講師:山田久美夫 |
韓国の仕事中にわざわざこのセミナーのために韓国/羽田でとんぼ返りをしてくださった山田氏に感謝です。コンシューマーを含め、現在発売されているほとんどのデジタルカメラに精通している山田氏らしいセミナーでした。今ではデジタルカメラもそのラインナップは広がり、どこまでがコンシューマ機なのか分からなくなってきましたが、このセミナーを聞くとどのような場合に、どのカメラをチョイスするのが最も有効なのか、という事に気がつかされます。一眼レフタイプも各社から上は100万円近く、下は6万円クラスまで存在します。それぞれの魅力と意外な盲点を鋭く指摘しながら本来の意味での「カメラの違い」を優しく説明していました。
お話の合間には、取材の裏技なども披露され、お疲れ様でした、と言って、相手の気がぬけたところでカメラをしまって、コンパクトで撮影、なんてことも…。書いちゃいけなかったかな? さらに表題から離れてデジタル一眼コンシューマモデルの実は隠された実力とその使い方まで幅広くお話されていました。
講師:鹿野 宏 |
ここは講演者が自分でレポートしているので、どうも変な気分ですが、一人だけお祭り気分でトナカイの着ぐるみを来てミニスカートのサンタさんを引き連れて登場した私はひょっとしたら浮いていたかも?…。
ある意味、現在流通しているデジタルカメラは、どれをとっても撮影方法さえ間違わなければ、そのまま商品として提供できるレベルまで上がってきたのです。そこで入力講座というよりも、救済しなくても良い撮影講座を目指しました。格好は変でも中身は充分に充実させたつもりです。デジタルカメラの構造による、それ特有の問題を掘り下げ、カラーマネージメントがきちんと走る環境を提案し、デジタルフォト撮影の肝である露出(ヒストグラム)とホワイトバランス、そして撮影時に決定してしまう絶対解像度などのお話を中心におきました。普段は12時間くらいかかる内容を90分に詰め込み、駆け足でしたので(といっても30分はオーバーしてましたが)消化不良を起こした方もいらっしゃるかもしれませんし、逆に、なんだこんなこと、と思われた方もいるかもしれません。なんだ、と思われた方でもひとつくらいは「あれ、」と思っていただけたら幸いです。
講師:BOCO塚本氏 |
ハイエンドデジタルカメラバックという表題で始まったセミナー。ハイエンドデジタルカメラバックのユーザーが少ないためか傍聴者はちょっと少なめ。現在世の中に出ているハイエンドデジタルカメラバックをそれぞれ解説。また、CCDとCMOSの違いも分かりやすい絵で解説。セミナー後半に、先の中部電塾で株式会社アマナの代表取締役、進藤氏がセミナーをされた件に触れた。塚本氏はAPA(日本写真家協会)関西支部長であり進藤氏は東京支部長という間柄から中部電塾にお越しになってから2人はAPAの支部長会議で会い話をしたようで、その件について触れていた。進藤氏を中部電塾にお呼びした張本人は私であるので塚本氏が進藤氏の名前をあげたとき少しドキッとした。今後のフォトグラファーはどうなんだ!?ということが、我々フォトグラファーが常に考えるテーマでもあるからだ。進藤氏が中部電塾で語った内容は、中部電塾のウェブサイトで読んでいただくとしてここでは割愛するが、塚本氏にとっても重要な問題として認識されていると感じた。大阪からのご参加、ありがとうございました。
レポート:深澤 明
講師:山田 實 |
「 私はこんな写真を撮っています 」と犬の写真を見せていただきながら、静かなセミナースタートとなった。基礎編ということで、デジタルに慣れている人には再確認になりデジタル初心者には丁寧な概念説明といった内容となった。まずは写真の基礎条件について解説。ピントや露出、フレーミングなど。またフォトショップを使用する際に最も注意しなければならない事項として仮想記憶ディスクの重要性を説いた。つまり、起動ディスク以外のディスクを設定する。内蔵HDDがなければ、7200rpmの80GBの外付けHDDでもいいからVM(バーチャルメモリ)として専用のディスクを設定する。また、RGBの色に関して。例えば R=200 G=100 B=50という値があったとするとsRGBとAdobeRGBではLab値も違うし、見た目も違う。つまり、RGBの値に色空間が与えられて初めて色が決まる。また、ピクセルには大きさの概念がない。色相・彩度はCMYKデータへの利用は薦められない。スマートシャープは写真家に適したシャープ。ハイライトとシャドウを分けてシャープをかけられる。メニューのカスタマイズも便利。などなど。
また、写真を撮るための前提としてカラーマネジメントシステムを実行することを解説。基礎編ではあるが、重要なことばかりだった。遠路はるか北海道からありがとうございました。
レポート:深澤 明
講師:早川廣行 |
久々の早川塾長によるセミナー。
多くの方がつめかけていました。私も聞きたかったのですが、一度に受講できるセミナーは一つだけです。全てを聞いたわけではありませんが、キーノートを使い、独特の語り口でセミナーを進めていました。
