11月の勉強会はスタジオエビスにて11月5日に行われました。
まずは塾長より本日のスケジュールの案内から。
「今日はリーフのバックタイプからソニーの一体型までと幅広い新型機のデモが予定されています。ここに来てNikonD200が発表になり今回飛び入りのデモを行います。なお、陳さんの「フォトのつばさ」の時間をNikonさんに譲っていただきまして、じっくりとD200のデモをご覧頂けます。スケジュールが詰まっておりますので救済講座飛ぶ可能性があります。」
恒例の自己紹介、自己アピールタイムですが、毎回これも出席者が慣れてきまして、皆さん短時間に要点をまとめて、更に笑いも取るなど、プレゼンテーションがうまくなっていると感じさせられます。
その中でもAdobeの栃谷さんからは、翌週に迫った「フォトショップワールドの事前登録は1500人になった」とのご報告もあり、フォトショップワールドを盛り上げたいと言うことでした。
運営委員の永嶋さんからはご自身がサンディスクの店頭POPになるそうで、店先で見て欲しいと言うことでした。
クレオ株式会社 営業部 加藤 武
まず、この日のトップバッターはリーフのバックタイプ「Aptus 75」のデモからです。
このAptus 75ですがなんと言っても最大のウリは6726×5040ピクセル、3300万画素という高解像度のデータが得られる点でしょう。CCDフォーマットはほぼ6×4.5と同じ4対3で印刷用途に使いやすいフォーマットです。CCDはダルサ製とのことです。
まずは加藤さんよりクレオとコダックの関係から説明を頂きました。米Eastman Kodak社がクレオを傘下にしたということでスライドにもこんなロゴが入っています。
さて、バックの説明ですが、まずは大型液晶、タッチパネルを使った直感的な操作性、それと信頼性、そして多彩なストレージを使えるなどのワークフローを上げています。
背面の液晶ですが他社は2.2inch液晶を使っていることが多いのですがAptusは3.5inch液晶を採用。アイコンを直接タッチすることでメニュー選択が非常に楽です。また、ボタンをユーザーがカスタマイズ可能で、自分がよく使う機能をすぐ呼び出せるように出来ます。
撮影間隔もこのクラスでは最速です。(1.2コマ/sec)
取り込んだ画像データは内蔵のメディア、専用のハード・ディスク、そして外部のハード・ディスクに保存が可能です。内蔵のCFの場合、1GBで13カット位しか保存できません。ですから大抵の場合は外部ハード・ディスクに保存と言うことになるでしょう。
これまではカメラの下に取り付ける専用のハード・ディスクしかその選択肢がなかったのですが、Valeo22から汎用のFireWireのインターフェイスを持つハード・ディスクならコンピューターレスで保存が可能になりました。ちなみにこの保存の仕方を同社(日本法人)から正式に公開されたのは今回が初めてです。
市販の外部ストレージを使えることになり、今まで比べて格段に安く、そして、大容量を背景にした撮影が可能になります。なお、この外部ハードディスク使用の場合の注意点としては、FireWireからアプタスの電源供給をするため、電源供給可能な外部ストレージが必要になります。ただ、ハブからの電源供給でもOKなので電源が供給できるハブを選択すれば問題ないでしょう。下の写真が電源供給が出来るタイプのハブを使った例です。
さてさて、気になるお値段ですが、Aptus 75が420万、少し小さいタイプのAptus 65が280万位と言うことでした。
実際の撮影デモですが、H1にAptusを付けて、そこから外部ハード・ディスクに保存というやり方で撮影してみました。1枚63MBものファイルサイズなので、35ミリタイプのようにジャンジャン撮れるというわけにはいきませんが、この大きさのバックタイプでは素晴らしく早い間隔です。コンピューターレスで撮影するメリットは遅いコンピューターを使うよりも快適に撮影が出来ることです。もちろん、撮影後はカメラ後ろの液晶からの操作で外部ハード・ディスクの画像を見ることが可能です。
デモの後の質問ではモアレに対してリーフの対処を聞いてみました。
もともとリーフのカメラバックではモアレが出ないような仕組みを取っていると言うことで、標準のままでも他社に比べてモアレが出にくいそうです。もちろん、100%出ないことはあり得ないので、その際のソフト上でのフィルターを用意する予定だそうです。
