であれば、やはり、ヤノ電器さんが提供するようなシステムを購入することが一番だと思います。でも自分で、自己責任で選択するのなら、これも現実みのある「おいしいお話」であったと思います。事実、早速構築しようとしている方々がいらっしゃいました。私は、スピードが必要ない場合はミラーリング、スピードが必要な場合はRAID5、もしくはSSDという選択しもあると思いました。いずれにせよ、大変興味深いテーマで、聞いてみて良かったと思いました。(写真家の初心者コースにしては少々重かったかもしれませんが…)
少なくとも、コンシューマ機、中級機、ハイエンド機と同じようなレベル差が各価格帯のサーバに設定されているんだな、ということが分かりました。
全てを理解しているわけではないのですが、気になったところを箇条書きにしてみました。
NASと外付けHDDとの違い
100BASE-T は11Mbで、1000BASE-Tカテゴリー5eは45Mb/s
RAIDの解説 RAID0 高速化REID1hはミラーリング RAID5はパリティデータも分散
FreeNAS.はOSXのいとこに当たるので相性はいい。
RMA保証(3-5年のメーカー保証)正規代理店であればバルクでもついてくる。
OSはUSB起動とすることで4機のハードディスクポートを有効活用(USBメモリーは128MBあれば十分)
インストール用CD作成。フリー NASをダウンロードして焼き込む。
USBメモリーのフォーマットはFAT32
BIOSの設定…マザーボード上のチップセット上にある初期設定のこと
フリーNASをインストール
HDD を希望の形にフォーマット
ネットワークポートとIPアドレスの設定(ポート80推奨)
ディスクのマネージメント
あれあれ。、これでは読んでいても分かりませんね。でも聞いているときは何とかなりそうな気がしました。レポートとしては全く不完全ですが、おもしろい「可能性」に触れたと感じました。どうやら塾生の中には早速実行しそうな人がちらほら。きっと来月の「良いこと探し」でお答えをもらえるでしょう!
最後はこのような画面が次々と出てくるのですが、基本的には「理解しようとしないで、OKあるいはEnterキーとカーソルを操作すればよい」という心強いお言葉もありました。