■これまでの履歴■

<第10回定例セミナー> 2008.4.26

 
玉内公一氏(電塾本部運営委員)による
●デジタルフォトとライティング 基礎知識
●ライティング基礎知識 ストロボ光源の理解
●ライティングで処理orソフトで処理? デジタルカメラのキャプチャー実技
   
  
 
レポート  藤山武

今回の定例セミナーは 電塾本部運営委員の玉内公一さんより撮影には欠かすことの出来ない
ライティングについての実践セミナーをご講義いただきました。

また、今回はライティングのセミナーということで、ブロンカラーのグラフィットA2(1600)を
ご準備いただき、更にコダック グラフィックコミュニケーションズの加藤武さんが
コダックリーフAFi75の紹介を兼ねて実機を持ってお越し下さいました。


講義はまずはデジタル以前の頃、フィルムでの撮影やフィルムそのものについての解説から始まりました。
フィルムは、デイライト、タングステンと感度温度の違いでフィルムの途中で
変えて撮影することが出来なかった。
デジタルではそれが可能であるがデジタルカメラはフィルムを前提としている。
ならばフィルムと同じように調整してあげればよいのである。
自家現像を行っていた昔はモノクロフィルムの感度はあってないようなものであった。
ISOの測定によって決められた情報で、ネガの調子や現像は作者や撮影者が感光材の特性や
特長に合わせ、考慮して自分なりの現像処理のルールを作って行っていた。
その後、カラーやポジではラボが現像を管理し、均一的な現像を行う分、
作者や撮影者は自分の好みや意図に合ったエマルジョンナンバーを指定しての
フィルムストックなどを行うようになった。
そのように、デジタルに置き換えると、ハイライトとシャドーの数値、階調はフィルムの
現像設定の標準値をきめるのと同じように自分で決めてあげればよい。
―これをデジタルフォトでのライティングの心構えと捉えると理解しやすく、納得がいく気がしました。

デジタルフォトでのライティングの基礎として18%グレーを写し込み適正露出を見極める。
物理的数値として118か119。
ハイライトを245、シャドーを20を目安に行う。
15だとギリギリ階調が残るくらいである。
いずれにしても上下半絞り以内に入っていなければもともとマズイ!
それを踏まえつつハイライトとシャドーの調子は各自が責任を持って決める。
パラメーターはできるだけ直線で、等間隔であることが良い。

ここで質問が!
「256階調で表現している中で単純に考えれば中間値は128・・それが118、119なのは?」

玉内氏より
「0%の反射も100%の反射もかなり現実的には希なもの。さらに人の感知する階調、
目で見える階調の真ん中が18%の反射グレー。
幾何平均で、飛ばない白と潰れない黒の中間が118、119がニュートラルグレーの数値」

この疑問、私も同じ疑問を抱いておりました。
以前ニュートラルグレーを作っているときに128のグレーと比べてどうも違う。
とふと疑問に思いつつ、これまでうやむやにしていたのですが、ここではっきりとした答えを知ることができました。
露光、露出、適正露光、適正露出この概念をしっかり再認識しなくてはならないなと感じました。

電塾に参加している価値、意義があるなと思える1コマでした。

続いて、ストロボの紹介と光源の説明へ。
今回実技で使うスイスのブロンカラーのストロボを例にストロボの発光部キセノン管、
モデリングランプの説明、リフレクタの説明等をいただき、いよいよライティングの実技へ。
ライティングの原点とも言える、スラントライティングの紹介と説明、
実際のライティング実技をいただき、フィルインライト、アクセントライトの説明、
そして今回はアメリカの写真学校の授業で教えている基本のライティングテクニックを紹介いただきました。
ライティングの実技では玉山さんよりブロンカラーの紹介、加藤さんよりコダックリーフAFi75の紹介、
そしてMacでのキャプチャー実技を兼ねて行ってくださいました。

ライティングの名称やテクニックは人物の向きとライティングで分類していること、
ライトの当たっている側が多く、カメラ側から見て明るい部分が広い野がブロード、
その逆でシャドー側が広く明るい部分が狭いのがショートといういう分類であることの説明、
45度ライティング、“レンブラント”は頬のシャドーと鼻のシャドーで逆三角形を作る
ライティングで欧米ではエイジングライトと呼ばれ老けて見える。と敬遠される。
ループライト、目に光が入り、鼻の下の影が丸みを帯びたループ(投げ縄)のようになるようにする。
バタフライライティング、鼻の下の影が蝶のようにみえる。
グラマーライティング、ビューティー、パラマウントライティングとも呼ばれる。
大規模のアーク灯などのよく行われる。
スプリットライティング明るいところ(ライトが当たっているところ)とシャドーを半分半分にする。
プロフィールライティング、真横、奥のまぶたが写ってはいけない。
気を付けなければならないのは鼻のラインが頬を越えてはいけない。

と、それぞれのライティングを行い、今回デモで紹介いただいたコダック・リーフAFi75で撮影し、
モニタでの説明をいただきました。
基礎のライティングにアクセントライトを加え、
カメラアングル、
光の強弱、
照明バランスで写真を作っていき、光がきれいなところ、全体をみて余分な光がないか見極め、シャッターを押す。
これがライティングの基本をわかりやすく講義いただき、改めて再認識させていただきました。

そして最後に、フォトショップでの処理について。
CS3の明るさコントラストがパラメトリックの補正になり、不自然さがなくなり
なかなか侮れない機能になった事を紹介いただいた。
だが、フォトショップではリサイズ、シャープネス、ゴミ取り程度に抑え、
やはりフォトショップで何でもかんでもやろうとしない!
と、まとめていらっしゃいました。
そもそも適正で綺麗なライティングを行えばフォトショップでの処理も格段に必要のないことに
なるものだと基礎の基礎を改めて再認識いたしました。


玉山さん誠実なご講義をいただきましてありがとうございました。
そして魅力的なリーフAFi75の実機実演をいただきました、
コダック グラフィックコミュニケーションズの加藤さん、わざわざお越しいただきましてありがとうございました。

ありがとうございます。
 
  

  

  

   

   
 
写真 青木真人