久しぶりの電塾本体。でもあたしはここ数日の忙しさをとりあえずリセットするために午前中は目が覚めるまで寝ていることにしたので、午前の部は北様にお願いしました。今日はアイ・オー・スクエアで行われる最後の電塾!。I・O・DATA様、一年間会場のご提供、本当にありがとうございました!。心から感謝しております。来月からは有明のスポーツセンターに帰ります。自己紹介が自己主張から「よいこと探し」になって結構時間がたちました。最初はものすごく短くなったのですが、さすがは電塾に参加する方々は違います。時間ぎりぎりまで消費していました。いずれ「よいこと探し」でも時間オーバーになるような気がしています。私にとって良かったことは陳さんが約一年ぶりに顔を見せてくださったことでした。しばらく「フォトのつばさPro」の更新が止まっていましたが、ここ二ヶ月で追いついてくる予定だそうです。(よかった〜)
電塾塾長;早川廣行
本来なら毎年この季節はPMAで発表された新製品群の紹介を行うのですが、今年はめぼしい新製品も無く、寂しい展示会だったようです。そこで、これまでリクエストがあっても、なかなか実現しなかった、一日早川廣行 DAYを行うことになりました。早川廣行がその全てを語る、「ALL That's Hayakawa」が今回のテーマです。写真の極意と究極のデジタルフォトを解説しました。早川ファンはこぞって会場に駆けつけ、アイ・オー・スクエア最後の電塾は40人を超す盛況となりました。電塾の本体、早川塾長が3時間を超えて語るのは珍しいことです。(電塾の黎明期はよくあったことですが…)今日参加した方々は人生の中で大きな「拾いもの」をしたのではないでしょうか?
第一部はデジタルフォトのレタッチと撮影に関する心得です。
最初のテーマは「デジタルカメラを使いこなすのに特別な技術を要する時代は終わった」ということ。デジタルカメラの進化がそれを実現しました。しかしデジタルフォトでアートを仕上げるにはPhotoshopが必須であり、それは独学が難しい(基本を本で覚えることはできない)のでよい先達を見つけることというお話でした。また、Photoshop CS4はパフォーマンスも能力も過去最高だが,使いこなすにはそれなりの努力が必要とのお話でした。レタッチや合成処理などが不要であればAdobe Photoshop Lightroom IIというすばらしいソフトウェアが用意されているので、これを活用することもよい選択だと話していました。
以下いくつかの言葉を講演に従って書き出してみました。
写真は光画(光で描く絵)であり、真実を写すのが写真といっているのは日本と韓国だけ。
写真の本質は被写体にある。
写真撮影のプロとは写真技術の専門家である以上に被写体の専門かである。
撮影の本質の80%は光の使い方。
写真とは諧調表現技術である。
光が作り出すグラデーションを記録し、再現するのが写真。快調を損なうことなく、目的にあった画像を作り上げることが「画像処理技術」。
データは加工すればするほど画像情報(諧調性)は失われるということを覚えておこう。画像処理とは快調ロス処理である。
これほどPhotoshopを使った画像処理のポイントを懇切丁寧に語ることができるのはやはり早川塾長しかいないのだなあ、と感じました。早川塾長の熱を込めて語られる言葉は、どんな解説本よりも直に心に響いてきます。[トーンカーブ]や[色相・彩度]、ノイズなどは、なぜ使うのか、どう使うと効果的か、間違った使い方は何なのか、使う順番はどうなのか、これらの知っているつもりでも結構知らない、「本当のPhotoshopの使い方」「デジタルデータの撮影方法」を聞くことができた私たちは幸せ者だといえるでしょう。
私の記憶の中で表示されたパネルをこれだけ大量の方々が撮影していたのはほかに存じません。
電塾塾長;早川廣行
第3部はPhotoshop CS4の全て、…は飛ばして、フォトグラファーからみた本当のCS4のお話でした。
特にパフォーマンスに関して細かい検証をされているようで、京都の「ユニットコム パソコン工房」というところで組んだWindows64Bitビスタマシンで使用した時の動作速度が驚くほど高速だったようです。また、Photoshopを安定させるために仮想記憶をシステムディスクとは別に用意する、更にパフォーマンスを上げるためには高速なインターフェイス、ドライブを用意する、というのが定説ですが、SSDを仮想記憶に指定した際のパフォーマンスは3倍くらいの高速化があり、かなり期待できるそうです。また、Windows VISTAであればI・O・DATAさんが出しているRAM Phantom IIIを使用して余ったメモリーを仮想記憶に当てた場合も演算においてはかなりの高速化が期待できるとのことでした。とはいえ、いずれも64Bitには全くかなわないようです。
さて、さて、早川塾長の全てのお話をレポートすると、早川氏の本を一冊書き上げることになってしまいますので、このあたりで筆を置きます。
懇親会は「ばんげ屋」私が時々使うお店で結構野菜や肉、魚がおいしい。秋葉原最後なのでちょっと奮発しました。皆さん楽しそうですね。
電塾運営委員 松本明彦
今回の午前の部のレポートは昨年、皆勤賞のカメラマンの北が担当いたします。
皆勤賞取ると副賞にレポートが付いてくるって本当?
午前の部は電塾運営委員、長岡造形大学教授の松本明彦さんが、「写真の教育現場から、現状と問題点のご報告」というテーマで始まりました。私事では有りますが、長岡造形大学出身の若くて奇麗な女性デザイナーさんと 仕事をする事が多いので、興味新々のテーマでした。
長岡造形大学は新潟の自然豊かな長岡市に15年程前に設立され、個性を伸ばし実践的な教育に力をいれ、3年生になる頃には個展が開ける程の実力になるそうです。首都圏などから最前線で活躍する現役のデザイナーや作家による教育を積極的に取り入れているのも特色です。
校舎は内装外装ともコンクリートの打ちっぱなしで出来ており、その壁を使い何時でも作品発表が出来、他の大学との合同展なども開催しているとお話されていました。作品は発表し見られることによって鍛えられるとの精神だそうです。
また、写真の授業は100%デジタルカメラで行い、60台ものMACが活用されています。ただ、アナログの暗室作業は希望者だけにプリントのみ教えるとのこと。
もう、フィルム現像はやらないのですね。今の学生はミクロファインや D76なんて知らないでしょうね。現像ムラで泣く事もないんですね〜
そんな事を考えながらも、電塾にいらっしゃる方々もほとんどが、100%デジタルですよね。ここ10年程で写真の現場も変わってしまいましたね。
お話の中で、あまりにもアナログからデジタルの急速な移行のため、デジタルの教育者の不足、最新機材導入による資金負担もお話しされていました。
また、松本明彦さんから「社会から求められている人材と教育機関が送りだす人材とのギャップ」とのテーマに対し電塾参加者からは、色々きびしい意見がでてました。学校ではプロになる夢を持たせすぎ、夢と現実は違う、社会の秩序をしっかり教しえて下さい。職場では自分の主張も大切だけど、周りの空気も読んでもらいたい。コミュニケーションがとれない若者が増えている。などの意見がでていましたが、これは芸術系の教育機関に限らず、
戦後教育を受けた親が子供に対し適切な躾けをしなかったのが、今の社会に出ているとの意見もでてました。
やはり、家庭での躾けやコミュニケーションが大切との事ですね。
考えさせられますね。
早川塾長のお話の最後は「二つの気」のお話と早川氏の座右の銘がちょっとだけ紹介されましたが、このお話は更に3時間かかるということで、懇親会に持ち越されていました。
文: 鹿野 宏