お昼ご飯や二次会に重宝に使っていたネプチューンというレストランが撤退してしまい、電塾の楽しさが一つ無くなってしまったのがとても残念。とは言え、今日は盛りだくさんの内容で、参加者もいつもより大目。恒例の自己紹介も、最初から非常に盛り上がり、皆さんいいたいことが山盛りのようで、ここだけでも1時間を要した。時には本編よりも興味のある内容が飛び出してくるところがすごい。では早速内容をレポートしよう。
1.Adobe Camera Raw プラグイン検証報告
永嶋サトシ氏はなぜか、本日発売の17インチのPowerBookG4を使用している。(よく見ると塾長も持っている。この人たちって、一体どういった人たちなのだろう?)朝買ってきたのにしてはすでにソフトがインストールされているし。それはともかく、日本語版でのデモンストレーションはご法度、ということで英語版でのデモと相成った。(一体なぜなんだろう?)スピード感。十分な画質、コントロールのしやすさも然ることながら、各社のRAWデータをまとめてブラウジング出来ることの便利さ、融通は利かないがドロップレットを利用したバッチ機能などを紹介。永嶋氏はいたく気に入っているようで、この程度の画質を確保出来れば、通常の仕事に十分使用出来るという判断を下していた。
面白いことに、本日は各カメラメーカの技術の方々が揃っているので、フジさんを始めニコン、キヤノンさんそれぞれからコメントを戴けた。どちらの技術の方々もやはり、最高の画質は専用ソフトにはかなわないということを強調していた。(当然といえばあまりに当然)しかしこのプラグインは必要十分な画質、利便性、速度、などを持っているといえるだろう。特にどんな種類のRAWデータを現像させても、均一な仕上がりをしてくれるところなどは、数種類のデジカメを仕事に運用しているスタジオにとっては大きな恩恵となりうる。(逆を言えば、各カメラの個性を消してしまうって事にも成るが、このあたりはうまく使い分けをすることでさらに有効活用出来るような気がする。)上手に使えば、効果をあげるが、専用ソフト不要論には、けしてならない気がした。気合いの入った最高の一品はやはり専用ソフトを使うことになるし、デジカメを一社に限定して持っている人間にはさほど必要もなさそうだ。
2.三菱電気演色性カラーモニター
時間が押していることもあり、休憩無しでNEC三菱の開発の飯村さんからお話を始めていただいた。。これは百分は一見に如かずで、とにかく見てみないと始まらないCRTの広色域モニターだ。LEDバックライト、カラーフィルター変更など、液晶モニタの将来に向けても開発中とのことで楽しみである。今回のカラーフィルター変更により
AdobeRGBを再現出来るCRTモニタは開発者向けに制作された有償サンプルで、現在ある数は30台程度しかないのだそうだ。(最もすでに二十台ほどは受注されている模様)参参考価格は100万円。これってそんなに高いとは思わないが、出来れば40万円程度に落ち付いて欲しいものだ。現在は京都の工場で細々とつくっているようで、(それで笠井さんが知っておられたのかしら?)一枚一枚、液晶を手作りしているとのことだった。
解像度も然る事ながら諧調特性、色再現など、どれをとっても素晴らしい再現をしているようだ。用意されているサンプル画像やFUJIFILM
さんなどが AdobeRGBで作成したデータを持ってきていて、さっそく皆で比較する。実際に見ると、ここまで絵が変わるのか、というショックを受ける。こってりした色彩をつくりたい時に、いや、AdobeRGBで色彩をハンドリングしたい私たちにとっては垂涎のモニターだ。これまで、当然のように色飽和する、高彩度領域の諧調再現という大きな問題はこれであっさりと解決されるだろう。実際に市場に登場するにはまだ少々の時間が必要な模様なのは残念。
休憩中はディスプレイの前に、黒山の人だかり。ちなみにこのディスプレイのギャマットを以下にあげておきたい。
3.最新デジタル情報
少々の休憩を挟んだ後で、先日のエイプリルフールの記事で話題の山田久美男さんの登場となった。いつもはPMAの翌週にはちょうど電塾があるのだが、今年はカレンダーの関係で、一ヶ月遅れのレポートになった。山田さんのホームページをすでに見ているので、個人的には何となく… もっとも、お話の内容は文章にできない部分も多く、今回も多くの裏話を披露してくれた。面白かったのがコダックやカシオの巨大ディスプレイ搭載機。そのままの状態で、画像を楽しめうという物だ。そのほかに民生機だが、台湾、韓国製のデジカメの頑張りなども披露され、興味は尽きない。
4.技術者に学ぶシリーズ第2弾
最後に本日の目玉。フジフィルムの竹村さんに続いて、第2回目。株式会社ニコン 映像カンパニー第四開発部柴崎清茂氏による講演が行われた。技術者がいかにデジタルの画像設計をしているか、というあたりに焦点を当てたお話だった。いかなることを思い、センサー、撮像素子、画素記録などを設計、アレンジしているのか、という専門的なお話をお伺い出来た。残念ながらその詳細をここには掲載出来ないが、(こればかりは電塾の現場にいないと聞くことは出来ない。これらの内容を知りたければ、ぜひ出席してください。)ただ、ビデオαの4月号にもこれらに関する面白い記事が乗っているよ、というオファーがあったので、せっかくなのでここに記しておきます。また、質疑応答ではレンズのぼけ味の問題としてデフォーカスレンズのかつようやら、技術者らしい説得力で、モニタを見る環境についてのお話などが合った。
鹿野 宏