キヤノン新製品紹介/「EOS D60」&「EOS-1D」

会場風景

中部電塾の午前中はいつも、中部電塾のメンバーがデジタルデータの作業に関してのワンポイントアドバイスを披露する時間となっている。しかし今回は 急遽、キヤノン様のご好意により、「EOS D60」と「EOS-1D」の二種類、計3台を持ち込んでいただくカメラデモの時間になった。

私の仕事では、使用するデジタルカメラは、(頻度からいくと圧倒的に)ニコンまたはコダックである。しかしながら、使うチャンスのな かったデジタルカメラとその評判はやはり気になるものである。(今回のデモはそのあたりをしっかり観察できた気がする。)

キヤノン販売:久保田氏

「EOS D60」と「EOS-1D」、それぞれの特徴と製品説明は、キヤノン販売の久保田氏から行われた。時間の兼合いがあったので、早々にデモのセットを組み、 塾生に触ってもらう事を中心とした内容だ。プリンターもキヤノン最新型の「BJ F9000」を持ち込んでいただいたのだが、実は前日に電塾のアンケートや回覧するプリント(写真)を出力したのだが、「速い!」のだ!びっくりしてし まった。エプソンかピクトロしか使ったことがないので、あまりのスピードに「ほしいな、これ・・」と思ってしまった。(エプソンのPM4000-PXも速 いのだが、体感的に「え?」と戸惑うほど速かった。

デモの話の戻ろう。スタジオでのセッティングとロケでの使用カメラが違う事もあるが、やはりイキナリ普段の感覚で他メーカーのデジタ ルカメラを使うのは難しいな、と感じる。(当たり前ですね・・)デジタルカメラはやはり普通のカメラとは「そこ」が決定的に違う。使い方がワカラナイの だ。設定をカチカチとさわる間に、どんどん時間が過ぎてしまう・・。感度の確認をして、フィルムを入れて、露出を計って撮影に入るスムーズさがない。これ は最近のデジタルカメラの傾向かもしれない。このあたりは製品へのコンセプトの持ち方の違いなので、一概にはなんとも言えないが好みは別れるだろう。

キヤノンカメラ開発:柳沢氏

途中、キヤノンカメラ開発の柳沢氏にもご登場いただき、それぞれのカメラのソフトウェアの使い方を説明してもらった。やはり柳沢氏もおっしゃっていたが、 「ソフト側」が弱いというのは辛いものがあるようだ。今後も随時改善を行っていくそうだが、できればWindowsで稼動させてほしいのが本音のようだ。 「EOS-1D」についてだが、さすがと思うのはピント合わせの難しい状況での撮影でもしっかりピンが来ている。モデルと撮影者が互いに動きながら撮影す るテストをした時だ。(動きが激しかったので・・)、無理だろうと思ったピントはなんと、合っているのだ!キヤノンのカメラのAFの精度を知らなかった、 といえばそれまでだが、かなり衝撃的だった。なおかつ写真出力も400万画素のCCDから定着できるイメージは実際上、必要十分なものだった。プリント出 力ではあったが、A3のプリントに出したものでアラが見える事はなく600万画素機よりもデータが小さいため作業効率はあがる。

デモ風景

「デジタルカメラ」はけして「カメラ」のみで完結できないジレンマを抱えている。それはカメラ単体の「基本性能の良さ」を、展開するソフト側が「効 率を悪くしてしまう事」があるからだ。フィルムで現像に2時間かかるとしても、撮影本数には影響を受けない(たまに多いと時間増しもあるが・・)。デジタ ルの場合、もちろんバッチという「自動処理」を使うとしてもカット数に比例してしまう(その分コンピュータの台数を増やして対応したりする)。ましてやデ ジタルならではの、「悪条件を事後処理でコントロールする」などという事をしてしまうと、ソフトの出来が圧倒的に(時間に)差をつくってしまう。しかも、 作業は自分でやらないと納得出来ないカメラマンも多いはずなので、その時間の差を各自の知恵と技術でカバーするという事になる。

フィルムを現像に流すより、時間のかかってしまう処理なら、処理の仕方を変えざるをえない。フィルムを現像に流している間にカメラマ ンは他の撮影ができるのだ。せめてバッチを流すセッティングのコントロールくらいにはスカスカ動いて欲しいものだ。

玉内公一氏「何が大切なのか」

玉内氏

今回の講師、玉内公一氏の午後の講議は、穏やかな口調での自己紹介から始まった。

氏はかの東松照明氏の「黄色カブリのポジの黄色を抜く」現像調整をしてしまうなど、若いカメラマンからは「まったく知ることのないレ ベル」での仕事をしてきている。E-3、E-6による現像液の調整をすることなど、正直いって思いもつかないことだ。

