ExposureProfile Target II
 
 

本来はカメラの持つダイナミックレンジを測定し、同社のL-758Dに読み込ませ、適正露出とハイライト、シャドウの再現域をを把握するためのアプリケーションです。しかし、このソフトウエアは単独で誰でもダウンロードできます。
こんな言い方は失礼ですが、ExposureProfile Target IIはターゲットさえ購入すれば露出計を購入しなくても自分が持つデジタルカメラのダイナミックレンジを測定できてしまうのです。(もちろん、露出計に読み込ませて使用するともっと便利なのだが…)

筆者の今までのダイナミックレンジ確認

筆者は今迄、デジタルカメラのダイナミックレンジを測定するためにこのようにハイライト側に明るいものを置き、シャドウ側に暗いものを置いてそれを段階露光して判定するというとてもアナログな方法を用いてきました。このチャートの存在を知ったとき、「これだ!」と感じたのです。

出来上がりのカーブ

測定の方法は至って簡単で、チャートを購入し、それをオーバー側3段、適正、アンダー側3段で撮影し。そのデータをExposureProfile Target IIに読み込ませれば良いだけのものです。それだけでこんな応答曲線のグラフを書き出してくれます。

チャートの出来具合

左上がバージョン1のチャートで左下がバージョン2のチャート。簡便さではバージョン2が使いやすい。右はターゲットの裏面。高精度な

チャートは1/6絞り分ずつの刻みで4絞り分のダイナミックレンジを記録できます。この1/6刻みのチャートを制作するにはそれは大変な努力を強いられたそうです。その結果がこのチャートなのですが、どうしてもこれ以上安く作ることができなかったそうです。ちなみに裏側は一面「18%グレイ」。見事なまでにニュートラルグレイを出しています。和紙としても普段持ち歩きたくはないもですが、自分自身お基準値としての価値を感じます。定価で18000円という値段が高いのか、安いのかは判断は別れると思いますが、「確かなニュートラルグレイ」と「自分のカメラのダイナミックレンジを判定できる」ということにに対してどれだけの対価を認めるかということでしょう。

露光段数はNDフィルターで

上下3段、合計6段の露出幅を確実に得ることは結構大変です。ストロボでは出力が安定しないものが多いし(100万円程度のストロボであればかなり安定するものがあります)、絞り値でも結構「1/3絞りは暴れ」ます。一度はうまく行っても繰り返し精度を出すことが難しいので、筆者のお薦めはNDフィルターです。絞りもストロボも変化させずにフィルターだけで減光できるので安心です.いろいろ試しましたが、これが一番確実と感じました。
久しぶりにNDフィルターを買いにいくと01、0.2、0.3、0.4〜1、1.1、1.2という段階になっています。この0.1段が1/3絞りです。つまり3絞りが0.9、6絞りが1.8という具合になります。




ライティングとレンズ

ライティングは標準的な複写ライティングです。丁寧に均等な光を作ってください。これを怠るとカーブが暴れてしまいます。また、レンズもバランスの良いもの.ズームレンズよりは単レンズ、単焦点よりは超焦点、かつマイクロレンズなどがベストです。画面一杯に撮影すると周辺の光量不足が目立ちます.レンズ中央に小さめに撮影するのが良いでしょう。また、絞り値も開放F値がF2.8程度のレンズなら8から11程度が良いと思います。カメラは三脚に付けて画面移動がないようにすると後が楽になります。また、中央のグレイが RGB 118程度になるように撮影するといいでしょう。

最終的な判定

カーブの判定は何処までを再現領域とするか、今日範囲を何処に設定するかで大きく異なります。ハイライト側は見た目で良いでしょうが、シャドウ側は判定が難しいところです.標準で用意されているパラメーターはかなり安全圏を広く取っているようにお感じました。2年以上前に発売されたデジタルカメラを視野に入れるとどうしてもこなると思います。最近のデジタルカメラはシャドウ部の再現に目を見張るものがあります。撮影したチャートをトーンカーブで持ち上げて、何処まで許容範囲に入るかを見極めてください.私がメインに使用しているD3. D700 ではRGBが10までは今日範囲に入ると感じています。(ISO200のときに)。

シャドウ部をトーンカーブで持ち上げて、何処までが許容範囲下を確認する。

マイナス絞りのチャート。

ここまでのカーブをかけてシャドウ部を持ち上げてみた。

このチャートを見て何処までを自分が使えるか、という判断をするべき。商品撮影の場合とロケ、イメージ撮影、スナップ撮影では自ずと許容範囲が異なるはずです。

+3,0,-3で作成したチャート

このカメラに実際に持つダイナミックレンジを加味してみると7絞り以上のダイナミックレンジを持つことがわかる。

+2と適正、-4で作成したチャート

アドバンスな使い方としてハイライト+2、シャドウ-4で撮影。これで撮影し、光量補正値にも同じ数値を打ち込んでみるのも一つの手です。すべての方にお進めできるわけではありませんが、シャドウ部の動きをしっかり確認するにはいい方法だと思います。

個人で購入するには戸惑いがあるかもしれませんが、会社などで何台かのカメラを使用している場合や、新しいカメラをテストする場合にはとても有効な手段を提供してくれます。共同購入でも十分にメリットになると感じました。

レポート 鹿野 宏