4月の定例勉強会はお台場、有明で行われました。
この日も午前10時からは初心者向けの「デジタルフォト入門講座2007年版第2回」が開かれました。その模様は最後にレポートしております。
さて、最初は早川塾長から
AdobeRGB対応ハイコストパフォーマンスディスプレイ「Samsung SyncMaster XL20」の製品版の紹介からです。
当初の予定では去年のうちに発売される予定でしたが、満を持してと言いますか、いよいよと言いますか、5月下旬発送予定と決定されたようです。
ここまで伸びてしまった理由の一つはムラ取りが大変だったようだと言われております。252個のLEDを使っていますが、発光は一律ではありません。それを均一にするために、他社液晶と同じように表面の液晶面でのデジタルユニフォミティ補正をするわけですが、これの調整に時間が掛かったのではないかと言われております。
モニター本体の性能としては、良い素性を持っているようです。気になる点としては「色視野角が狭い」こと。特に左右方向に狭く、上下方向は割にあるようです。個人ユーザーなら上下方向に有れば大丈夫でしょうという塾長の言葉でした。プロカメラマンでスタジオユースにするには向いていないでしょう。なぜなら、大勢のスタッフでモニターを囲んであーでもないこーでもないと撮影画像を検討するのに、見ている位置によって見え方が違うのではコミュニケーション自体が成り立ちません。
さて、色むらも極力解消されただけではなく、キャリプレーターはHuey以外、i1PROなども使用可能になった点は大きいでしょう。塾長がi1とヒューイと、両者でキャリブレーションをしてみた結果、その比較でもそれほどの差はないと言うことでした。(ΔE
で0.1位の差)
環境光についてですが、モニターの置いてある場所の環境光が変わるとモニターの見た目が変わるのは仕方ないと言う点もこの日実証されました。と言うのは、このモニター、テスト機として早川さんのスタジオで使っていたものを、この日の朝、会場に持ち込んだわけです。当然、早川さんのスタジオの設置場所に合わせてセッティングされていたわけで、この会議室に持ってきただけで見え方が違ってしまい、最初からセットし直さないとなりませんでした。この作業が結構大変でして、、塾長をもってしても数十分の時間が必要でした。(ちなみにこの日はD50 ガンマ1.8 照度100ルクスで合わせた)
15万8千円という売値でAdobeRGB対応のモニターと言うことで、注目を集めていますが、他社の60万以上のAdobeRGB対応モニターと同じというわけにはいきません。
次に塾長から今月21日に東北電塾が立ち上がるという告知をしました。
21日は僕たち本部運営委員をはじめ、全国から仙台に電塾のメンバーが集まり、門出を祝います。東北の方で電塾にご興味のある方、ぜひ、21日は仙台にいらして下さい。蒼々たるメンツが一度に見られますよ。
さて、ようやく自己紹介です。いろいろな方がいらして、改めて多彩な集まりだなと感じました。
最高齢は来月80歳になる方、フリーカメラマンだけではなく、会社員の人も多いし、中には金融業のSEという方もいらして、、とかく写真だけやっていると狭い視野になりがちですが、違う分野の人たちとの交流はいい刺激になりますね。
■「デジタル画質補正の最高峰 DxO Optics Proのご紹介」
株式会社ソフトウエアー・トゥー
営業本部アカウントマネージャー 海野 広幸 様
営業本部プロダクト担当マネージャー 椎野 圭子 様
第2部は「デジタル画質補正の最高峰 DxO Optics Proのご紹介」です。
このソフトはいわゆる汎用RAW現像ソフトに分類されるものです。
フランスの会社が作っているソフトなのですが、その会社のご説明から。Dxラボと言って、研究、レンズとカメラの調査、その特性を調査、数値化している会社とのことです。わかりやすい例では携帯電話組み込みのデジタルカメラのレンズ収差をソフトで補正して、それを携帯メーカーに供給していると言うことでした。
今回のDxO Optics Proはそれをパッケージ化したソフトです。
ごくごくおおざっぱに言うと、市販されているレンズ、カメラの特性を調べて、データベース化、それを元に補正するデータを作成、補正する、、、というソフトです。