坂野氏によると、16bit処理の効果をフューチャーしていたようです。JPEGになっているグラデーションのデータを8bitそのままの処理と、16bitにしてから処理し、8bitに戻したもの、16bitのまま処理して最終8bitにしたものを3点並べ、その差を披露していました。「PhotoShopは内部処理は16bit」と言われているので、16bitでわざわざ処理を行う事に「無駄だと言う声も聞かれるが、結果はこのように違ってくる」と言う事をおっしゃってました。スクリーンには、8ビット処理の際に発生するグラデーションのトーンジャンプでが表示されていました。
何よりも階調性と質感を重視する塾長の撮影姿勢そのままだと感じました。
救済処理は画像処理。それを少しでもデータロスを抑えながら作業する事が肝心。[選択範囲]、16ビット処理、RGB処理、修復ブラシとスタンプツールの使い分け、ゆがみフィルタの効用、シャープネスとノイズの醍醐味等々…。
講師:永嶋サトシ |
「 フォトショップの事をお話するので、私はフォトショップを使って皆さんにお話します。」という宣言で始まった永嶋さんワールド!!まずは「HDR」の解説。フォトショップでの実践的な解説なので、なかなか文章にしづらいが受講者からはするどい質問も飛び出し中味の濃いセミナーとなった。永嶋さんが公の場で初めて披露するTIPSとしてハイライト側が完全に飛んでしまった顔写真に質感を与えるというもの。受講者の中には製版・印刷関係の方が見えたが「 明日から早速やってみたい! 」と喜んでおられたのが印象的だった。
レポート:深澤 明
オープニングとビンゴ大会はこの姿だったがセミナーはなぜか背広姿
講師:阿部充夫 |
初級編といいながら、かなり突っ込んだ内容のセミナー。出力で最も重要になるデバイスに合った画像解像度のお話を中心にセミナーは行われました。テレビの画面とコンピュータのディスプレイの画面の比較、補完しない解像度と補完した解像度の差、デバイスによるグラデーションの作られ方、ビットとバイト、ビットマップデータとドロウデータとの違い、ディスプレイの解像度、プリンタの解像度、画像解像度ダイアログによる再サンプルのチェックの意味、1024B(バイト)=1KB/1MB/1GB/1TB(テラバイト)/1PB(ペタバイト)その上はなんだったけ?確かエクサにゼタにその上がヨタ…これじゃヨタ話って笑っていると、数年後にはこんな単位も普通に使っているようにきっとなってますね。1bit=2階調。2のn乗=階調数。こんな話もめったに聞けるものではありません。ついていくのがやっとのひとも、改めて解像度を再認識しているひともいたようです。
講師:小山壮二 |
私は途中から参加したのですが、前半はご自分でも「何でこんなことを」とおっしゃりながらの「精神論」というか「デジタルフォトに対する心構え」を中心にお話を展開されていました。デジタルフォトがなんであるのか、どのようなものであるのかを知れば、おのずと反応の仕方は決まってくる。技術はこねくりますものではなく、自身の表現のためにある。カメラマンが色彩を決定づけることを要求されるようになってしまったのはデジタルだからこそなので、それを「仕事が増えた」などといわずにポジティブに「自分が色彩を決定する事ができるようになったのだ」と受け取ろう、という事を話されていました。全く同感です。私たちは今まで色彩をコントロールする事ができなかったのですが、今ではデジタルカメラ+Photoshopという強力なツールを持ったのです。これを使いこなさなくては今の時代に写真を撮っている意味さえないでしょう。そのためには、色彩に関する勉強をこれからも真剣に続けていきたいと感じさせられました。
最後の方で「竹槍を磨く」という事も披露されていました。安い(というか通常のLCD)ディスプレイでも、やりようによってはそれなりに広い色域も確認できる。自分の限界内でも、努力と工夫によって品質に対する「保証」を取り付ける事ができるのだと。久々の小山氏のセミナーは私にとっては素晴らしいカンフル剤でした。
はるばる岡山からありがとうございました。
講師:玉内公一 |
写真家でいたかったから、写真を仕事にするのをやめたのだ、という氏は銀塩時代からのモノクロマニア。ご自分の暗室にはとんでもない引伸ばし機があり、デジカメ(以外もずいぶんとお持ちのようだが)コレクターとしても有名?
どなたもそうなのですが、最初にディスプレイキャリブレーションの重要性を説かれ、実践的なモノクロプリントアウトの技法に移りました。
カラー画像をモノクロ化する方法として、グラデーションマッピング、チャンネルミキサー、色相彩度の二重掛け、プロファイル変換(sGray)などの技術を紹介され、参加者の注目を集めていました。銀塩フィルム時のフィルター補正(赤フィルター、緑フィルターなど)を意識して、コントラストコントロールできる事にも初耳だった方々が多くいらっしゃいました。また、プリントアウト用のチャートを制作する事を進め、これによりディスプレイとプリントアウトの両方をチェックできるとお話しています。さらにレイヤーマスクの実践的な使い方、レイヤースタイルの活用法、Labの重ね合わせ技、そして画像操作の意味を解説されています。
インクジェットプリンタで銀塩とは一味違うが、別のステージで作品となしうる方法論、また銀塩に肉薄するような方法論、ノイズの使い方には人をうならせるものがあります。銀塩バライタペーパーの現状、インクジェットプリンタの現状などにもお話は広がり、「写真は出力からさかのぼる」とアンセルアダムスも言っているように、ここを押さえると撮影自体がまた変化していくのかもしれません。