金田さんの「中判カメラバック」講座
なぜ中判か?の説明から入る。35タイプのデジカメに比べて圧倒的な高解像度を得られるバックタイプだが、それは画素数もさることながらその構造によるとのこと。ポイントはセンサー前のローパスフィルターと集光レンズの存在。
ただし、圧倒的な高解像度との引き替えとして、バックタイプはあおりで色が変わる可能性がある。
その現象を少なくするためにセンサー前に集光レンズがあるモデルも出てきて、今後も進化していくことだろうと言うことだ。
また、1画素のセンサーサイズで性能を語られることが多いが、従来型の9ミクロンと最新の6.8ミクロンでも内部構造が進化しているので、実はサイズが違っても光の受ける面積はほぼ同じになっているそうだ。
さて、今後の動向を各社ごとにポイントを上げていただいた。フェーズワンはPプラスという、ライブプレビューが可能になったモデルについて。このプラスはライブプレビューのみ取り上げられがちだが、長時間露光も可能になったも特筆するべき。 最長1時間までの長時間露光が出来ると言うことは新たなデジタルフォトの可能性が出てくるだろう。プラスは来年2月過ぎから発売するが、昨今のユーロ高から値上げになる予定だ。
同社のドライバソフトのC1Proは4.0にバージョンアップ予定。今のところベータ版のお披露目しかされていないが、劇的に現像スピードが上がる。キャノン1Dsmk2の現像で20秒以上掛かっていたのが4秒で現像できるそうだ。バージョンアップは春以降の予定だが、暫定的にLEバージョンが2月頃、先にバージョンアップされ、バックタイプも動かせるようにするようだ。(あくまで繋ぎ的措置)
次にハッセルH3D。28ミリレンズという35換算で18ミリの超広角レンズが出てくるとのこと。最初の説明でもあったが、バックタイプの弱点として、周辺部の色むらだが、その色のむらとレンズの収差、ディストーションをソフト的に直すようになるとのことだ。この手の補正ソフトは35タイプでは搭載済みだが、中判のバックではハッセルH3Dが初めてになる。
なお、倍率色収差など、レンズ固有の収差を補正するデータも持っている。これはレンズ、ボディ、そしてデジタルバック、すべて同一のメーカーならでは優位性だろう。
ハッセルはもう一つ、視野率100%のファインダーが出てくる。これまで645のぶひんをそのまま使っていたのでファインダーも周辺部がマスクされていたが、これが100%になればどれほど使いやすいか!カメラとして当たり前のことが、このクラスにも普及してくる予感がする。
次に国産勢。マミヤZDデジタルバックが出てくる。同社の中判カメラRB,RZに付けられるバックタイプでアダプターで大判ビューカメラにも付けられるそうだ。このバックタイプは実売で100万を切って来春発売ではないか?という予想だ。
次にローライ。次世代の66カメラが出るとのこと。 ジナーとリーフ、ローライブランドで出すのではないか?と言うお話。ハッセルがレンズからバックまで自社ブランドしか使えないH3Dを出したことにより、他のデジタルバックメーカーは生き残りのために付けられるカメラが必要になるわけで、それがこのローライのカメラになるだろうという事だ。センサーサイズが大きくなると言う将来を見越して、6×6のフォーマットになっている。このフォーマットなら、次世代のバックタイプは5000万画素という時代が来るだろう。そうなった時、いよいよ銀塩時代のレンズは使い物にならなくなるのではないかと言われているそうだ。
ペンタックスからは645Dがいよいよ発売になるだろう。1800万画素を潔くやめて3000万画素クラスのボディになるそうだ。
来年の傾向として画素数そのままで連写を速くする方向性と
使いやすさの向上の方向性が注目点だそうだ。
ライブプレビューをフェーズワンが搭載することにより、中判デジタルバックタイプは全機種搭載されることになる。
ハッセル、ジナーはシステム リーフはスピード フェーズワンはそつない絵作り 国産からはペンタックス、マミヤが参入と、面白い年になりそうということだ。
report by 湯浅