文責:中部電塾運営委員 青木

今月は特別講師に早川電塾塾長をお招きし、「Adobe PhotoShop CS5による超高解像度画像処理」と題してご講演頂きました。
塾長は近年、文化財を学術資料としてアーカイブする仕事に携わっておられ、昨年9月からインド中西部にあるアジャンター石窟寺院を一ヶ月にわたってカメラに収めてこられました。一昨年に続き2回目の撮影行です。
この撮影に際し用いられた分割撮影法とPhotoShop CS5によるステッチングで超高画素の画像を作る技術を公開されました。
はじめに使用機材のお話から。
トヨビュー57GにハッセルブラッドH3DII-39MSデジタルカメラバックを使用
ハッセルブラッドHシリーズ用のデジタルカメラバックはボディとの一体使用が前提のため、ビュータイプカメラで使用するためのアダプターは用意されておらず、他社製のアダプターは存在するものの使い難いので、センサーに附属する金属製のプロテクションカバーを利用して自作されたとのこと。
写真を見る限り工作も美しくなかなかの出来映えでした。
デジタルカメラバックに関してもより高画素なH4D-50MSではなく、1画素の情報量が豊かなH3DII-39MSをあえて選択しており、ここら辺にも1画素1画素の描写にこだわる塾長らしさを感じました。
ビューカメラにも改造の手が入りました。もともとトヨビュー57Gは45Gに比べ広い画角を得ることができますが、8分割、12分割、15分割、20分割をするためにはより多くの移動量を必要とし、ライズフォール用に支柱を延長。ロールフィルムアダプターを利用してシフト量を増やす工夫がされ,最終的に20分割で7インチ×7インチの画角が撮影できるようになっています。また、仰角撮影を完璧に実行できるように、支柱の垂れ下がり対策として補強を追加するなど、多くの改良をされたとのことです。
無骨な感は否めませんが実用本意で精度を落とさない工夫に感心しました。
そのような工夫はカメラだけにとどまらず三脚にドーリーを追加、コンピュタスタンドとハードディスクも一緒に移動できる様改良されています。ハードディスクのミラーリング、バッテリーを利用した停電時及び定電圧・サージ電流対策など、細かな所まで考えられた機材・システムです。特筆すべきは4台の建築用レーザーレベラーを使用して壁画に対しカメラの平行、水平垂直を出して撮影する技術で、後で紹介するPhotoShopでの処理時間が一昨年の三分の一程度の時間で済んだということでしょう。レーザーに関しては先月の阿部講師のお話と同じものですが、学術的な撮影に限らず高精度を求める撮影において有効な方法だと感じました。

緻密な計算の上で撮影された膨大なデータは継ぎ合わせる作業に入ることになります。
ここでPhotoShop CS5が使用されます。PhotoShopはWindows版に比べ、Mac版の方が64bit対応が1世代遅れたお陰で演算機能が改良され、優秀なのだそうです。
まず、継ぎ合わせる画像をレイヤーとして読み込み、編集メニューからレイヤーを自動整列(位置の変更)を実行。さらに描画モード/差の絶対値でズレを確認・調整、精度を上げた後保存します。
ハードディスクは携帯には不便ですが、3.5インチの方がよいとのこと。2.5インチでは体感的に倍くらい保存時間が余計にかかるそうです。
最終的には10GBを超えるデータをハンドリングしたり保存するには、強大なマシンパワーと転送速度の速いストレージが必要であろうと何となく理解できますが、考えただけでも気が遠くなりそうですね。
次に編集メニューからレイヤーを自動合成(パノラマ)を使うことで、ハードエッジマスクとシームレスな合成画像が得られるとのこと。塾長はハードエッジマスクであることの重要性を強調されました。直線ではなく絵柄の境のある部分をうまく利用して継ぐと解らなくなるのだそうです。それをCS5は全自動で行ってくれます(合成時に良く利用するソフトエッジマスクでは、境目が滲んだりダブったりしていて、画像処理経験の深い人には一目で見破られてしまう)
全体を25%で確認後画像を統合、100%で再度確認し最終的にパペットワープとゆがみフィルターで歪みを整えて完成させるそうです。
しかし、この確認作業、根気と忍耐の修行僧にでもなった気で向かわないととても辛い作業ではないでしょうか?
私なんざ自慢じゃないけど、高々2000万画素の画像のゴミ取りだってしたくないんですから。
撮影時の苦労話を交えアジャンタ遺跡の画像を見せて頂きました。まるでgoogle Earthを見ているようにぐんぐん拡大され100%では細部まで非常にはっきり見て取ることが出来ます。研究者が泣いて喜ぶのは当然ですね。
納品はハードディスクでするそうです。但し、一般の人にはデータが大き過ぎるため、コンピュタで開けないことが有るので、ZoomifyでWeb用のデータを作り本データとともにお渡しするとのことです。Zoomfyを使うような大画像の仕事がないので、残念ながら一度も使用したことが有りません。一度使ってみたい機能です。

勉強会の風景

 

あれから1年。石田晃久氏ふたたび名古屋に登場!

「全部見せます!スチールフォトグラファーのためのEOSムービー」

前回はちょうど1年前の中部電塾にきていただきました、フォトグラファー石田晃久氏をお招きします。
アドビのセミナーやコマーシャルフォトなどで拝見している方も多いはず。デジタル一眼ムービーの関心が高まったと同時に、フォトグラファーにも映像撮影の依頼も多くなっている
「Photoshop Extendedで静止画と同じように動画を補正」
「スチールのノウハウを動画に活用」
「チームワークを高めるワークフローとソフトの連携」
など、今からはじめようと思っている人や、バリバリに撮影している人まで十分な講義内容です。

最前線で活躍している石田晃久氏が、3月すべてを話します。

撮影:小泉森弥 協力:玄光社 コマーシャルフォト編集部





撮影:竹澤宏 協力:玄光社 コマーシャルフォト編集部,モデラート

特別講師

石田晃久氏

スケジュール

  • 12:00~ 受付開始
  • 13:00~ 自己紹介
  • 13:30~ 石田晃久氏:
    「全部見せます!スチールフォトグラファーのためのEOSムービー」
  • 17:00~ 同会場にて懇親会

開催日程

2011年3月19日(土)13:00〜17:00(12:00〜受付開始)

受講料

お一人様:3,000円(税込)

開催場所

STAGE BAKU

〒462-0810 愛知県名古屋市北区山田1-10-8/☎052-913-8911