6月の定例勉強会は「New MAXART K3の実力を見る」と題して発売直後のエプソンMAXART K3の実力を見てみようと言うのがメインテーマでした。グレーインクの採用で圧倒的に美しくなったモノクロプリント出力、課題だったメタメリズムの改善など、プリントに命をかける(?)勉強会参加者の期待に添える製品なのか?じっくり見たいという方々が集まりました。
また、第3部は高画質現像で知られる市川ソフトのSYLKYPIXがMacintoshバージョンとして登場しております。その画質、使い勝手を確認しようというものです。
第4部には電塾で始めてご紹介する「Color adjust NAVI #01」というもので、詳細は誰も知りません。興味津々でしたねぇ。
さて、アメリカではAdobe Photoshop CS 2が発売になって早ひと月、電塾BBSでもデモ版をアメリカのサイトからダウンロードした使用記が盛んですが、日本ではまだ公式に取り上げることはできません。塾長も永嶋さんもしゃべりたいのをグッとこらえてのご参加でした。自己主張の時間に英語版トライアウトソフトの話題で盛り上げていこうという呼びかけでBBSでも活発な試用記を上げている平尾さんが飛び入りでトライアウトのデモをするなど、大幅な時間超過で始まった勉強会でした。
さて、自己紹介ですが、簡単に書いてみましょう。
E販売Oさんからは9月まで新しい製品の準備やらが続いていて厳しい日々を送っているそうで、更にCS2との絡みもあって一層忙しい日々が続いているそうです。
電画Aさんから、今月は新型プリンターの検証で追われているそうです。新しく出るプリンターはどれを取っても良いレベルになっているそうです。
AスタジオYさんは先月の勉強会で紹介されたHPのフォトスマート7853を買ったけど予想以上に大きくて設置場所に困ったそうです。また、中古でライカM4を買ったとか。
信越電塾からはKさん。信越電塾のキャッチコピーは「心地良い電塾」を目指しているそうです。
新潟からはKさん。同じくHPのプリンターを購入されたそうですが、安くて綺麗なプリントアウトは満足しているそうです
アマチュアのMさんは趣味で鉄道の写真を撮っていらっしゃるそうです。エプソンとは長い付き合いだそうで今日は新しいプリンターが楽しみでいらしたそうです。いろいろな現像ソフトで現像すると違う絵になってしまうのが今のお悩みだとか。
E販売Tさんは新聞にデジカメメーカーの話があり、勝ち組負け組に分けられるのは身につまされるというお話でした。
Aさんは舞台撮影中心のカメラマンでシルキーピックスのユーザーでもあります。最近キヤノンのD30のRAWデータを久しぶりに現像したら綺麗に現像できたそうで、今回はシルキーピックスのお話に興味が有るそうです。
B社Tさんはクライアントから「ピクトロのプリントを付けてくれ」と言われているところをエプソンのインクジェットでのプリントを黙って出したら、何のクレームも言われなかったそうです。お仕事ではグレーの商品が多くてプリントにもご苦労されているとか。
A社Oさんは数年前にエプソンのPM-4000PXですごく感動したが、今度のエプソンも買っちゃうかも?
カメラマンKさんは3年ぶりにRAW現像用win機(デル)をお買いになったそうです。同時に買ったMacG5/2.7Gdualが35万、デルが16万弱でコストパフォーマンスは圧倒的ですね。現像スピードもデルの圧勝と言うことでした。オススメの使い方としてはMacにファイルを置いておいてファイル共有してwinで現像が効率が良いのではないか?と言うお話でした。
C社Yさんもやはり最近忙しいと言うことで、その忙しさは「目が回る」くらいだそうです。最近ではTiger関連のテストもあって更に忙しいそうです。
水戸からはカメラマンのNさんとアシスタントのMさんのご参加。Mさんは前回参加時はあまりに緊張してしまい自己紹介が短かったので今回は長い自己紹介を目指されたそうです。先日パワーブックを買ったので今日は早く家に帰りたいということでした。でも、しっかり2次会まで残って頂きました。
カメラマンYさんは新型のプリンターがあちこちから出てきたので、手持ちのPM4000PXを早く処分したいということでした。
カメラマンAさんからはやはり先月買ったHPのプリンターが大きくて驚いたというお話でした。
美人カメラマンYさんは二度寝をしてしまい遅刻してしまったそうです。ニューヨークと日本の二重生活で時差ぼけが直らないそうです。
O社Tさんは退院後初の参加。「生きてます」と明るく言われたのでホッとしました。
S社Wさんからは社内写真コンテストがあって、なぜか猫の写真が多くて、S社ではブームになっているというご報告でした。
