2012年6月定例勉強会レポート「RAW現像ソフト検証大会」
第1部:「恒例!良いもの・こと 探し」
参加者全員が自己紹介と併せながら最近見つけた「良いもの・こと」を紹介するコーナー。オフレコベースなので基本的にセミナーレポートでの紹介は控えさせていただいております。当日会場にいた人だけのお楽しみ、ということでご了承ください。
第2部:「RAW現像ソフト検証大会」
全国RAWデータマニアの皆さんお待たせいたしました。待ちに待った第2部の始まりです。今回、解説をなさる6名の方々は「そのソフトは俺に解説させろ!」と立ち上がった、トップレベルの面々なのです。真近に見る事が出来るトップレベルの方々のソフトの使い方には釘づけ間違い無し。しかも連続6本の現像ソフトの解説なんて電塾ならではですね!もちろん、解説は与えられた制限時間内に済むはずが有りません。ソフトを語る情熱は制限時間では縛る事が出来ないのです!その情熱に引き寄せられたのか、今回の会場は満員御礼、立ち見の方が出るほど会場は熱気ムンムン!その中で、6時間近い熱い勉強会が繰り広げられました。ましてや、これ程の数のソフトの解説を一気に聞くと、終了後はさすがに頭の中は沸騰してしまいますね! 「おばちゃん!冷たいビールおくれ!」と叫んだのは、私だけでしょうか?
しかし、皆様のお話を聞いていると、現像ソフトと言っても色々なタイプが有るものですね。
「俺にまかせると素早く大量処理してやるぜ!」タイプの奴、「俺はスピードはないが妥協もしねぇ、一点ずつ丁寧に仕上げるぜ!」職人気質の奴、「撮影の取り込みから現像までなら俺にしな!」万能タイプの君
そこなんですよ!ソフトも性格をみて適材適所、そーする事で素晴らしい画質を作り上げてくれるのです。お話の中で、一つの現像ソフトで納品まで仕上げるのか、その後レタッチソフトで作業をするのかで画像の作り方を変えた方が良いとのお話が有りました。
簡単に検証結果を元に独断で性格分け。
キャノンの純正ソフトDPP 湯浅 立志運営委員
大量処理には向かないが高品質の画像を作る事が得意。レンズオプチィカルマイザーは特筆もの。
ニコンの純正ソフトCapture NX2 小林 宗正運営委員
大量処理は苦手、でもレタッチ機能は満載で高画質。感覚で作業出来るコントロールポイントは優れもの。
Camera RAW 玉内 公一運営委員
定番ソフトの代表、現像処理の速さは快感。ノイズ除去も優秀。adobeのサイトから色々な機能をインストール可能。
Lightroom おらひ日記帳こと平尾 秀明様
現像処理も速いが画像管理も得意。Camera RAWと同等な処理が可能。セレクト能力高くフォトショップやwebの連携も快適。
Silky pix 山田 久美夫運営委員
セレクト能力高く、処理の自動化が優れもの。Jpeg画像の肌色もスポイトで一発補正、ハイライトの復元やノイズリダクションも優秀。
Capture One 湯浅 立志運営委員
撮影から出力までトータルで作業できる強み。トリミング等の作業中でもホワイトバランスや露出を変えられる。クイックプルーフにて即座にアタリ画像を作成。
もっと詳しくレポートしたいのですが、あの状況をレポートなんてとても無理。まともに書いたら6冊の解説本が出版できてしまいます。そして、得意、不得意があるかも知れませんが全てのソフトがブラウジング、セレクト機能を搭載しています。あとは、自分の仕事や用途に合わせて選ぶ事ですね。でも、2本以上の現像ソフトを使い分けしている方が多いみたいです。個人的にはSilky pixの多機能には驚きました。お試しダウンロードも有りますので興味のある方はどうぞ!現像ソフトについてもっと知りたい、ここが解らないなど有りましたら電塾にいらして質問して下さい。そして、懇親会に出席して下さいね。きっと「えっ」「おっ」「おー」と声がでてしまう情報が手に入る事間違い無しです。
レポート・写真:電塾運営委員 北 英樹
第3部:討論会
本日参加したメンバー全員がそろっての討論会が本日の最後のテーマでした。
初のライブ質問が九州電塾の河口氏からあり、実際のアンケート(アプリケーションごとのユーザー数など)も現場で取られました。Lightroomの圧勝という結果になりましたが…。今回もライブ配信、本田氏ががんばっています。
どの現像ソフトの性能が良いのか、という今回のお題の一つには玉内氏が答えを出しました。数年前はメーカー純正に軍配が上がったが、今ではかなりのレベルで現像可能になっているため、その現像ソフトをワークフローのどこに位置付けさせるか?(先ほどのお話しに繋がる)ということが問題になって来るようです。
最も自社のカメラにチューニングされているのはCapture NXIIというお話しもありました。最も処理速度が遅いという感想も合わせて出てきました。カメラを購入すると「バンドル」されてくるのがDPP、そしてペンタックスなどをサポートするSILKYPIXです。この「ただ」というのは実にありがたいことですよね。DPPはカメラをコントロールする非常に使い勝手が良いアプリケーションも付属してきます。単独購入すると結構高価なSILKYPIXですが、こちらも高価な分、元データの生の姿を見せてくれたり限界までコントロールできるという、それぞれの特徴も浮き彫りにされました。また、LightroomとCamera RAWは兄弟アプリケーションながらかなり人気が別れていることも面白い現象です。
湯浅氏の図(これはPHASE ONEの解説時に使われた物でした)がそれぞれのフローを良く物語っています。PHASE ONEが唯一サードパーティ製で撮影からをサポートしています。(Lightroomも可能ですが、PHASE ONEには追いつけていません)Lightroomは撮影後のアーカイブハンドリングに積極的ですが、これを実行できている現像ソフトウェアは他に存在していません。
多くの現像専用ソフトはまさしく現像に特化しており、撮影とアーカイブには興味を示していないようです。自分が欲しいのは何所までフローをサポートしているのか?というのが大きな選択肢になりそうですね。
多くは1個のソフトウェアに頼るのではなく「汎用ソフトウェアと専用ソフトを、それぞれのワークフローに合わせて活用している」というスタイルを取っているようでした。特にニコン系の方々は専用ソフトはいざというときで、汎用ソフトウェアを上手に組み合わせているようです。しかし、今回のSILKYPIXのデモはちょっと「やられた」気がします。
レポート:電塾運営委員 鹿野宏