補正は撮影画像情報から、レンズの種類、撮影距離、絞り値などを得て、それに対しての光学補正(歪み、収差など)、カラーコントロールなどのRAW現像処理が出来ます。
(注! JPEG,TIFFなどのRAWデータ以外からでも補正は可能。ただし、撮影時のデータが画像データにEXIF情報として入っていることが前提)
サンプル画像で歪みやひずみを自動補正する機能などを見せていただきました。
その他の機能として以下の機能があります。
●口径食 パープルフリンジ 色収差
●ブラー補正 RGB各色ごとに分析、補正
●ライティングエンジン 部分的な補正など(暗いところを明るくしつつ、明るいところは飛ばないように調整)
●カラーコントロール フィルム調にするなど
●自動ノイズ除去
●ジオメトリ補正 あおり 自動ではないが数クリックで矯正できる。
なかなか強力です。しかも、ほとんどは自動で補正してくれます。と言うか、自動補正が売りであって、本来の使い方は手間を掛けたくない人に向けてと言う印象を受けました。
たとえば、建物、ショップ、インテリアなどの撮影で短時間に何カットもこなさないとならないようなとき、フルサイズのカメラを使ってシフトレンズを使って、、ということをやっている時間、手間がない仕事もあります。得てして単価も安く、フルサイズのデジカメとシフトレンズを購入することもままならなかったりします。そんな時こそ、このソフトの出番ではないかと思います。
バッチで大量カットに対しても、一気に補正、修正が掛けられます。シフトレンズを買う数分の一の投資で、簡単処理が出来るという点は、他のRAW現像ソフトには無いメリットです。
ソフトのバリエーションは以下の通り
スターター 9980円(レンズ一体型カメラが対象)
スタンダード 19800円(一般的な一眼レフデジカメ)
エリート 39800円(各メーカーの高画素モデル)
新製品が出た場合は発売後数ヶ月程度で対応するようです。また、サードパーティー製のレンズも一部対応しています。(シグマ、タムロンなど)
もう一つ、面白いソフトを紹介していただきました。
DxOフィルムパックと言うもので、25種類のフィルムの調子と粒子感を再現するというもので、4/27発売、定価12980円です。
実際のフィルムからスキャニング解析して作ったプロファイルをもっていて、デジタル画像にそれをシミュレーションできるというものです。 調子と粒状感は別々に組み合わせられて、たとえば、Tmax400の粒子感でベルビアの色調というような表現が出来ます。
フォトショッププラグインでの提供、DxO Optics Proで使用、また、単独アプリケーションでという3タイプの展開を予定しているそうです。
デジタル画像もすでに一般的になり、最近は懐古趣味と言いますか、アナログ時代の方法論をデジタル画像に施すというのが、一つの流行になっていますね。モノクロプリントや、今回のフィルム調の再現もその流れですね。
リアルなフィルムを知っている僕たちの世代が、何十年か後に死んでしまったら、フィルム調の再現って、どうなるんだろう、、、とちょっと思ってしまいました。
■「Adobe Photoshop Lightroom 1.0製品版徹底検証他」
電塾ソフトウエア部会 担当運営委員
第3部は先日、正式に発売になったAdobe Photoshop Lightroom 1.0製品版を徹底検証する、というセッションでした。(これ以降、当レポートではLightroomと略します)
担当運営委員はソフトウェア部会の予定でしたが、所用のため、ハードウェア部会の阿部さんがプレゼンをやることとなりました。
阿部さんのプレゼンはライブラリーの保存場所のご提案からです。
まず、使用前提として、余裕を持ったハード・ディスクを用意しましょう。起動ディスクとは別のハード・ディスクを複数台持つことが理想です。
Lightroomですが、デフォルトでは起動ハード・ディスク>ユーザー>ピクチャー>LightRoomにライブラリーがデフォルトで保存されます。
阿部さんのご提案はこのデフォルトの場所ではなく、違うところに、しかも複数持つというものでした。最初の設定は面倒なものの、これさえやれば後はLightRoomの起動時にオプションキー押して任意のライブラリーを選択出来るという方法です。