Y社FさんからはTigerの検証が難しいと言うことで、出たばかりなのに立て続けのバージョンアップで検証も追いつかないそうです。
スタジオE Kさんからは、現在、レンタルスタジオ使用の40%がデジタルだそうで、印刷入稿は50%以上がデジタルだそうですが、雑誌出版社がまだアナログが多いというお話でした。業界的にデジタル画像を扱えるオペレータが不足しているということでした。
IソフトIさんからはwin版だけの時は言われなかったのに、Mac版を作ってからMacユーザーからは「インターフェイスがダサイ」と言われることがあるそうです。
Iさんは アマチュアカメラマンとしてのご参加。0.2ミリくらいの花を撮るのがご専門だそうです。
山田久美夫さんからは韓国でのカメラショーの報告で面白い手ぶれ補正カメラをご紹介して頂きました。
エプソン販売株式会社 PS営業推進部 部長 寺沢祐則
セイコーエプソン株式会社 IJX開発部 課長 島田和充
セイコーエプソン株式会社 IJP企画推進部 課長 大澤道直
プロカメラマンの間でも圧倒的な支持を得ているPM-4000PXなど、顔料PXPインク採用から3年が経ち、そろそろ新型プリンターを、と言う市場のニーズに応える形で登場したのが今回ご紹介のマックスアートK3シリーズです。
前モデルから3年の間にユーザーから要望されていた課題を改善するのが新型プリンターの使命だったと言うことです。
主な改善点は「グレーバランスの改善」「光源による見えの違い」「シャドー再現の改善」「光沢ムラ」でした。
今回発売になったプリンターは「マックスアート K3」と「マックスアート」の2系統のシリーズになります。
G5000とPX-5500の違いですが、光沢感は5000の方があるそうです。5000はアマ・ハイアマ向けで、5500は高い評価を得ている4000PXの上位後継としてプロ・ハイアマに向けての機種という位置づけ になるそうです。なお、4000PXは併売していくそうです。
「マックスアートK3」シリーズはグレーインク使用の8色インクで高画質追求モデル。
「マックスアート」シリーズは4色インクで生産性、経済性を重視したモデルになります。
今回は更にサプライとしてファインアートペーパーのラインナップも追加発売されました。風合いの良いマットペーパーで「ベルベットファイン」「ウルトラスムースファイン」「テクチャードファイン」の三種類の商品展開です。
次に島田さんからはインクテクノロジーのお話。
今回、グレーに着目したことは、偶然にもHPと同じ視点だったということで、発売時期も近く、良きライバル機になると思います。
「モノクロを究めてカラーが冴える」というキーワードで8色インクの中に「フォトブラック」「グレー」「ライトグレー」の3つのブラックインクを使うという意味でK3と名付けたそうです。
特徴として3つのブラックインク採用でグレーバランスの向上と滑らかな階調再現を実現したそうです。
新顔料インクの採用で「こすれに強い」「光沢感の向上」「光源による見えの違い(メタメリズム)の改善」を図りました。
プロ、ハイアマなどの目の肥えた人の評価にも耐えうるプリントになったと自負されているそうです。
また、高い評価をされている4000PXでも不満点だったモノクロ出力でのグレーの色ねじれ、色相のぶれなどのないモノクロプリントを目指し、K3インクを使用したことによって、色ねじれが少ないモノクロ写真再現を実現したそうです。
カラーの画像でも従来比で3倍くらいのドット数でグレー系のインクを使用しているそうで、モノクロ品質の向上がカラープリントの向上に繋がったと言うことです。
階調性については、薄いインクを使いドット数を刻むことで面積階調の向上を図ったとのことです。
また、光沢紙で高濃度を実現し、K3インクで最高濃度2.3をマークしたそうです。ちなみにPXPインクはは濃度2.1ということでした。
カラーの色再現ではPXPとK3シリーズの大きな違いはマゼンタの色相を変えているということで、どちらからというとR方向に振って金赤の部分を再現性を向上を図っているとのことでした。
メタメリズム、正確に言うと「カラーインコンスタンシー」という業界用語というご説明でしたが、光源による見え方の違いを一般的にはメタメリズムと呼んでいます。
このメタメリズムの低減も今回のニューモデルの特徴です。新型プリンターは染料タイプの従来プリンターや銀塩写真と同等レベルになったそうです。
保存性に関してですが、まだ、社内的なテストが完全ではないので公式には言えないが、モノクロのプリントアウトではカラーの倍程度の保存性があると思われるそうです。(150年から200年)
モノクロ写真モードのお話に移りますが、プリンタとしての難易度はカラーよりモノクロの方が難しいということでした。
