1400万画素のミドルクラス PENTAX K20D
 
 
1400万画素はどれだけ解像するか?
 
 

1400万画素クラスのデジタルカメラは一体どれだけの実力があるのでしょうか?
私は常々、風景写真をデジタルでものにしたければ、2000万画素以上が必要だと唱えてきました。遠景の木々の葉っぱに解像感が得られるにはそれだけの高周波成分に対応するしかなく、そのためには2200〜2400万画素がどうしても必要になると…。で、はたしてこの1460万画素は私の期待値ほどは画素数がないにしても、通常のAPS-Cサイズとしては最高の画素密度を持っているわけです。これが風景にどれだけ使用できるかしら?というのがテーマです。

最初からレンズに寄り道

それに、新しい18〜55mmIIとリミテッドレンズシリーズの40mm、35mmマクロ、70mmも手もとにあるので、これらのレンズの味も一緒に楽しんでみようという企画です。実は1年ほど前にK10Dをテストしたときにお借りしたDA40mmF2.8 LimitedとDA21mmF3.2AL Limitedレンズにすっかりはまってしまったのです。トップの写真は上からDA35mmF2.8 Macro Limited、DA70mmF2.4Limited、DA40mmF2.8 Limitedです。削り出しの滑り止めやレンズの小ささ、薄さ、金属の質感など…結構外見が魅力的で特徴があるのです。それだけなら多分飛びつきませんが、写りもかなり高レベルと来ているのです。で、どのレンズを買おうかなと思いながら全部をテストさせていただいた、というのが真相。

35mmと40mmは35mm換算で約50mmと60mmにあたり、どちらも開放F値は2.8。ま、普通に考えてほんの少しだけ性格が異なる標準レンズということになるけど、35mmの方が等倍まで寄れるマクロレンズとして設計されています。40mmはペタンコに仕上げるために胴鏡をぐいっと延ばす機構がないので、最短40cmそのまま。使い勝手を考えると、あたしは逆の方が嬉しいと思う。35mmがペタンコで最短距離は35cmのままで40mmが1/2倍くらいまで寄れて、それほど大きくない…コンパクトなレンズだったら…今のリミテッドシリーズはもっと魅力的なのに!。(35ミリってあまりにワーキングディスタンスが小さい…逆に40mmでは寄りたくなる事が多い…あくまで個人的な使いたに基づく感想です)
ついでにいうと、70mmも同様にせめて30〜40cmくらいまで接近できるといいのにと思う。せっかく被写体に対して、威圧感がないコンパクトなレンズなのだから、後ほんの少し最短距離を(等倍とはいわないので)短くしてくれるとものすごく嬉んしんだけどな。ま、これはあたしの希望で、そんなことの感じ方は人それぞれ。…閑話休題

描写力というか、解像感というか…その辺りはこの二本のレンズが良く似ています。やや、解像感重視。しかし、かりかりに仕上がるわけではない。諧調感もそこそこ。でも、ものすごく柔らかいわけでもない。現在のイメージセンサに対してちょうど良いバランスを保っているようです。チャートの1ピクセル部分を比較してみると、ほんの少し40mmの方がかりっとしているようで、35mmの方が柔らかい…けどシーンによっては偽色もでやすい?ようです。もっともこのあたりは現像ソフトによる影響も大きく受けますけど…。その他はほとんど同じよな特性を示しています。リミテッドレンズ全体にいえることですが、どこかが突出して優れた、という部分がない代わりに、どの部分をとってもそこそこの性能を示すようです。汎用レンズとして私はこの味付けに大賛成です。金属の削り出し部分にしても超高級ではないが、そこそこ満足できる質感、動作感が得られます。オートフォーカスはボディ内駆動にも関わらずきびきび小気味よく動くのはトルクが軽いからと回転角が小さいからでしょう。なんといっても小さく軽いことは最大のメリットです。

先にレンズのお話に触れてしまいましたが、今回18〜55、35mm、40mm、50〜135mmという4本のレンズをLightroomと純正ソフトのそれぞれで現像してみました。ソフトによって、結構仕上がりが変わるもので、純正ソフトの方が無理な解像感を追いかけなくて素直なのではないかと感じました。ライトルームは汎用ソフトのせいか、偽解像を少々起こしているようです。ただし、これにより一概に判断する事は危険でしょう。もっとも、これはこれだけ意地の悪いチャートを撮影しているからなのでしょう。実写では、それぞれ色作りや諧調設定に結構個性が出てくる…くらいにしか感じられませんでした。

