画像のデジタル化に伴い、カラーマメンジメントの重要性が叫ばれて久しいが、適切な処理が画像処理の現場に浸透しているとは言い難い。カラーマネジメントをワークフローの中で破綻させずに運用していくためには、各ディバイス間のカラースペースに即したガマットマッピングを行うためには適切なプロファイルが欠かせない。プロファイルの無視や破棄、また選択ミスといった処理によって撮影した元画像の情報が歪められてしまうことが、トラブルの原因の大半だと思われる。また、キャリブレーションをとることも重要である。撮影時のホワイトバランスやPCモニターのキャリブレーション、環境光のキャリブレーションと画像を確認する環境の標準化がなされないと、意味がない。カメラマンにとっては特にモニターのキャリブレーションは重要であり、基本といってよい。モニターの選択にも注意を払う必要がある。RGBプロファイルとしては一般的なsRGBとプロ向けのadobeRGBがあるが、sRGBはポジのカラースペースよりガマットが小さいばかりではなく、印刷のカラースペースより狭い色域もあるのに対して、adobeRGBはポジのカラースペースをほぼカバーしており、プロが印刷を前提とした仕事をするのであれば、こちらを使うべきである。また、オフセット枚葉印刷機用のCMYKプロファイルとして、Japan
Color2001があるが、国内の標準的な印刷条件に適したプロファイルであり、対応できる印刷会社も増えてきている。印刷会社や新聞社で独自にプロファイルを作成、カメラマンに提供しているところもあるが、理想的なプロファイルの作成は難しく、成功しているところは少ない。新聞用としては、Japan
Newspaperがあるが、新聞広告用としてNSACが普及していくと思われる。雑誌広告用としてはJMPAカラーを基にしたJapan Web Coatedがあり、輪転機用のプロファイルである。SWOPはアメリカのオフセット輪転機用のプロファイルであり、国内とはインク等、印刷条件が異なるので、使用するべきではない。CMYKプロファイルは印刷条件によりいろいろあるが、カメラマンは基本的にはRGB入稿を前提とするべきで、CMYK入稿を依頼された場合は、各CMYKプロファイルの違いを充分認識したうえで変換するのが望ましい。プロファイルの変換がガマットマッピングを行うのに対して、プロファイルの指定はタグの付け替えであることに留意し、操作ミスをしないよう注意が必要である。