三月のセミナーはPMA直前ということもあり、デジタルカメラの新機種の発表は無いだろうと思われていたが、キヤノンとコダックから最新機種のデモが行われた。うわさが先行していた CANON EOS 10D とやっとベータ機が公開されたkodak DCS Pro14Nの2機種。
まずは CANON EOS 10D から発表された。D60の後継機といいながら、ボディは新たに設計されたマグネシウム合金製。合焦性能はEOS7と同じモジュールを採用したおかげでかなりの高レベル。スピードも速く、暗いところでも小気味よく合焦する。画像そのものは持ち帰ることができなかったので実証されてはいないが、D60をさらにブラッシュアップしたものであることに間違いは無い。やっと液晶ディスプレイ上で自由に拡大、縮小、移動ができるようになったのは大きな進化だ。実勢価格は20万円を切るということで、最も手軽に使える600万画素機ということになるかもしれない。
やっと姿を見せた、kodak DCS Pro14Nは(実は私も始めて見たのだが)写真よりも遥かに良い印象を受けた。これもデータを取ることはできなかったが、サイトにサンプルが掲載されているので、確認して欲しい。
FUJIFILM のデジタルカメラバック(どうやら名称はまだ決められていないが)も現物こそ現れなかったが、 アスペクト比1:1.4という5×7inchと殆ど同じという私の待ち望んだ形での発表になった。まずは写真館向けに開発されたのだろう、GX680に取り付けるような形での発表になった。
スペックなどは
http://cweb.canon.jp/newsrelease/2003-02/pr_eos10d.html
http://wwwjp.kodak.com/JP/ja/professional/products/cameras/dcspro14n/sample-image.shtml
http://www.fujifilm.co.jp/news_r/nrj1047.html
を参照されたい。
さらに、汎用デジカメRAWデータ展開ソフトPhotoshop Camera RAW Pliug-in の紹介、プロファイルメーカーによる、カメラプロファイルの作成デモも行われ、特色パッチを使ったプロファイル(繊維製品に特化した)も作れるかもしれない?という期待を抱かせてくれた。
その後、休憩を挟み本日の本題として、「ソースプロファイルを考える」と題した第二部が開催された。ソースプロファイルは有効か?という問いに対して、過去トライした永嶋氏、KONO氏などから、いかにその制作が難しいものであるか、という経験を疲労され、“正確なソースプロファイル”とその“正しい運用”とが、いかに困難な物であるかということを確認した。しかし、うまく運用された時の成果は非常に効果的なものであり、無視するにはあまりにもったいない。その技術を使えるレベルのプレイヤーに取っては封印せずに、ローカルとして、正しく運用することを認めるべきだろう、というところに落ち着いた。また、データの振り出し側としてのプロファイルの有り様があるのではないか? またパブリックとしてはスタンダードなカラースペースを採用しよう。というような意識の統一が必要だろうという提案もなされた。
最後に“RGB画像運用ガイドブック”について、カメラマンの江口氏より解説がなされ、いくつかの疑問点も提案されたが、基本路線として、やっと、カラーマネージメントを下敷きに、これだけの形になった画像の運用方法というものが提案されたことを心から歓迎したい。これまで、ローカルルールの集合体として運用されてきた画像の運用方法が、これにより変化し、パブリックなルールというものが認知されるようになっていくことは間違いない。
会は予定時間をオーバーして終了したが、まだまだ、はなし足りないメンバーはいつものごとく二次会でさらに討論会を続行することになった。今回はBBSの書き込みで、重要な問題提起をしていただいたtatsuphotoさんも参加し、オフ会的な要素も交えながら話は弾む。次回の電塾は最新機種のめじろ押しということになりそうだ。
鹿野 宏