さて、ここをお読みの皆さんはLightRoomをお使いでしょうか?実はこの日の勉強会、LightRoomを使ったことがないという人が半分近くいらっしゃいました。
このライブラリーをテーマにした提案は、LightRoomを使う上で、多くの人が最初に引っかかるポイントです。使ったことのない人にこの問題点をいくら言っても理解して貰えないでしょう。
ぜひ、LightRoomをお使いになって、このレポートの次からを読んでいただきたいと思います。
ライブラリーの問題点を整理しましょう。
●LightRoomは一度に一つのライブラリーしか扱えない
●一度読み込んだ写真からライブラリーの中に画面表示用のデータを作成、保存する。
●この画面表示用のデータがあることにより、スムーズな画面切り替えが可能となる。
●それがない読み込み初期の段階では画面表示に手間取る場合がある。
●等倍表示時には1:1の更に大きな画面表示用のデータを作成する。
LightRoomを使って行くと、次第にライブラリーが大きくなっていくことが気になります。それと同時に、いらない画像の表示用データも貯め込んでいることに気がつくでしょう。
写真を撮るという行為では、撮影したすべての写真が永遠に必要なわけではありません。たとえば人を撮ったら表情の良いカットだけ残して、目パチなど残りは捨ててしまうのが普通です。
LightRoomではいらないカットも一旦は読み込ませて、そこからの削除という順番になり、ライブラリーがどうしても肥大化してしまうのです。
そこでこのバージョン1.0からは作られたライブラリーは時限を切って自動的に破棄できるように設定が可能になりました。デフォルトでは30日です。
これで、問題解決かと思いきや、今度はず〜っとライブラリーに残しておきたいデータまで捨てられてしまうことになります。例を挙げるなら、仕事の写真は納品が終われば、ほとんどの場合、カメラマンが使うことは無いので捨てても良いのですが、自分のライフワーク、または長期間に渡って追いかけているテーマの写真は、何年間も使いたいでしょうし、不意に必要になることもあるでしょう。そのために一度作った1:1の画面表示用データは残しておきたいのは人情でしょう。
また、仕事ではいくつものクライアントが存在します。別のクライアントの仕事を間違ってでも表示されては困るのです。
この違う方向性の要求は、一つのライブラリーでは満たせません。
そこで複数のライブラリーを使い分けるという、阿部さんのご提案になったわけです。
話が長くなりましたが、、、このポイントを知らないと、今回の勉強会のテーマはまったく理解できないでしょう。
LightRoomは画像処理を簡単にできる点で、他のソフトより一歩リードしている画期的なソフトです。
ただ、このLightroomを使うに当たって、最もつまずきやすい点がライブラリーです。
すべてのプロフォトグラファーに向けて作られているとは言いながらも、多くのプロカメラマンが生活の糧にしているような雑誌、広告の分野は特殊です。日々何GBものデータが撮影されて、それをセレクト、プリントアウト、納品まで時間に追われ、納品の後はそのデータはほとんどの場合、必要が無くなります。もちろん消さずに残している人もいるでしょう。ですが、その為の保存には何TBものハード・ディスクが必要になってしまいます。
今回の複数ライブラーの使い分けは、そのジャンルのカメラマンでもこうすれば使えるというモデルケースです。
複数ライブラリーの使い分けはAdobeに要望として早川さんは提出していると言うことですので、近い将来、そうなる可能性もあります。
ですが、今の仕事、今の写真には間に合いませんので、多くの方からの「こんな使い方が出来る」と言う報告を電塾勉強会までお寄せいただければ、後に続く人の道しるべとなるんじゃないかと思っています。
まだ生まれたばかりの新しいソフトです。みんなで使いやすい、良い方向に育てて行ければ、将来楽しみな子になっていくんじゃないでしょうか?
電塾 担当運営委員 鹿野 湯浅
今月もRGBワークフローガイドの説明を午前の部で行いました。
先月の続きからと言うことで、印刷の知識的なことからの予定でしたが、、、郡司さんが急用のため、鹿野さんからのレクチャーになりました。
モニターの重要性、環境光の重要性など、基本となる部分について時間を掛けて説明しました。