10月の電塾定例勉強会はスタジオエビスにて開催されました。
勉強会の内容は、9月初旬にボストンで行われたPhotoshop Worldのを取材してきたアドビの栃谷さんによる詳細報告と来月にせまった日本初開催「フォトショップワールド2005」の詳細発表です。HPからはHPが考える理想のインクジェットプリンタ最新技術説明も予定しています。運営委員の山田さんからはソニーから新発売になるレンズ一体型デジカメR-1の報告です。最後は電塾運営委員が総出で行う新シリーズ「デジタル救済講座」第一回も行われます。何の打ち合わせもない中、ちょっとドキドキの企画ですが・・・きっと役に立つ勉強会になるはずです。
まずは塾長の挨拶からですが、今回初めての「デジタル救済講座」について、以前より各方面からの要望があった内容ですが、このところ、ハードソフトの新製品が多く、そちらの方を取り上げてきましたが、フォトショップCS2の登場により、今回のような企画を取り上げることになったというお話からでした。フォトショップを駆使できるカメラマンは撮影技術があるカメラマンと同様にそれを武器として仕事が出来ます。電塾では12月の大勉強会でこの企画でのセミナーを予定していますが、今月来月はそのための準備段階としての講座になります。大勉強会では大いに盛り上げていきたいものです。
自己紹介ですが、まずは北海道の山田さんから電塾北海道支部立ち上げのご報告をしていただきました。来年の1月に正式に発足いたします。
他の方からも近況のご報告を頂きました。僕も電塾に参加し始めて2,3年になりますが、この自己紹介はまるで同窓会のようで楽しいひとときです。
中には久しぶりに使ったフィルムカメラが故障していて、同時に撮っていたデジタルカメラで事なきを得たとか、他人事とは思えないご報告もあり、毎回楽しみにしています
アドビシステムズ株式会社 マーケティング部 栃谷 宗央
2005年9月初旬ボストンで行われたPhotoshop World 2005の詳細レポートとPhotoshop World JPANの紹介
栃谷様からは9月初旬ボストンで行われたPhotoshop
World 2005の詳細レポートなのですが、その前にちょうどこの勉強会の前に発表された新しいアプリケーションについてからです。
まずはフォトショップのCameraRAWがバージョンアップされました。3.2になり、最近発売になった新型デジカメのRAWデータも展開が可能になりました。ただし、この時点では直近に発売になったキヤノンの1Dmk2Nなどには対応しておりません。
また、アマチュア用としての定番ソフト「フォトショップエレメンツ」が4.0になりました。旧バージョンより60%以上高速起動になったなど、機能が充実してきましたが、が、残念なことにwinバージョンのみの発売です。このソフトはスキャナーなどにバンドルされることが多いのですが、フォトショップでなくても良いような軽い作業には十分なこともあり、何人かで画像編集作業をやるときには便利なソフトです。小さいデザイン事務所などではMacユーザーが大半ですから切にマック版を作ってくれること期待したいと思います。
本題のフォトショップワールドですが、9月のアメリカでの開催の模様をクィックタイムも交えてご報告いただきました。
フォトショップ生誕15周年を記念しての今年、アメリカ本土以外での初めての開催がこの日本となります。
このイベントはフォトショップユーザーのコミュニティーを形成するのが最大の目的です。
本国でもNAPPの主催ですが、4万人の会員を誇る団体です。本国のイベントでは事前登録で4〜5万円程度の参加費が必要なイベントです。今回の日本でのイベントではすべて事前登録制で登録していないと入場できません。予定参加者2500人で打ち止めとなりますので早めの登録をオススメいたします。なお、登録はウェブ上から受付中です。登録は無料です。参加費は25000円のところが5000円になります。
また、登録参加者には全員に特製のワークブックと特製Tシャツが配布されます。ワークブックには当日のコンファレンスの内容を網羅しており、厚さ数センチという電話帳みたいなブックです。これとTシャツだけでも5000円の元は取れるはずです。
