レポート 佐藤浩視
色とは何か?
色とは人間の眼が感じることのできる約380nm〜780nmの波長帯の電磁波を
人間がどのように知覚しているかであるが、同じイメージを客観的に他者に伝えるのは
難しく様々な方法が考えられてきた。
RGBの光の3原色で全ての色を等色しようという試みは、混色でなくとも単色光でさえ
3原色で等色できない色があることがわかり、
人間の眼の3錐体の光の吸収量に応じた3刺激値をXYZとする表色系が開発される。
RGBは周波数が厳密に決められた単色光であるが、
XYZは知覚する側の系であり、該当する光源は存在しないことを理解する必要がある。
このXYZをXYの2次元平面で表したものがXYZ表色系XY色度図で、Adobe
RGBとsRGBの色域を
比較するのによく使用されるので、目にすることが多い。
XYZは人間が知覚する全ての色を表色することができるが、色の差が人間の感覚的差と
XY色度図上での距離が色相により、かなり隔たりがあり、色の差を工業的に管理しようとする
産業用途には向かない。
そこで色差を各色相で人間の感覚とできるだけ近くしようとして考えられたのがLab表色系である。
自動車の塗装、塗料の色、服の布地、建材、印刷と産業用途ではLabが広く使われている。
カメラのCCDやモニターの液晶等、記録や表示の分野ではRGBを使用しているが、
機器のメーカー、種類、型番による差が大きく、ディバイスに依存する部分が大きいため、
キャリブレーションが必要になってくる。
同じAdobRGBで撮影してもメーカー、機種により色が違って表現されるので、カラーパッチにより
グレーバランスをとるのはキャリブレーションをとっているようなものである。
Photoshopの内部ではICCプロファイルの変換等、色情報はXYZで管理されている。
CMYKは国内におけるオフセット印刷用のプロセスインクの配合比だと考えたほうが良い。
自然界においては色は単色光ではなく、可視色域にわたって様々な輝度分布を持つ
スペクトルであることから、簡便な表現として様々な表色系が用いられてきたが、
各表色系の違いを理解しておくと混乱が避けられる。
RAW現像の実際
撮影の際にRAWかJPEGかという選択があると思うが、取材や雑誌等で納期が優先され、
使用サイズが小さく、高画質を要求されないといった場合を除いてはRAWで撮影することをお薦めする。
これは印刷用ととしてJPEGがよいかTIFFがよいかといった話とは違う。
RAWで撮影して綺麗に処理され必要な解像度と大きさを持ったJPEGならば、充分綺麗に印刷できる。
カメラでは常にRAWでしか記録できないので、JPEGの撮影モードといっても記録はRAWで
カメラ内部で複雑な処理をしてJPEGで書き出して記録している。
極小のカメラ掲載チップですることに過大な期待はしないことである。
CS3BrigeとLightRoomのRAWプラグインは同じになっているので、入力する画像データと加える
パラメータが同じであれば同じ画像になる。
ただデザイン的にLightRoomは黒基調になっているので人間の眼の弁別能を考慮すると
Brigeを使用するほうが良いかもしれない。
どちらも初心者が大幅に調整しようとしても破綻しないようなパラメーターが設定されていて、
画面を見ながら直感的に操作できる。
ただし、画像はパラメーターの適用をサムネールでシミュレーションさせているだけなので、
書き出しの実画像と全く同じではない。
MacのPhotoShopは画像やツールパレット以外は背景が見えるので、
派手な色やデザインの壁紙を貼るのは避けたほうがよい。
グレーにしておくのが弁別能の関係で判断しやすい。
露出に極端な過不足があるときや、色温度が間違って設定されたときは
BrigeやLightRoomである程度調整しておいたほうがよい。
PhotoShopには露出調整ツールは無いし、同じようにレベル調整とトーンカーブだけで
補正するのは至難である。
色温度補正フィルターツールでは画面にフィルターをオーバーレイされる印象だが、
RAW現像画面の色温度はもう少し複雑なパラメーターで動いているようである。
PhotoShopに無い機能は有効に使い、微妙な調整はPhotoShopに展開して実画像を見ながら
操作したほうが、シミュレーション画像ではない分、信頼できる。
もちろん、モニターのキャリブレーションが適切に行われていることが前提である。
PhotoShopで調整するときはレイヤーを使うと、あとでそのレイヤーのみ
やり直すことができるのが強みである。
ヒストリーで戻ると戻ったところまでご破算になる。
調整する際はビューを切り替えて確認しながらすることで、補正がオーバー気味になることを防ぐ。
|