Adobe Photoshop Lightroomを使用して現像したチャート

純正ソフト PENTAX PHOTO Laboratory 3で現像したチャート。

それぞれの画像をクリックする事で100%画像を表示できます。すべて比較してみたい方はどうぞ。

ペンタックスの純正ソフトの設定では、ナチャラルを選択しているためか、彩度、コントラストもおとなしめで玄人好み、ライトルームは鮮やか、コントラスト高めの万人向けの仕上がりをします。ちなみに入門機のK200Dがデフォルトが万人向きに設定され、上級向けのK20Dは玄人好みの渋い画像をデフォルトにしているそうです。最近は入門機も上級機も同様の色再現を目指すメーカーが増えてきたのに対して(といっても現実には差があるように感じますが…)想定されるレベルによって味付けを変えているのはちょっと珍しいですね。どちらがいいのかはメーカースタンスと考えていいと思います。よく比較してみると、1400万画素を超すセンサでは今まで気がつかなかったレンズ性能がよく見えてくるのです。どちらで現像したものでもかまいませんができたら比較してみてください。これがいきなりレンズのお話で始まったり通です。

やっと解像力チャート

そこで比較的標準的かつ良好な(といっても結構いいレベルでのお話です)仕上がりをしているDA40mmF2.8 Limitedの結果を判定に使用する事にしました。1400万画素になって一画素の口径が小さくなった事と、初めて扱うサムスン製のセンサーである事を考慮に入れると、このセンサーの仕上がりはかなり良くできているのだと感じました。

0.8〜1ピクセルのチャートの…つまり解像できるはずのない部分をいかに処理しているかをチェックする部分ですが、偽色、偽解像をあまり起こさないで、素直にグレイにまとめています。(左が0.8ピクセル赤枠が1ピクセル)

1.3ピクセルチャートになると必要充分な解像感を行い、おかしな偽色もほとんど出ていません。これは非常に優秀な結果だと判定できます。

2ピクセルにあたる部分はバランスいい解像をしているのだが結構重要な3ピクセル部分で計算ミスが発生しているのが少々気にかかる程度か…。この部分はできればしっかり計算してほしいところですが、この赤とシアンのチェックはかなり厳しい条件で、ほとんどのセンサーが苦労している部分です。
(左が2ピクセル右が3ピクセル)

同様に4〜5ピクセル部分ももう少し追い込めるとさらに磨きがかかるだろうと感じますが、初めて扱うセンサで、ここまで仕上げているのは立派だと言えるでしょう。(左が4ピクセル右が5ピクセル)

実際のチャートの1ピクセルがイメージセンサの1ピクセルに同期できているはずはないので、1/4ピクセルほどずらして配置してあるチャートを見ると水平、垂直では少々計算ミスを起こしているが、斜め45°のライン、あるいはチェッカー模様ではでは見事な結果を出しています。(左1.3ピクセル、右1.6ピクセル)

3ピクセル程度の線をもう少し端正に演算できるとぐっと良くなるとおもう。特にグレイの中に描かれたシアンやマゼンタの細い線、白に囲まれた黄色の線、これらのなどの同明度異色相の再現はこれからの課題だが、それはK20Dに限らず、ベイヤー配列を持ったすべてのデジタルカメラの課題だとも言えるでしょう。

同じく、輝度差がある、あるいは異なる色相内の小さな点。これは演算時に参照できる情報がほとんどないので、かなり大変だと思うが、がんばってほしいところ。

放射水平チャートは結構問題が出やすいチャートですが、これもうまくおさめています。解像感をあまりに追いかけると、ここで破綻することが多いのです。今まで35mmタイプの一眼レフの場合ソニー、フジ、キヤノン、フォビオン製のセンサを検証する事が多かったのですが、サムスン製のセンサも侮りがたい実力を持っているようです。(確かサムスンとしても一眼レフ用センサの開発は初めてだったはずです。この結果を見て将来がとても楽しみになりました)

このセンサーの目玉…各フォトダイオードの前に貼付けられた集光レンズは円形ではなくやや四角形に近い形をしています。これにより少しでも多くの光を集めるように工夫されているとの事です。
*この画像はペンタックスさんからお借りしました。