この日、栃谷様からは電塾に対して協力のご依頼があり、電塾から「ミニ電塾シアター」(仮称)の出展も決まりました。運営委員によるセミナーを2日間びっしりと予定しています。皆様も是非ご来場下さい。
日本ヒューレット・パッカード(株) 黒沼 進治
HPから新型プリンター10機種が発表されました。
HPはプリンタビジネス21年目、総出荷数3億7000万台、世界マーケットシェアナンバー1、パテント数9000(以上インクジェット関連のみ)という会社です。ですが、この日本では、キヤノン、エプソンと比較して今一歩、一般コンシューマーに受け入れられていない印象があります。
今回の新機種は数年前より日本からの強い要請から開発されたということで、競合他社と同じような独立インクタンクを採用されました。従来機に比べて20〜30%割安なランニングコストになるそうです。
新機種は全色染料タイプインクになり、各色独立インクタンクはタンク本体の切り欠きを変えて入れ間違いを防ぐ形状になっています。インクタンクとプリンタヘッドの間はチューブで結ばれていますが、他社ではそのチューブの中の気泡を排出するためにインクごとノズルの外に出す(捨てている)ことをしています。これはインクの浪費につながりHPでは競合他社のプリンターとの比較データを出しています。
HPでは「アクティブエアーマネージメント」と言ってポンプでチューブ内の気泡を吸い出して排気チェンバーで分離後、再度インクを戻すというやり方を取っていて、インクを捨てないシステムになっているのが最大特徴です。
勉強会では「他社はこれだけ無駄にしている」というビデオを上映いたしました。
今回、同時に新開発の多孔質型ペーパーも発売されました。HPでは従来機では膨潤型のペーパーが標準設定されていましたが、新開発インクが染料インクになったことにより、あわせてペーパーも変更されたようです。同社のペーパーとの組み合わせによって、高速プリントが可能になりました。L判1枚12秒、24枚を10分でプリント。
また、用紙の裏にはバーコードが印刷されており、プリンタ背面のセンサーでバーコードを読み取り、最適な印刷設定が自動で設定されます。この組み合わせで使えば、誰でも簡単に間違いなくきれいなプリントが出来るというのが、今回の新機種のウリでしょう。
サードパーティの紙では?と言う質問がありましたが、ちゃんとプロファイルを作れば大丈夫とのことです。
また、従来、サプライ品が手に入りにくいと言うことがありましたが、HPエクスプレスサービスというウェブショップが10月9日から、インク1個でも送料無料で日本全国発送するサービスを始めるそうです。かなり思い切ったサービスですが、HPの本気で日本市場に取り組む姿勢が見えた印象でした。
インプレッション・レポート 電塾運営委員 山田久美夫
続いては運営委員の山田さんからの新型機紹介です。
ソニーからR-1というEVFのデジタルカメラが発売になります。
APSサイズの同社製のCmossを使っています。ウワサではD2xと同じという話もあり?レンズはカール・ツァイスブランドで最大の特徴はファインダーがEVFだと言う点です。
ファインダーEVFのメリットは
ファインダーで直に色の変化を見られる、ファインダーでオーバーアンダーもリアルに確認、ファインダー内にヒストグラムも表示できる、絞ると被写界深度通りの絵が見える、NDフィルターを付けてもファインダーは暗くならない、などなどあります。
ただ、光学ファインダーに慣れ親しんできたスチルカメラマンにとって、まだまだすぐにこれに移行とは行かないのではと思います。ビデオカメラに親しんできたアマチュアの人たち、ムービーも回すようなスチルカメラマンには敷居が低いかと思います。
カメラの使用感ですが、最高感度3200でもそこそこのノイズ感で長時間露光でもノイズが少ないそうです。出来上がる絵に関しては「ソニーの色」という感じで好き嫌いはあるでしょう。青空が少し作りすぎ?という印象も。JPEG以外でもRAWデータ記録が出来るなどツウ好みの設定が出来そうです。