また、リーフHDRファイルはPhotoshopでダイレクトに開きますが、MOSファイル(リーフのRawデータフォーマット)もフォトショップplug-inで開くことが可能です。専用ソフトが使いにくいという人や、フォトショップ一本で行きたいという人にもメリットは大きいでしょう。ただし非圧縮モードのみしかフォトショップのplug-inは対応していませんと言うことでした。
ソニー株式会社 デジタルイメージング事業本部 井戸本 康孝
2本目のセッションは先月の勉強会でも運営委員山田久美夫さんが絶賛された、ソニーから発売になった一体型デジタルカメラDSC-R1の再登場です。
まずはコンセプトの説明から。
プロクラスカメラの高画質とコンシューマークラスの使いやすさの両立を高い次元で目指したのが今回のR-1ということです。
簡単にスペックを書きますと、1030万画素の大判CMOSセンサーと高画質広角レンズ24−120mm/f2.8―4.8 フルタイムライブビュー可能と、僕たちプロでも「触ってみたい」と思わせるスペックかと思います。
撮像素子ですが、当然ソニー製。ウワサでは某プロ用35ミリ一眼レフタイプで使っているものと同じでは?という話もあり、期待させてくれます。
撮像素子は21.5×14.4mmでピッチ5.49ミクロン。液晶ファインダーなので徹底的に低消費電力を目指したそうです。フルタイムライブビューを可能にしていながら前のモデルF828より54%も消費電力をダウンさせているそうです。
ちなみにライブビューはフル画素を間引きしてモニター出力させているそうです。
次にレンズですがCarl
Zeiss T-starコーティングを採用で、色収差改善はCarl Zeissとの共同開発したそうです。ミラーボックスがいらない為、超ショートバックフォーカスで、高いレ
ンズ設計の自由度が得られ、結果として高い光学特性とコンパクトなサイズを実現したそうです。スゴイのはワイド端ではイメージャーの手前2,1ミリまでレンズが接近するそうです。
また、大口径高速レンズシャッターで2000分の1秒まで全速ストロボ同調します。当然と言えば当然なのですが、フォーカルプレーンシャッターの35ボディデジカメでは到底まねできないメリットです。更に一体型のメリットで撮像素子面へのゴミ付着が圧倒的に少ないことが上げられます。僕もそうですが、オリンパス以外のユーザーは皆さん悩んでいる問題でしょう。
次に画像処理の側面ですが、AdobeRGBに対応したことで色再現向上を図ったそうです。色再現モードでは「スタンダード」「ビビッド(sRGGB)彩度高め」「AdobeRGBモード」の3モードが用意されています。
アドバンスドグラデーションコントロールシステム(AGCS)というものを使って、撮影時のヒストグラムを解析→画質をコントロールと言うことを内部的にやっているそうです。コンシューマークラスのみならず、プロユースでも「失敗のない撮影」は求められていますから、今後、各社から同じような機能も出てくると思います。
プロユースで気になるのはレンズ交換が出来なくてもどこまで汎用性があるか?と言う点だと思います。たとえば感度。R-1はISO160から3200まで対応してますが、ぼかして撮りたいという用途ではせめてISO100は欲しいところでしょう。同様にレンズの絞りも最小絞りがF16なので外部ストロボなどを使ったライティングは困難でしょう。もちろん、NDをかければ大丈夫なのも分かっていますが、実際には面倒なものです。
考え方としてR-1にすべてを撮らせると言うことではなく、サブ的な使い方というのが今の時点では良いような気がします。前も書きましたが、シャッター音が一眼レフに比べるとほとんどしないので、演奏会場や同録ムービーの現場でのスチル撮影など、R-1が適している場所があります。適材適所のカメラを使っていくのが効率的だと思います。
オリンパスイメージング株式会社 映像マーケティング本部 寺田利之
本日3機種目はオリンパスから発売になったE-500の紹介です。
E-500は同社のE-300の下に位置する機種ですが、ここ数年のデジカメマーケットでは「下克上」という言葉が使われるように、後から発売されたロアーグレードのカメラの方が、先行発売されている上位機種よりも作り出す画像データがより良くなった上に値段が安くなっているという現象が起きています。
このE-500もその下克上の言葉を裏付けるかのような出来映えというウワサです。