デジタルでの画像処理が一般的になっているなか、「何が大切なのか」を見失いやすい。作業環境の劇的な変化(常にハード側やソフト側 に対して我々が追随する事になる。)、ユーザー(我々)の意識。デジタルカメラの仕組み、べイヤーフィルターと呼ばれるCCDのRGB配列による物理的な 限界(モワレ、偽色、多回数露光など)もそうだ。RAWデータbit深度を稼ぐ事はできるが、日常、作業として行うPhotoShopでの加工はbit落 ちから逃げれれない。プロファイルを活用してカラースペースの概念的な把握が行われていなければ、デジタルデータが何を基準にしているのかを知る事すらで きないだろう。

フィルムでの常識に「ポジはアンダーめ、ネガはオーバーめ」というものがある。しかし、実はネガは高濃度域での直進性が良いため、ス キャニングすることを前提なら上記の前提は逆になる。ポジの場合は逆にオーバーめのほうが、スキャニングでは良い結果を得られやすい。「最小錯乱円、過焦 点距離、被写界深度・・・」デジタルカメラにはご存知のようにいくつもの問題が表面化する恐れがある

玉内氏は(作業内容によっては)RAWではなくJPEGも有効という考え方をお持ちのようだ。

途中、各メーカーのハイエンド機のデジタルカメラドライバーの説明あり、久しぶりにたくさんのデジタルカメラの写真をみた気がした。

どんな画素数のカメラでも、トリミングされるととたんに土俵がかわってしまう問題をあげられた。デジタルでの撮影はトリミング前提な らは最低1600万画素が必要という。たしかに撮影後にトリミングされたレイアウトをみて青くなった経験はだれもがお持ちのはずだ。

データは壊れるモノだという認識が作業者、管理者には必要だ。処理、仕上げは制作者側の責任ともいえる。ヒストグラムでのビット落ち ごまかしでのテクニックはいくらでもあり、データの確認の際に、ヒストグラムをやみくもに信用してそのデータを判断するのは考えものだ。(ノイズ1%もし くは、102%の拡大で、ヒストグラムは埋まるので、もらったデータのヒストグラムを信用しない。)データハンドリングではLabでの調整によるグレーの 微調整も有効な手段である事、シャープネスのフェードを利用した輝度チャンネルだけの効果や、ダストアンドスクラッチを使用して、スナップショットやヒス トリーブラシで戻る方法などなど・・。いくつかの技術的なエッセンスも含まれていた。

撮影時での注意点としてローパスフィルターは絶対に拭かない事(ゴミは覚悟する)。でなければ、デジタルカメラ自体を失う事になる可 能性もあり、作業が不可能になったり、新たに投資をする必要が出てくる。ヒストグラム、トーンカーブやプロファイル変換には要注意。過補正はデータ、印刷 結果を悪くしクライアントからの信用を失う。

いくつかの技術的な話を聞かせていただいたあとで、氏は最もデジタルで重要視するものは実はワークフロー全体だと語ってくれた。

  • 自然なフローが構築できるか?(無理なデジタルへの移行で歪みが生じてないか)
  • 何がオリジナルか規定できるか?(安定した作業環境・作業効率であるか)
  • 何を保存しておくか?(無駄なバックアップで圧迫されてないか)
  • 階調のゆとりはあるか?(よけいな作業を行っていないか)
  • 色は自然か?(自分の中に基準があるか)
  • プレゼンは楽にできるか?(自分自身のクライアントに対して上手く説明できるか)
  • アウトソーシング可能か?(たくさんの仕事をする時に一人でこなせるのか)

ワークフローを作り上げる際に、営業的にも「2年」で元を取るメニューをつくる事を強調してお話された。「見積もりには必ず、デジタル機器のイニ シャルコストをつけること。」「先方に通らなくても、必ず、つける。」作業が必要になった事は請求書に明記し、それが通らない場合は、マイナスをつけ作業 があった事への認識を促す事が重要だ。

ここでの見落としがちな問題はもう一つ。処理はだれがするのか?という事だ。デジタル化して、自分で処理していては、20年前のミニ ラボと同じ。人件費がもっとも重要なのに、自分自身の人件費が請求にのっていない。

撮影後の注意点として、(過渡期である以上は)ワークフローの確立が一番たいせつなこと。

ビジネスである以上、効率を考えること。

これらの中での優先順位は会社ごとに違いはあるが、どれも外せない問題だ。

パネルディスカッション

ディスカッション風景

最後に玉内氏、キヤノンの柳沢氏、阿部氏の3人でデスカッションを行ってもらった。もちろんオフレコなのでココではかけないが、ちょっと路線を外し て普段なかなか聞けないような楽しいお話を聞く事が出来た。現状のデジタルワークフロー、これからのワークフロー、デジカメの進む方向など、今後デジタル を活用する上で大変参考になる話で、中部電塾をおえる事ができた。

玉内氏は今回はじめての中部電塾だったが、塾生も多く賑やかな例会となった。皆様、お疲れさまでした。

各講師陣紹介

最新の勉強会ご紹介

中部電塾にご興味が湧きましたら、ぜひ最新の勉強会をチェックしてください。

中部電塾勉強会は毎月第三土曜日開催です。