■これまでの履歴■
<第2回定例セミナー> 2007.6.16
鹿野 宏 氏(電塾本部運営委員)による
『誰も知らないPhotoshop徹底チューニング、基礎から使いこなしまで』
レポート1 金子観史
今回の鹿野氏のセミナーは、前回レポートでのPhotoshopCS3の解説では有りませんでしたが、Photoshopの基本的な、然しナカナカ一般の解説では、語られないような事柄が盛り沢山で、私個人的には非常に興味深く拝聴しました。
先ずは、Phの歴代のメジャーバージョンアップのお話で、アドビがPhotoshopについてどの様な概念で製品を送り出しているかが垣間見えて楽しいお話でした。
続いて、環境の基本設定、トーンカーブ、色相・彩度のレクチャーへと進みますが、特にセッティングの部分で、仮想記憶のセットの仕方は私も日頃、環境設定タブを開いてぼんやりと感じていた事を、目の前でセッティングを実演していただき、HDの記憶の方法論からの解説は説得力があって私も後日早速試してみたく成りましたし、基本的な理論が分ってくると、自分の頭の中で納得して、トライ&エラーができるので非常に楽しなる。この辺が電塾の良い所だと思う。
話の中でモアレパターンの出やすい画像をガウスやアンシャープを使って拡大・縮小する方法などは本当によく検証や勉強をしているのだな〜と自分に振り返って反省させられました。
トーンカーブや色相・彩度のところでも本当に日頃よく直面する事ばかりで直ぐに使えるテクニックは、写真家だけでなく、デザイン・印刷関係の方に是非覚えて取り入れていただきたいと強く思いました。
本当に写真家からの一方通行では何も始まらないと改めて感じさせられました。
鹿野さん毎月東京から有難う御座います。懇親の席も楽しかったです(笑)
(自分史上5本の指に入るくらいの二日酔いでした〜)
庄司 正幸氏(電塾会友)による『ワークフローの構築とプロファイル』
レポート2 佐藤浩視
カラーマネジメントの実践編として、今回は撮影から印刷までのトータルなワークフローの構築と問題点についての講義であった。
撮影データの納品データのプロファイルが印刷用のCMYKデータに変換されるまで維持されることが重要であるが、現実には様々な要因でプロファイルの破棄や誤変換が発生し、データの色情報が歪んでしまうことが珍しくない。レイアウトをするためにデザイナーがCMYK変換をしてしまうことがある。デザイナーは印刷用データとしてCMYK変換するのではなくIllustratorの環境に合わせて、CMYKにすることがある。本来、Illustratorはイラスト制作用であり、レイアウト用としてはCMS管理上In Designを使用することが望ましい。カメラマンはPhotoshopはCS2の使用がほとんであると思うが、デザイナーや編集部、印刷会社ではIllustratorのバージョン7がまだまだ現役だったりする。デジタルカメラが普及する以前のアプリケーションでは、CMS管理が覚束ない。
RGBからCMYKに変換するということは全く違う色空間に色情報を置き換えることなので、慎重さが求められることに留意すべきである。
本来、印刷会社毎、紙毎にCMYKプロファイルはなくてはならないが、プロファイルがあればいいかと言うと、そう単純な話ではない。市販のアプリケーションでただ出力しただけのプロファイルでは、満足なものを得るのは難しい。印刷の色の変化には様々な原因があり、考慮する必要がある。また、印刷工程で毎日安定した刷り上りになるように印刷システム全体のキャリブレーションも必要である。日本国内の平均した印刷条件を想定して制作されたJapanColor2001Coatedは有用性が高く一般的に薦められる。もちろん、JapanColor2001Coatedが基準とした紙、もしくはそれに近い紙の使用が前提であり、マット紙などへの適用は論外である。
ワークフローの中ではどこでCMYK変換をするかということが重要である。デザインのためではなく、印刷のためのCMYK変換をしなければならないからである。カメラマンはRGB納品が前提であろう。プロファイルの「指定」や「変換」の違いもよくわかったうえで作業する必要がある。CMYK→CMYK変換、sRGB→AdobeRGBはするべきではない。
モニターのキャリブレーションとアプリケーションの環境設定(カラー設定)は最も重要であり、トータルなワークフローを考えれば、モニター環境が統一される(標準化)ことが望ましい。
以上が要旨であるが、実際のトラブル事例の画像を用いながらの講義で難しいCMSの理論も豊富なビジュアルでわかりやすかったと思う。
写真 青木真人