色彩情報の欠落から厳しい目で判断される上、モノクロ写真の歴史が長いので、プロからは厳しい見方をされるのがモノクロプリントです。
モノクロ写真画質のトレードオフとして、カラーコンポジットインクでは色による階調性が制御しやすいそうで、また、粒状性や機械ムラを目立たなくする面でもカラーコンポジットインクは有利に働くそうです。
ドライバー内の説明です。モノクロ写真モードでは色調を冷黒調から温黒調まで、段階的に調整してプリントすることが可能です。人間の目の分解のは優れているのでその段階1メモリは0.4という数字にしているそうです。また、カラーサークルを使い直感的な設定も可能です。
かぶり効果は255のデータにデータを乗せることで白をかぶらせます。
今までフォトショップではチャンネルミキサーなどを使って苦労してモノクロ写真データを作ってきましたが、このドライバー内のモノクロ写真モードを使うことでカラーデータから簡単にきれいなモノクロプリントを得られます。今までの苦労は何だったのか?ちょっと衝撃的な進化ですね。
また、モノクロ写真モードはデフォルトでやや硬調にしてあるそうで、その理由は一般的にフツの人が見た時の「見た目をよくする」ということからだそうです。
アプリケーション担当の大澤さんからプレゼンです。
今回は特に「プロが使える色の提案」を目指したそうです。ICCプロファイルを利用したプリントアウトはヨーロッパなどではかなり普及しているそうですが、日本ではまだまだ電塾勉強会に来るような一握りの人たちが使っているようなのが現状だそうです。
今回、プリンタICCプロファイルを利用して高度なプリントアウトを手軽に提供したいと言う目的があったそうです。
この目的のために、K3プリンタでは出荷時に個体差をなくす管理をしたそうです。また、調整の手段を変えた(colorBaseの利用)ことと、従来プロファイルの作成が難しかったのですが、専用ソフトを使い簡単にプリンタプロファイルを作成できるようにしました。
色の精度のこだわりは出荷時にICCプロファイル標準添付している点に現れていると思います。
ドライバー内でプリントアウト時にsRGB AdobeRGBの選択をするか、フォトショップなどでICCプロファイルを使うかはは好みで使い分けをしていただきたいということでした。
一般利用はそのままでもOK。更に高度のマッチングの要望には測色機を使ったcolorBaseキャリブレーションを提案しているとのことです。
このcolorBaseキャリブレーションとは、各インク33ステップのパッチプリントを打ち出して測色し、標準状態と比較、補正するもので、標準添付のプロファイルよりも個人個人の環境にあったプロファイルが作れるものです。実施後はデルタE0.3-0.4の精度を実現しているそうです(テスト時で一般使用時とは異なる)一連の作業時間は1モード45分(乾燥時間含む)程度で測色機の対応機器はi1ですが、将来的にはX-riteなどを予定しているそうです。なお、
リリースは6月下旬エプソンのHPよりダウンロード予定とのことです。
次に「PageProoferEX」というソフトの紹介です。簡単に言うとコンタクトシートをプリントするソフトです。何種類かあるレイアウトテンプレートに画像をドラッグ&ドロップするだけで簡単にコンタクトシートが作成できます。素晴らしいことにカラーマネージメント完全対応。それも1枚のシートの中に異なったプロファイルの画像データを貼り込んでも個々でカラマネします。更に一枚のプリントの中で同じ画像に対していろいろなプロファイルを当てることが可能でプロファイルの比較も出来ます。元々ラージフォーマットプリンターを想定しているそうですが5500でも利用可能だそうです。
個人的に非常に欲しいソフトです。名ソフト「シンクプリント」を彷彿とさせるもので、ソフトを使いたくてプリンターを買ってしまいそうです。
株式会社 市川ソフトラボラトリー 第2営業部 小松隆之
以前より、ウィンドウズ版で定評のあったRAW現像ソフト「シルキーピックス」のデモと説明です。
まずは社長の市川さんから開発の経緯をお話し頂きました。
市川さんは中学校時代にモノクロ現像をやっていたそうで「現像って面白いな」という気持ちが、現在のRAW現像ソフト開発に繋がったとお話しされました。
僕も中学校時代の写真部での暗室作業と出会わなかったら、今カメラマンになっているのかどうか?そんな思いもありますね。それほど多感な時期での経験は人の一生でも重要なインパクトを与えるモノだと思います。