モアレについて

高画素数を誇るセンサは当然ピクセルモアレを起こすポイントがどんどん高周波よりになります。ですので多くの場合は「モアレにくく」なっていくのですが、このセンサも同様でモアレに非常に強いようです。1000万画素までは必ずどこかでピクセルモアレがおこっていた私の秘蔵のモアレチェック用布地です。ピクセルモアレはほとんどおこっていないようです。ただ、解像をあきらめたときにやや、本来ではない色彩に少々染まる癖があるのが気になりました。全くグレイのものを撮影しているので、ほんの少しの転びも気になってしまうのでしょうが…。これも将来的には演算で解消されるものと思われます。

画像をクリックすると原寸大画面が表示されます。

分光反射特性

これまた、いつもの分光反射特性を確認するためのチャートでほとんどがアゾ染料のたぐいを持っていて近赤外線で赤みを帯びてしまう布地です。この中でストライプのシャツだけがアゾ染料を含んでいません。私の感覚では、K10Dの方がこの傾向は押さえられていたように感じます。両者ともストロボ光ではさほどの差がありませんし、大きな問題はないのですが、タングステン光源でははっきりとその影響を受けており、K20Dの方が、強く影響を受けています。(より赤く、明るく再現されている)これらもこのセンサになれ込む時間が必要なのでしょう。もっとも人間の目もタングステン光源でものをみている時はやや暖かみのある色彩に感じているので、その意味では大きな間違いではないし、タングステンライトで商品撮りしない限り大きな問題にはならないでしょう。
※東芝が2010年を目安に電球の製造を打ち切るというお話を聞きました。いずれ他のメーカーも追随するのでしょうが、私は電球色の蛍光灯は実はこの世から抹殺したいくらい、嫌いです。光が、スペクトルがこれでもかというくらい汚いのです。電球の光はお日様の光の次に大好きです。スペクトルはきれいで、心が安らぎます。私も蛍光灯は使いますが、早い時期にLEDが演色性を高めて購入しやすい値段になることを…心底望みます。

高感度特性

画像をクリックすると原寸大画面が表示されます。

画素数を増やしたので当然現状維持かと思っていたですが、予想に反して非常に良くなりました。K10Dでは400から800という感度はあまり使いたくなかったのですが、100から800まで、結構いけます。100〜400は商品撮影でも使用できるクラスの仕上がりで、800は建築の室内でいけそうです。昔使っていた色彩と質感再現用のチャートでテストしてみました。絞りはすべてF8タングステン光源を使用しています。

肌色を表すチャートの暗い側、ぶどうの表面、色鉛筆のシャドウ側でノイズの出方はよく見えます。

ISO1600でノイズが目立ち始めて、ISO3200ではかなりはっきりします。

赤と緑、赤と紺、時計の金属光沢など、感度が上がるとややもするとトラブルが起こる場所ですが、大きなにじみなどの問題を起こしていません。良くできていると言えます。

高周波成分が増える布のテクスチャーをみていくと実はISO800でもそろそろテクスチャーの再現が甘くなっているのがわかります。枯れ木も変化し始めており、1600では、質感の再現もOKとは言いにくいですが、100%で見ている事を考えれば、コントラストもさほど強くならず、立派なものです。風景やイメージ的な作品であれば感度1600は十分に使えるでしょう。

感度3200と6400の比較画像です。100%で見ていますのでかなり荒く感じます。感度1600と3200の差より、感度3200と6400の差の方が大きく感じます。もっとも、感度6400は通常は隠されていて、オプションで使用できるように設定されており、メーカーとしてはあまり出したくないところなのでしょう。それでも、この感度でこれだけ撮影できるようになったというのは評価できます。この感度でなければ写せないものもあるのですから…。

6400の画像をモノクロ化すると、結構いい感じの粒状感をもった再現になります。

猫は高感度で撮影すると、すぐに汚くなるので格好の被写体です。ISO1250でもこれだけトーンをきれいに再現しています。ISO3200でグラデーション上のノイズは見えますが、写真として我慢できなくはない範囲まで来ています。(許容範囲はその撮影の性質、作家の感性で異なるのはもちろんです)自分の感覚で何処までが許容範囲か、自分が再現したいテクスチャーと比較して考えてみてください。写真をクリックすると100%画像が表示されます。

…ここからは実写画像です。黄色い枠がある写真はクリックすることで元画像が表示されます。
もちろん、チャートだけでは何とも言えません。いくつかの実写を行ってみました。見た目の解像感を探ってみましょう。

