第1部は電塾運営員で、日本のデジタルカメラ事情に詳しい、山田 久美夫氏による、2008年に発売されたデジタル一眼レフカメラの解説が行われました。
デジタルカメラグランプリの審査委員やカメラ系雑誌媒体、ご自身が運営されているニュースサイト「DigitalCamera.jp」などで活躍されている同氏は、日本で発売されるほとんど全てのデジタルカメラをレビューされており、その実績に基づいた実写の作例を使用した解説は、他では聞けない貴重な内容となりました。
2008年は、2年周期で開催される世界最大のカメラ展示会「フォトキナ」とオリンピックが重なった年であり、各カメラメーカーもこの2つに合わせて製品を投入したため、近年希にみる「デジタルカメラの当たり年」となりました。ヒットとなった製品も多く発売され、デジタルカメラの市場は拡大傾向にあります。さらに、これらを支えるデバイス技術も熟成されてきており、まさに2008年は好条件が揃った形になりました。
【2008年に発表された代表的な一眼カメラ】
・Canon EOS 5D Mark II/50D/Kiss X2/Kiss F
業界をリードする以下の4製品に関しては、詳細な解説が行われました。(以下は解説の抜粋です)
[ 発表されたばかりの有効2450万画素のNikon「D3X」 ]
ボディはD3と同様。しかしA/Dコンバータを内蔵した国産CMOSセンサーにより、卓越した解像感とノイズレベルを持っており、その画質は中判カメラにも匹敵する。NikonのWebサイトの作例を見てみると、モデルがコンタクトレンズをしていたり、肌の露出部に鳥肌が立っているのすら描写されている。画像の端でも画質が落ちないのは驚異的。
[ フルHD動画の撮影に対応するCanon「EOS 5D Mark II」 ]
EOS 1Ds Mark III を超える画質を持ち、一眼レフ初のフルHDの動画撮影機能を搭載。プロ用ビデオカメラでしか撮れなかった、ぼけの美しい絵を持つ動画が撮れる。さらに、動画から毎秒30枚の200万画素の静止画を切り出すことも可能。一眼レフカメラだが、動画を撮るときには別のセンスが要求されるだろう。コントラストAFも可能な本格ライブビューを搭載しており、財布と体にやさしい仕事で使える中堅機。現代版のT90といえる。
[ フルサイズセンサーを搭載したSONY「α900」 ]αユーザー待望の35mmフルサイズ2460万画素機。ボディ内手ぶれ補正により、どのレンズでも手ぶれ補正が行える。視野率100%の高倍率ファインダーを搭載。描写力が素晴らしく、画像を拡大しても楽しめる。ミノルタ、コニカミノルタと受け継がれてきたαシリーズの集大成といえる。今後、さらに高画質を生かせるレンズの登場が望まれる。
[ マイクロフォーサーズを採用したPanasonic「LUMIX DMC-G1」 ]
世界初のレンズ交換式ライブビュー専用機。マウントには、新たに策定されたマイクロフォーサーズ規格を初めて採用。従来のレフ式から、電子ビューファインダーに変更することで、大幅な小型・軽量化を実現した。露出やホワイトバランス、ぼけもわかるライブビューの実用性は高い。選択できるレンズはまだ少ないが、標準レンズがしっかりしているため、解像感と描写は結構しっかり出る。フォトキナにフルHD動画撮影可能なモデルが参考出品されていたため、後継製品にも期待。
さらに、製品に関するこぼれ話なども、山田氏独特の愉快な語り口で次々と飛び出し、楽しい1時間半の講座となりました。
柴田 進