液晶ファインダーはいろいろ便利で、フレーミング優先 効果優先 の2種類のモード切替が出来るそうです。
全体的には、サブ機としていいのではないか?ファインダーのタイムラグは慣れで対応できるのではないか?とのことでした。
個人的な感想ですが、以前よりこのタイプのデジカメは映画のスチルカメラマンが使っているという話を聞いています。一眼レフに比べて圧倒的にシャッター音が小さいからです。暗い現場でもファインダーが見やすいなど、このタイプが適している撮影現場は結構あるはずです。35一眼レフボディにこだわることもなく、適材適所で良い瞬間を撮っていく、これがプロというものでしょう。
電塾運営委員有志
今回より始まりました「デジタル救済講座」これが本日のトリです。
事前に何をやるのか?ほとんど予定されていなかったセッションですが、この日はこの勉強会に初参加の川島さん(フリーカメラマン)のご相談という形で始まりました。
この日の自己紹介で、「今まで中判、大判のフィルムカメラで仕事をしてきたけど、仕事が減ってきた。その理由が競合他社のカメラマンにデジタル撮影の仕事が流れていることだとわかり、急遽、キヤノンの1Dsmk2を購入、試行錯誤しながら仕事をしている。効率的に仕事をこなしていく方法はないだろうか?」というお話でした。
この自己紹介を受けて急遽、塾長から今回は「川島カメラマンのデジタル相談室」という題材で行こうと言うことになりました。
まず、川島さんの現状ですが、今までのお仕事は主に料理撮影で、そのほとんどがポスターサイズになるくらいで、その点でも4×5の使用が多かったそうです。ちなみに35のカメラは仕事ではほとんど使っていなかったそうです。
一日に撮るカット数は10〜20カットくらい、バリエーションも入れると後処理にはその2,3倍のカット数となるようです。
現在の最大の悩みは、撮影はまだしも、その後処理に同じくらいの時間が掛かっている点。それをどうしたらいいのか?と言うことです。この次の週も大きな撮影が重なってしまい、二日続けてのデジタル撮影は自信がないと言うことでした。
早川塾長からのバトンを受けて鹿野さんのアドバイスになりました。
鹿野さんもデジタル撮影を始めた頃は眠れない日が続いたという経験談を披露されました。また、後処理に時間が掛かるのなら、ハードを適材適所に配置することにより、効率的な処理工程を作ることが可能というアドバイスを頂きました。
塾長からは、撮影段階で出来るだけ適正なデータになるように撮影をすること。それによって後処理に依存することのない、効率的な仕事を目指すというお話を頂きました。また、よくある宴会料理の集合撮影など、手前から奥までピントを合わさなければならないような撮影では、絞り込むと解像度が悪くなるのでピント位置を変えて何枚か撮影して、ピント位置の違う複数の画像を合成することで解決するという具体例も出していただきました。塾長レベルだと15分くらいで合成作業をしてしまうそうですが、一般レベルではその数倍の作業時間になるでしょう。
ソフトの習熟具合によって、効率的に仕事をこなしていくことが出来ます。
川島さんに限らないことですが、フリーカメラマンはとかく一匹狼で、こういう会に参加したがらないことが多いですが、一人で悩んでいるよりも、ちょっとした勇気を持ち勉強会に参加するだけで短時間に多くの解決策を聞けます。もっと大きい収穫は多くの同じような仲間を得られる点です。今回はこのように勉強会で取り上げましたが、取り上げられなくても早川塾長を始め、何人ものビックネームの方たちに直接問題点を聞けます。
救済講座は何もデジタル撮影の失敗を救うためだけではなくて、カメラマン人生をも救う可能性がある講座だと思います。
今後も悩めるカメラマンの参加をお待ちしております。
次に運営委員の永嶋さんからのAdobe本社訪問報告です。
ですが、あまりに言えない内容が多かったと言うことで、フォトショップのレイヤー構造の解説とtipsの紹介になりました。
僕はちょうど目の前に座っていたので、気軽に質問できて、永嶋先生に直接答えていただけるという非常に贅沢な時間でした。個人的にはこれだけでも今日の勉強会は来た甲斐があったというものでした。