中景として、よくある距離感の170メートル離れた建物を撮影。

35mm相当で撮影した画像の全体像。

全体の画像:上左から55mm、47.5mm、35mm、24mm、21mm、18mmで撮影。[プリントサイズ]によるが、上段のデータはかなりのばしてもぜんぜん平気ですが、下段の画像はA3にのばしたときにちょっと問題があるかも…。高周波成分が占める量と、その周波数がさらに高くなるからです。

100%表示の部分:九段のお堀端、田安門の入り口から約170m離れた九段会館を斜めに配置して撮影しました。これだけの距離を持って撮影すると、かすむような遠景は別として、解像感が重要になる中景をどのくらい解像してくれるかという目安になると思います。DA18-55mmF3.5-5.6AL II(初代に比較してぐっと良くなってきましたね)というズームレンズでいくつか焦点距離を変化させて撮影してみたものです。28mmから50mm(表示は18~35mm)前後が風景の場合、多く使用される焦点距離だと思うので、このレンズで当てはまっていると言えるでしょう。
50mmは75mm相当となり、風景撮影にしては望遠系です。かなりの解像感を誇りますが、これは1000万画素でもこのくらいは解像感を出します。
35mm相当(表示は24m)の画像では中景がこれだけ解像していれば文句のつけようもありません。申し分ない解像感を持っていると言えるでしょう。
28mm相当(表示は18mm)の画像でちょっと食い足りない気がします。欲を言えば切りがありませんが、100%画像をを観察すると、やはり、2400万画素前後はあった方がいいのだろうな、と思わせます。とはいえ、1400万画素は素晴らしく健闘していると言っていいようです。

もっと細かい形は70メートルの距離でも解像しないことがある。

前の写真よりもずっと距離はないのだが、解像しなくてはならない形が、さらに小さくなったのでやはり一筋縄ではいかない。

全体の画像:先ほどと同じく、上左から55mm、47.5mm、35mm、24mm、21mm、18mmで撮影。ここでみるのは画角が変化したことによる高周波成分のダイナミックな変化です。

100%表示の部分:木々の葉っぱが集まった写真。先ほどの写真に比較して距離は80メートルくらいで、木々の緑を撮影してみました。はやり18m側は葉っぱだか点なのか良く判別できません。しかし35mmより長い焦点距離では、小さな葉っぱの形が何となく理解できます。これは自分にとってどれくらいの解像感が必要か、ということになりますので、ご参考までに。

グラデーションと硬質の被写体DA40mmF2.8 Limited

DA40mmF2.8 Limitedを使用して、商品撮影にトライしてみました。ISO200でF8。これだけペタンコなレンズなのに、実に良く写ります。もう少し近接撮影ができたら、仕事に使ってしまいかねない…。時々ポートレイトに使用していますが…。グラデーションの再現も、良好。カメラのエッジも良く出ていると思います。もっともかなりクラッシックな被写体でしたが…。ちなみにこのレンズはお借りしているのではなく、自分で購入したもの。それだけに思い入れも強いかもしれない。とにかく薄くて軽くて、それでも写りは本格的なのが最大の魅力。


上野動物園DA★50-135mmF2.8ED [IF]SDM

檻の中の鷹。どういった種類だったか忘れたけど、かなり堂々としてる存在感がある奴でした。35mm換算で120mm相当のところで撮影。F2.8開放、ISO400。望遠側での開放の威力は一眼レフならでは。ぼけも空気感も十分感じられ、手ぶれ補正も思ったよりも効いているようです。前回テストしたレンズなので細かいコメントは避けますが、相変わらず写りが良く、センサーが良くなっとことで、さらに磨きがかかったような気がします。


ペンギンは135mm側で、ISO800 1/640秒 F8 手ぶれ補正あり。カメラとペンギンの距離は4メートルくらいあるのですが、かなりの圧縮感を得ることができました。グレイの陰になった部分に、色ノイズが発生し出しているのが少し気になります。シーンによっては感度400くらいが安全圏と言えるかもしれません。


上野動物園DA70mmF2.4Limited

小さなトカゲをDA70mmF2.4Limited の最短距離で撮影。もう少し寄ることができたら、と思うのは私だけでしょうか?。小ささとのバランスはもちろんありますが…。写りはさすがにリミテッドシリーズ。いや、この良好なシリーズの中でも一番いいのではないだしょうか?解像感とボリューム感、グラデーションのバランスが素晴らしい仕上がりだと感じました。ISO1600だとは感じられない仕上がり。1/125秒F2.8。多分手ぶれ補正も大活躍しているのでしょう。


