今回も盛りだくさんの内容で、時間が余りありませんでした。私事ですが、こんな時には不思議と言いたい事が多くあるものなのです。自分の事はともかく、α7もCG220もフォトのつばさを早く見たいな、と皆さんも思うのでしょう。自己紹介はちょうど時間で収まったようです。私は手短にEPSONさんの携帯ストレージビュアー、P2000を紹介しました。個人的には結構気にいっています。
株式会社ナナオ グラフィクス課 山口 省一様
Apple Cinema HD30との比較 永嶋 サトシ運営委員
1920×1200の広い表示部を持ち AdobeRGB色域に準拠し、 新エンジンNEW ASIC G4 Plusを搭載し、キャリブレーション ソフトもアップデートされ、全て一新のLCD ディスプレイのお披露目です。少なくともLCD(あるいはCRTではない)で、 AdobeRGBを再現するディスプレイの登場を待っていたのは私達だけではないでしょう。
内部演算は14ビット処理でルックアップテーブルも見直し、シャドウ視認性のバランスを向上させたそうです。またバックライトはLEDバックライトも検討されたようですが、これは現在のところ温度が変わると色相が変化する問題を抱えているため、CCFL(蛍光灯)方式を選択したとの事です。多少明るさが犠牲になるとは言え、200cdの明るさは確保しています。私達、画像処理をする人間にとっては100 cdあれば門題ないのでこれで十分なスペックといえます。カラーフィルターはグリーンの波長の違いや、ブルーの色域の狭さも考慮にいれ、より彩度(純度)を追及する方式で AdobeRGB準拠のガモットを作り上げたという事でした。
その他にも sRGB、LCDディスプレイをエミレーションする機能を搭載し、 対象になるディスプレイのプロファイルを持ち込めばまったく同じ状態を再現させる事が可能だそうです。クライアントさんとの信頼関係を構築するのに役立ちそうですね。
カラーナビゲーターもキャリブレーション後の微調整機能を大幅強化され、白、黒レベル、輝度、ガンマテーブルも調整可能になり、ΔE 表示機能まで付きました。静電スイッチパネルを採用し、現在のモードを表示出来るのも嬉しい事です。表示用のLEDは光量を調節できる仕様になっているのも私達にとってはユーザーフレンドリーな設計です。そうそう、遮光フードが標準装備品になったようです。
運営委員の 永嶋さんからは30インチApple Cinema HD Displayの紹介がありました。
17インチから21インチ、23インチとディスプレイをアップグレードし、これまで満足できなかったようなのですが、 30インチを使用して初めてこの大きさで満足したということです。この巨大な面積にもかかわらず、部分的な色むらは殆どないといって良くかなりのバランス感を持っているそうです。欲を言えば全体的にグレーがもう少し追い込めるとよいという事でした。私達も30インチの大きさは始めて見たのですが、広いですね。そしてそのビデオボードの大きさにも圧倒されました。写真がありますのでおわかりになれると思いますが、昔の ThunderPowerなど比較にならないくらいごつくてでかいです。
コニカミノルタフォトイメージング(株) 永井 敏雄様
開発部規格グループ 白石 明様
ソリューション推進部 尾越 武司様
アナログからデジタルへの滑らかな移行を大前提に、ついに制作されたコニカミノルタのデジタルカメラα7D。操作性は銀塩α7とほとんど同じといっていいでしょう。
何といってもボディ内蔵Shift式手ぶれ補正は世界初。全てのαレンズで手ぶれ補正可能(等倍-3倍のマクロズームを除く。とわざわざ言っておられましたが当たり前ですね)ジャイロの動きに反応して動くCCDを見て会場からは感嘆の声が上がりました。アクチュエーターはデモ用に派手に動くように作ってあるという事ですが、実に面白い見ものでした。
APS-CサイズのCCD,CxープロセスIIIというエイシックを積み
旧ミノルタのカメラ、測光技術と旧コニカの絵作り、という入力と出力が合体した成果だそうです。残念ながら、実写は出来ませんが、触った感じは皆さん、分かりやすいと評判でした。
カメラ背面の液晶が大型で永嶋さんはお気に入りの様子です。ナビゲーションディスプレイは立て、横につれ、表示が切り替えられるすぐれ物。文字拡大も可能なので私のような老齢でも見やすい。ダイアル、レバーによる操作性は当然ながら実に使いやすく、ホワイトバランスをレバー操作で変更できるのも嬉しいことです。機械式、というもの、どこかのメーカーがこだわる意味があると思いました。光学ペンタプリズムやスフェリカルアキュートマット採用で明るく見やすいファインダー等、きちんとした魅力を持ったカメラです。
また、高画質RAW現像エンジンを搭載したディマージュマスターも披露されました。
色空間処理は3D LUTより高精度の色再現を実現。なんと最初から16ビット演算だそうです。( Nikon D2 Xもやっとそうなりましたが)収拾選択、画像比較、レタッチをストレスの無い操作感で行うためにデザインされたというこのソフトは別売ながら、そのまま他のメーカーのRAWデータを現像したくなる魅力を満載しています。5つのカテゴリーにわけて、不要、 OKライン、その中でも良し、決定と細かく設定できたり、2画面比較、4画面比較等、画像比較、選択は今もっともやりやすいソフトかもしれません。
画像処理において特筆するべき事は、アンシャープマスクです。この出来の良さが画像の質感を左右するのは皆さんもご存知でしょう。シャドウ側には不要なシャープネスをかけないという設定が追加されているだけでPhotoshop よりははるかに使いやすそうですが、実は空間周波数をイコライザー感覚で好みのバランスで編集できるというとんでもない機能がついています。これで撮影した画像ごとに最適なシャープネス、質感を与える事が可能になったと思います。(この機能、ものすごく欲しかったんだ。鎌田さんありがとう!)