さて、デジタル画像は何でも出来ると思っている人も多いのですが、8ビット画像をいじると壊れてしまう(汚くなる)のは電塾を見ている方なら、誰しも経験が有ることです。市川さんは、RAW現像ソフトを作ろうという発想の大本は画像を壊さないでいじるということをやりたかったからだとおっしゃっていました。
言うまでもないことですが、多くのデジタルカメラはマトリックスベイヤー配列のまだら模様から画像を作ることで、目に見える写真になるわけです。
解像度の高さと疑色、色分離、発生するノイズの問題は相反するもので、それらの要素を両立できないのが常識だそうです。その相反する要求を高いレベルで両立しようとしたのがシルキーピックスだそうです。
さて、シルキーピックスを使ってみると分かりますが、デフォルト設定では一般ウケするようにコントラストが高めの傾向があります。
正しい色再現を目指すことよりも、記憶色重視の色再現を目指すしているためだそうです。そのために3次元ルックアップテーブルを使用して破綻の少ない画像を現像します。
また、記憶色重視は一般的に彩度を上げる傾向があります。それだと女性の肌などが汚くなることがあるのですが、その時は「美肌色」モードを使うことにより、彩度を上げても人肌が汚くなることを避けて、肌色を綺麗に再現することができるそうです。
他の機能としては、輝度色彩コントロールやハイライトコントローラーで、明部補償(白飛びを復元する)暗部調整、画像の色かぶりを復元なども出来るそうです。
更にカメラマンが欲しい機能としては、レンズ収差補正や周辺光量補正、ディストーション補正、倍率色収差補正、ホワイトバランスの微調整などがあります。もちろんリネーム機能も。
面白い機能としてはトリミング機能ですが、純正ではデフォルト状態で記録される画像の切り捨てされているような外周部のデータを表示できる機能があります。これはCCDのデータをすべて使うことが可能になり、「あとちょっと」という局面では便利でしょう。(カメラによる)
質問です。
歪み補正は陣笠タイプにも使えるか? |
対応予定です。 |
表示される色温度などが純正とは異なる事について |
各メーカーのRAWデータには色温度情報は入っていない。RAWデータからの計算値で色温度を出しているのでカメラメーカー純正ソフトとは違う表示になる。現状では仕方ない。 |
カラーホイールでの調整は使いにくい。他のインターフェイスの採用も検討してほしい |
検討いたします。 |
値段はプロ版が出ることにより上がるのか? |
上げる予定です。現在のバージョンをお持ちの方には優待的にプロバージョンにアップグレードする用意がありますので、お気に入りの方は今のうちにお買いになるのがお安く手に入れるチャンスだと思います。 |
発売予定のプロバージョンは大量のRAWファイルを現像する人に向けて、扱いやすいインターフェイスと現像時間の短縮を目指して開発しているそうです。
また、シルキーピックスはCPUを最大限使う設定なので、負荷が掛かりすぎるとハングる事があるそうです。ちょっとした信号ノイズでメモリーエラーが発生したり、熱暴走したりすることがあるそうで、その際はスピードを落として安定化させる事が必要だと言うことでした。
最大限のパフォーマンスを発揮させるには最新のチップを使ったコンピューターをオススメするそうです。Macではデュアルプロセッサーが効果があるとのことでした。
Micro Solution 片岡 章
さて、次は事前のアナウンスがなかったのでどんな商品なのか?把握するのに時間が掛かった商品です。
簡単に言いますと、アップル(Mac)に特化したモニターキャリブレーションツールです。
ソフトとハードの構成になっていますが、ソフトを自社開発、ハードはX-Riteのものを使っています。
測色はMac内のグラフィックカード固有のルックアップテーブルを元にして測色します 従来品では16ポイントのガンマカーブ補正のところをこの製品は32ポイントになっているそうでより精度の高いプロファイル作成が出来るそうです。
また、ガンマカーブのポイントの取り方が独自だそうで、その取り方がウリだそうです。
アップル、しかも液晶モニターのみ対応なのですが、それだけ特化したのはウィンドウズ機と違いMacはグラフィックボードがある範囲内に集約されているためプロファイル作成の精度を高めることが可能だと言うことです。
もともと、テレビ局などの放送機器(ハイビジョンなど)レベルの作り込みをされているものなので、デルタEが0.2なのか0.5なのかと言うレベルの要求を満たす製品だそうです
実際の作業としては、他社の製品と同じようです。一度プロファイル作成をすれば次からはメンテナンスモードで作成できるので1度目の半分くらいの時間で作成できるそうです。
まだ発売となっておりませんが、市場での想定価格98000円くらいだそうです。