さて、オリンパスの方が実機のE-500を数台お持ちになってのデモですが、実際に持ってみるとその小ささ、軽さに驚きます。
オリンパスと言えば僕たちの世代はすぐ「OM-1」という名前を口にします。30年経った今でもそれほどまでに衝撃的で一世を風靡したカメラは記憶に残っているのです。
デジタルになった今でもオリンパスの新型に求める声で「小さい一眼レフ」というものがあります。
今回のキャッチコピーは「世界最軽量」という謳い文句です。最小を狙うのではなく、あえて最軽量としたのは、大きな市場である北米では、あまり小さいとかえって「使いにくい」というユーザーの声があるからだそうです。確かに、アメリカ人女性でも僕よりも大きな手をしていますからね。小さいカメラを握ると指が余りますね。
簡単にスペックですが、形はE-300に比べてトラッドなデザインのペンタプリズムを持った形になっています。2,5inch液晶は高品位な液晶(ハイパーLCD)採用で広視野角です。撮影モードは25モード11のシーンを搭載。ステンレスシャーシを使っていながら世界最軽量435グラム。ブラック、シルバーモデルがあります。
CCDですが800万画素でE-300と同じCCDだそうです。高ISO時ノイズフィルターを使って従来比2分の1程度のノイズになっています。
もちろんダストリダクションシステム搭載。
また、デジタル一眼最多の25の撮影モードで、ユーザーの使用環境に合わせたモードを選択可能になっています。
撮影画像には5つの仕上がりモードと言うものを新設。「ビビッド」(デフォルト)、「ナチュラル」(トーンが豊かな再現)、「フラット」(測色的に忠実な再現)、「モノトーン」、「セピア」で、これは他社でも採用し始めていますので今後のスタンダードになってくるでしょう。
CFとXDピクチャーカードのダブルスロットになっている点もこのクラスではちょっと驚きました。ハイスピードのCF使用時には連写でのエンドレス記録可能です。
面白い点としてはワンタッチホワイトバランスボタンと言うのがあって、文字通り、ワンタッチでカスタムのホワイトバランスが取れます。プロでは撮影シーンごとに毎回ホワイトバランスを取ることもあり、他社製品でも見習って欲しいところです。また、このボタンはカスタマイズ可能でよく使う機能に割り当てることも出来ます。
気になるお値段ですが、11/11発売予定なのでこの勉強会の時は予測です。レンズ付きで10万を切るくらいではないかと言うことでした。
次にレンズですが、オリンパスは15本のデジタル専用レンズ「ズイコーデジタル」のラインナップを持っています。デジタル専用という点は一番充実しているメーカーでしょう。
同社のレンズには同じ焦点距離レンジで3タイプを揃えています。「スタンダード」「ハイグレード」「スーパーハイグレード」です。
「スーパーハイグレード」はプロ仕様とされ防塵防滴性能を持っています。「ハイグレード」はそれより落ちますが、同じように防塵防滴になっています。「スタンダード」は普及タイプです。
今後、発売予定のレンズでは
フィッシュアイ8ミリ(水中ハウジングにもセット可能)
35ミリマクロ(等倍まで)
ED18−180mm/F3.5-5.6,
ED35−100mm/F2.0
ED90−250mm/F2.8
など、魅力的なラインナップになります。発売に向けて現在もフィールドテスト中だそうです。
オリンパスで遅れている面は「手ぶれ補正」機能でしょう。コンパクトデジカメではこの「手ぶれ補正」が有ると無いとでは売れ行きが違うとさえ言われています。デジタル一眼でも入門機のみならずプロユースでも「手ぶれ補正」は有れば便利なものです。現在では何とも言えない状態だそうですが、鋭意準備中と言うことですので期待しましょう。
株式会社ニコン/ニコンカメラ販売株式会社 プロサポート 中嶋 斉一
さて本日最後のセッションは先月ニコンから発表された「D200」の紹介です。
余談ですが、正式発表前にネット上のデジカメサイトでは海外のサイトで見つけられた画像やスペックが賑わしていました。新型デジカメが出るごとに、このようなネット上を飛び回るまことしやかな画像、スペックに、興味ある人は右往左往という感じですが、今回のニコンのD200が今まで一番賑わしたように感じます。数年前には感じなかったことですが、時代の変化を感じますね。ネットの普及でメーカーの秘密保持もより大変な時代になってきたと言うことですね。