カメラ、ソフトウエアー、共に触れる日が楽しみです。
有限会社シー・イメージ 代表 陳 純様
ACDSeeを越える画像ビュアーソフトを作ろうと前の会社を退職し、5年の歳月をかけて開発したソフトだそうです。
3年で完成し、さらに2年間かけてバグ潰し、ブラッシュアップ等を経て、ついに今年の7月に発売したのだそうですが、これまでこのソフトの事をいっさい知らなかった自分が情けなくなるほどのソフトでした。(電塾のBBSデモ紹介されていましたね。)
今年の7月に公開販売していますが、基本はブラウザ画面とローカル画面の2画面構成でエンターキーでさくさく…いえ、瞬時に切り替えることが出来、その表示の早さに会場からまたも感嘆の声が上がっていました。表示途中でもディレクトリを変更でき、瞬時に表示します。拡大表示もあっという間。殆どの作業がショーカットキーで可能です。撮影現場でこれほどの環境を私達に提供してくれるソフトは私はかつて知りません。
RAW画像の展開もあっという間で、拡大縮小の表示も素晴らしく綺麗です。RAWデータに埋め込まれたプレビュー画像などは必要としないようです。ここまで来ると会場は拍手と歓声で大騒ぎでした。画像回転もロスレズで高速なら、インデックス印刷もあっという間。もう言葉に出来ないくらいで、この感動は私のつたない語意や写真ではとてもではありませんがご紹介できません。
選択、セレクトもF10キー一発で階層の直下に新しいホルダーを作りセレクト完了。それもコピーか移動かも環境設定で選択できるのです。ファイルネームの変更も自由自在。一括変更も可能です。
しかもこれは全てC言語で書かれ、特別なものはいっさい使用していないそうです。そのためマシンスペックなどには殆ど縛られず、98から快適に動作するそうです。ただしそのために陳さん自身が全てのプログラムを一から書き上げる必要もあったそうで。既存の技術に縛られていないのでしょうね。百の説明を聞くより、一見に如かずです。ぜひお試し版をダウンロードしてご自身で体験なさってくださいませ。フルバージョンで¥5.800です。むちゃくちゃ安いと思いませんか?
http://www.cimage.co.jp/
惜しむらくはMAC版には対応していませんが、そのためにウィンドウズのノートブックを一台用意してもおつりは余りあるものだと思います。そうそう、バックアップ機能も痒いところに手が届く仕様で一度読み込んだデータは2回目以降飛ばして[新規ファイル]だけを読み込むというニコンさんがIT-500で実現している機能も持っていました。こういうところは実作業に関心が無ければ思いつかない部分です。
動作の早さの秘密はまだあり、6本ほどの同時進行するプログラム、また、いっさいキャッシュを使用しない等の秘密はあるそうです。(キャッシュを使用しないから早いというのは私には理解できませんでしたが)
株式会社アクト・ツー プロダクト事業部 戸津 弘貴様
技術担当 小林様
マルチメディアデータ管理ソフトで、私達が知るキュムラスやポートフォリオと同じカテゴリに属しますが、それらがネットワーク対応を目指していったのに比較して、このソフトはもう少し小規模な運用を視野に入れて開発されたようです。実に私達向けといえるでしょう。また、前に発表されたフォトのつばさが撮影後、現像前に用途を絞ったソフトなら、iView Media Pro 2は仕事が完了したあとのアーカイブ作成、閲覧のためのソフトだといえ、まったく性格が違うソフトだといえるでしょう。
膨大なデータを高速検索、分類する事を得意とし、もちろん複数RAWデータもサポートしています。外部のアプリケーションとのシームレスな連携も実現し、カテゴリーごとの表示速度、検索速度、全てにおいて快適で、プレビューも見る事が出来るすぐれ物です。Mac版としてはかなり早いスピードを実現し、(もちろんウィンドウズでも快適に動きます)シングルユーザー2ライセンスでで¥26.040というお値段は実にお安いといえるでしょう。これも発売が待たれるソフトです。
株式会社アクト・ツーが発売元となりますが11月中ごろに発売予定だそうです。
http://www.act2.co.jp/x_act2main/x_NEWS/News/041019_iView.html
電塾フォトキナ取材班(電塾運営委員)
金田氏、山田氏、玉内氏の電塾特派員三名によるフォトキナレポート
マミヤZDが話題の中心でしたが、山田氏、玉内氏、金田氏の見るところはそれぞれに違いがあり、お伺いしていてとても楽しいセッションで、いかにも電塾らしいセッションでした。基本的には今や全てのこういった催し物の情報はインターネットを経由してリアルタイムで知る事が可能になりましたが、直接お話を聞くとはやはり一味も二味も違うものです。
今月の一枚は個人の資格で初参加の坂野君。東京では、というよりも個人でこれからカメラマンとして再出発です。頑張ってね。
今回の電塾は明日にもすぐに役に立つものばかりの紹介で、私の頭の中はぐるぐると回っていました。自宅からフォトのつばさを注文しようとしたらば、自宅の環境にウィンドウズ機が無いのに気がつき、月曜日にはマシンと共に買いに行こうと決心しています。しかしフォトのつばさは凄いしナナオさんのCG220はお金さえあればすぐにでも欲しいディスプレイです。私の物欲は天井知らず。
文:鹿野 宏