フラミンゴの写真は少し距離を取ってみました。それでも結構空間を感じさせるぼけが得られます。ISO800 F3.6 1/1250。ISO800ははやり被写体や条件で普通に仕上がったり、「荒れ」が気になったりするらしい…。


多分一番使いやすいDA35mmF2.8 Macro Limited

亀(…トカゲだったかしら?)はほとんどくっついているような状態での撮影。35mmマクロというのはこういうときにつらい。でもこの写真はガラス越しとは思えない抜けの良さがある。35mmなのにぼけもむちゃくちゃきれい。普段使いに40mmとどっちを選ぶか迷ってしまいます。色彩やグラデーション優先ならこちらかもしれません。

赤からオレンジと黄色の花はISO200 F7.11/250秒。ほとんど最短距離。これだけ彩度が高くても色飽和を起こしていないのは立派。でも花粉がレンズに付きそう…下手なものには近づかない方がいいかもしれません…。

タンポポのアップもほとんど最短距離。1/250秒 ISO200 F7.1。きれいな小宇宙に見えるが、撮影しているところをみると、道ばたでかがみ込んでカメラがタンポポにくっつきそうになっているという…。あまり人様にみられたくない状態。もちろんレフ板などを仕込む距離もない。どのレンズにも手ぶれ補正が効くというのはありがたいと感じた。

銀製の船。この極端なコントラストと銀のグラデーション、細い線など、嫌らしさの固まり。しかもほとんど色がない。この世界を上手に再現しているのはその実力の現れだろう。自宅でずっとほこりをかぶっていたものだが、使い方によってはチャートにも劣らない難しい被写体でした。ISO200 F4.5 1/125秒ストロボ使用。


感想とまとめ

現像ソフト PENTAX PHOTO Laboratory 3に関しては今回は詳しく検証しませんでしたが、複数のパラメータを持たせてバッチで処理できないところ、MAC版のせいか動作が重く、微調整がしにくいのがつらく感じました。操作感ではAdobe Photoshop Lightroomとついつい比較してしまいますが──もっとも軽快さをそれなりの値段で販売している汎用ソフトなみに求めるのは無理があるかもしれません。しかし、K10Dの頃に比較すると、イメージセンサからのデータの質が向上したためか、無理なく好感を持てる仕上げになっている感じを受けます。また、キャプチャーソフトも、なんとか撮影ができるというレベルで、今後の改良が待たれます。ただ、スタンドアロンで使う事が大前提なのか、マシンとのコネクターが特殊なUSBなのも気になりました。個人的にはここは汎用性のあるコネクタをつけるべきではないかと感じます。
※最もこのコネクタはペンタックスとしてはコンパクトから一眼レフまで共通化しており、ビデオ端子も兼ねているのだそうです。これはメーカーとしてのスタンスもあるのでしょう。最も大きい理由はやはり小さいことと、汎用と異なる形にすることで、どのようなデバイスを取り付けられるかわからないリスクを回避するということもあるようです。でもメーカーを超えて使う人間にとっては(また、お仕事をするカメラマンにとっては)ここはやはり汎用品の方がうれしいなあ。

ひと世代前のK10Dと比較すると外観はほとんど変化していないのに、その中身は2〜3世代分の進歩が見られました。特に画像処理、センサの実力、絵作り、ノイズや諧調感…このあたりは長足の進歩をしたと言っていいでしょう。それだけに見た目に変化がないのはちょっともったいなかったかな、という気がします。(これは、重要な部分ではありません)ボディとしては中級機なのに比較的小さく、魅力的なリミテッドレンズと組み合わせると「持って歩けるカメラ」最上位にランクされると思いますが、ペンタ部に仕込んだストロボの長さ(ダブルリトラクタブルにすればいいのに…)あちこちの気になる出っ張り、電池室やカードスロットのロックの外しにくい事など、まだ改良の余地はあると感じました。(もっともロックの外しにくさは、強力な防水機能をささえるものでもあるので…)

イメージセンサの実力の高さと処理の向上による感度200〜400の画質は普通にコマーシャルで商品撮りに文句なく使えます。また、風景を撮影するにあたって1400万画素の解像度は完璧とは言わないが、1000万画素機と比較すると、格段に風景の中景に解像感を持たせてくれます。あくまで比喩的な言い方ですが、35mmフィルムの解像感は──でこぼこはあるものの、かなりの部分で抜き去っていると感じました。