さて、D200ですがニコンのプロサポートからお持ちいただいたのは2台。発表した直後、まだ発売までに時間があるこの時期に電塾のためだけに2台もお持ちいただいたことに感謝いたします。
今回のD200ですが、ニコンの説明では「D2xの弟分」というポジションで作ったと言うことです。銀塩時代のフラッグシップモデルF-5に対してのF-100と言った関係ですね。僕もF-100を使っていましたが、本当に良いカメラで、十分仕事で使えるレベルでした。それを考えると同様にD200も「仕事で使える」レベルだと推察されます。
操作性などはD2xと共通になっていて、D2系ユーザーなら買ってすぐ、持ってすぐ撮影が可能でしょう。
スペックですが
10,2メガピクセル DXフォーマットCCDセンサー
D2xの画像処理エンジンを使用
5コマ毎秒(RAW撮影時 連続22コマ撮影可能)
世界最速0,15秒起動、レリーズタイムラグ50mS
シャッター耐久性10万回
11点AF ダイアモンド型配列
マグネシウム合金シャシー 防滴、防塵対策
ワイヤレスライティング完全対応内蔵フラッシュ
ISO100から1600(拡張あり3200まで)1/3、1/2の感度ステップ選択
以上のようになっています。
CCDですが、新開発ローパスフィルタを採用され、更にIRカットコートにより「赤かぶり」を抑制、更にUVカットコートで画面周辺画質を向上しているそうです。ニコンのデジカメは伝統的(?)に近赤外線域の感度があるので、ある特定の色域の再現が転ぶことがありました。ユーザーはいろいろなやり方でそれを回避していましたが、D2X以降の新型モデルは解決しています。
他社と同様にニコンでも画像の仕上がりをカメラで設定出来ます。「ソフトに」「標準」「鮮やかに」「より鮮やかに」「ポートレート」そして「モノクロモード」とキャノンなどと同様なセッティングが出来るようになりました。
カメラの基本性能ですが連写5コマ/sec、フィルムカメラと同じレリーズタイムラグ50mS、ミラー消失時間 0.105秒と、他社のフラッグシップ機と同等か、それ以上とも思えるようなスペックです。そんなスペックを備えながら、実売20万を切ると予測されますので驚異的なコストパフォーマンスですね。惜しいのはファインダーで95%の視野率くらいでしょうか?ただし、ファインダー倍率0.94倍はキヤノン1D MarkIINでも0.72倍と言うことを考えると優秀です。ファインダーを覗いてみるとD200のファインダーは見易くピントも合わせやすい印象です。また、ニコンらしいのは同時発売のマグニファイニングアイピースDK21Mで1.1倍にファインダー像を拡大出来るパーツを出すところでしょう。
また今回新設された機能でワイヤレスライティング機能があります。キャノンでも同様のシステムがありますが、今回のD200ではペンタ部分の内蔵ストロボを制御用コマンダーストロボとして使用出来、キャノンのようにリモートコマンダーを買う必要はありません。また同時発売のリモートコマンダーもありますのでD200以外のユーザーでもワイヤレスライティングが可能になります。(現在でもカメラ部にSB-800/600を付けることにより可能ですが)
また、バッテリーについてですが、この機種から新型のバッテリーに変更されました。メーカーには互換品の問題が以前よりあり、互換品バッテリーを使っての不具合がメーカーに持ち込まれるケースが少なからずあったそうです。その予防策として、バッテリー側にICを持たせ、カメラ側とIDを交換して純正品以外は使えないような機能を盛り込んでいます。ユーザーにとっては安い互換バッテリーが使えなくなると言う不都合もありますが、本来、規格外のバッテリーを使うことに因ってのリスクを知らないケースも多々見受けられます。個人的な予想ですが、同社のみならず他社でも今後の新製品はこのタイプになってくるでしょう。
最後にD200に対応した新しいバージョンNikonキャプチャー4.4のお話しです。
基本的には変更はありませんが、露出補正時にセットされていたリミッターが外され、場合によっては最大2段位の白トビを救えるようになった、ということです。もちろんその際のハイライトの暴れを追い込むのは自己責任となります。(RAWデータのみ)
さて、長時間にわたっての今月の勉強会でしたが、予想通り、時間が押してしまいまして最後の「救済講座」が飛んでしまいました。人気のある講座ですので残念ですが、次回、大勉強会で今回の分も「救済」する予定ですのでお楽しみに。